画質については、ゲームに最適な画質モードを追加した。「ゲームの作り手側の意見を聞く機会があり、彼らのこだわりや思いを知った」(篠宮氏)からだ。
スマホが登場した当時はSDR(スタンダードダイナミックレンジ)コンテンツが多く、「ディスプレイメーカーとしては、演色してきれいに見せたいという意識が働いて、派手に見せていました」(篠宮氏)。しかし最近はHDR(ハイダイナミックレンジ)動画が登場するなど、コンテンツ自体のクオリティーが上がり、演色しなくても十分きれいに見える。むしろ、演色することで金色と黄色が同じ色に見えてしまう、というような弊害もあるという。
「われわれが制作者の意図を台無しにしてしまう恐れがあります。コンテンツ側の意図を前提とした開発をしたいという考え方に変わりました」(篠宮氏)
そこで今回は、不要な演色をせず、コンテンツの意図を正しく表示する「ゲーム画質」モードを新たに搭載した。「AQUOS便利機能」のメニュー内に、ゲームに便利な機能をまとめた「ゲーミング設定」を用意しており、ゲーム画質、4倍速にする「ハイレスポンスモード」などをここで設定できる。ゲームは基本的にゲーミング設定が適用されるが、ゲーム以外のアプリにも適用できる。例えば、ハイレスポンスモードを電子書籍アプリに適用すると「ページ送りが非常に滑らかになるのでお勧め」(田邊氏)だそうだ。
ゲーミング設定には「ゲーミングメニュー」もあり、これをオンにすると、ゲームプレイ中に4倍速や通知ブロックといった各種機能のオン/オフを通知パネルを引き出して素早く行えるようになる。また、「検索設定」メニューでは任意のキーワードを入力することができ、ゲームプレイ中に通知パネルから素早く「ゲーム名+キーワード」で検索できる。Web検索の他、Twitter、YouTubeでの検索も可能だ。
屋外での視認性については、輝度を上げる「アウトドアビュー」を、有機EL搭載モデルでは初めて採用した。
AQUOS zero2はプロセッサにQualcommのSnapdragon 855を採用。メインメモリは8GBで、NAND型フラッシュメモリにもUFS3.0という高速なものを使っている。ゲームはアプリ内でフレームレートや解像度、画質レベルなどを設定できるものが多いが、zero2は最新のハードウェアを搭載したので、「ゲーム内の設定を下げずに、しっかりいい状態と高画質で1プレイ、1ゲーム遊べることにフォーカスした」(田邊氏)という。
その際、4倍速のディスプレイを生かすため、フレームレートに注目した。「スマホは本体自体がコントローラーなので、熱さをじかに感じます。体感温度を抑えながらも、各ゲームが用意している最高設定にしてもフレームレートを維持できることを目標に調整しました」(田邊氏)
ゲームといっても、アプリによって要求するパフォーマンスはバラバラだ。確認するには、たくさんのゲームを1つ1つ評価するしかない。そこで開発メンバーが社内で長時間、実際にたくさんのゲームをプレイして確認した。「さまざまなジャンルから国内で人気の高いゲームを100以上、順々にzero2でプレイして評価しました」(田邊氏)
ただ問題は、ゲーム内で設定を調整できないシンプルなゲームがあることだった。こうしたゲームは性能がそれほど高くないスマホで遊べば熱くならないが、ハイスペック機で遊ぶと熱くなることがあるという。そこでzero2では、ゲーミング設定でパフォーマンスを調整できるメニューを用意。ゲームの解像度を下げることで動作を軽快にでき、高いフレームレートを維持したまま長時間遊べるようにした。
評価するメンバーは、設定の違いがしっかり体感できるように、好きなジャンルのゲームを集中的に評価したという。何十時間と評価を続けていると、「最終的にみんなzero2が欲しくなった」(田邊氏)という。やはり一番の魅力は軽さだったとか。
ゲーム好きが高く評価する軽さ、性能をスタイリッシュなボディーに詰め込んだAQUOS zero2。一見、普通に見えるスマホは、脱いだらすごい細マッチョなスマホだった。リッチなゲームも快適に遊べるので、普段もストレス知らずで使えるはずだ。そして何度手に持っても、やはりその軽さには驚きと感動を覚える。重いハイスペックスマホに疲れている人に、ぜひおすすめしたい。
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