2020年春に商用サービスが始まる予定の5Gについて、周囲からの期待は非常に高まっている。しかし船越氏は「5Gの特徴である3要素(超高速大容量、超低遅延、超多接続)が導入当初から全て実現できるというわけではなく、段階的に達成していくことになる」と前置きする。
ただ、5Gによって通信の性能が上がること自体は間違いなく、ドコモもパートナーと共に新しいサービスを作り上げるべく取り組んでいる。
その取り組みの1つが、2018年2月に立ち上げられた「5Gオープンパートナープログラム」だ。5G関連の情報の他、全国に11箇所で検証環境(ドコモ5Gオープンラボ)を用意していることに加えて、パートナー同士のビジネスマッチングの場も提供している。参加企業・団体は2019年末時点で3200以上あり、自治体を含めて幅広い業態から参画している。
5Gプレサービスの開始に合わせて、クラウドサービス「ドコモオープンイノベーションクラウド」の提供も開始した。低遅延かつセキュアなドコモのネットワークと、クラウド生かしたソリューションも紹介された。
ユニークさで目を引いたのが、H2Lの「BodySharing」技術だ。この技術は、筋変位センサーを活用し、手や腕、顔などの身体情報をコンピュータと相互に伝達し、人やロボット、VR(仮想現実)/AR(拡張現実)のキャラクターに動きを伝えるというものだ。
展示会場では「FaceSharing」が紹介され、多くの来場者が足を止めて見入っていた。
5Gでは、高精細な映像が生きるVR/ARの利用シーンが広まると予想されている。その1つとして、サン電子のAR対応スマートグラスを使った業務支援ソリューション「AceReal」が取り上げられた。
このソリューションは、ARスマートグラス「AceReal One」と業務支援アプリ「AceReal Apps」を組み合わせたもので、情報の伝送に5G通信とドコモオープンイノベーションクラウドを活用している。
今回のデモでは、遠隔地のオフィスからマニュアル類を現場の作業員に送り、作業員がAceReal Oneに表示する、というシナリオが展開された。未熟な作業員でも、1人で点検や修理などの作業が可能となるというシナリオだ。AceReal Oneに搭載されたカメラで撮影した映像は、オフィスに随時送信されるので、ベテラン社員が様子を見ながら指示を出すこともできる。
AceRealを使った取り組みとしては、ドローンと組み合わせたビル外壁点検の実証実験も行われた。
現場のドローン操縦者がかけたAceReal Oneには、ドローンに搭載したカメラの映像や各種飛行データ、遠隔地のオフィスから送られてきたマニュアルなどが映し出される。一方、AceReal Oneに搭載されたカメラでは操縦者目線の映像が撮影されており、その映像が管制センターに送られ、それを見た熟練者が指示を送ることも可能だという。
その他、船越氏は5Gを使った協創事例を複数紹介した。
同氏は「3200を超えるパートナーの輪は宝。パートナー同士のマッチングをドコモが提供することで新たなビジネスモデルを生み出し、5G時代の新しい価値を協創していく」と今後もパートナーとの協創に積極的に取り組む姿勢を見せた。
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