それだけなら単に「スマホカメラとして進化したのね」で終わるが、ソニーはさらにカメラアプリも進化させることで、よりカメラらしく使えるようにしてきた。
それが「Photography Pro」だ。前モデルの「Cinema Pro」は映像向きだったが、今回は写真用。標準カメラアプリとは別に提供され、日本国内版では製品発売後にソフトウェアアップデートで対応することになるので発売直後から使えるわけではないが、Xperia 1 IIをデジタルカメラとして本格的に使いたい人は要注目だ。
このアプリのポイントは、本職デジタルカメラのように細かく操作しながら撮影できること。まず、画面上にシャッターボタンがない! Xperiaは代々側面にカメラキーを用意しており、シャッターはそれで押す。半押しも可能だ。
半押し時には秒60回の処理を行い、常時被写体を捉えてくれる。Xperia 1 IIの画面は超ワイドな21:9で、カメラの4:3に比べると横幅が広すぎるわけだが、その広さをうまくカメラの操作に使っている。だから常に必要なボタンが見えているし、設定も大きくて分かりやすいし、右手親指でさっと操作ができるのだ。
【訂正:2020年4月29日20時37分 初出時に、Xperia 1 IIのアスペクト比を22:9としていましたが、正しくは21:9です。おわびして訂正致します】
撮影モードはオート(この場合は標準カメラアプリと同等の撮影となる)、P/S/Mの3つ。絞り値は固定なので絞り優先モードはない。
またPhotography Proで「AF-C」+「高速連写」を選ぶと、AF/AE追従で秒20コマの超高速連写が可能になる(広角カメラの場合。それ以外は秒10コマとなる)。
Xperia 1 IIのカメラ性能を引き出し、本格的なデジタルカメラとして使うにはPhotography Proを使うべし(ただし発売時には間に合わないけれども)ということだ。将来はRAWでの撮影も可能になる予定なので、撮った写真を自分でしっかり仕上げたい人には朗報だ。
さらに、同社のαシリーズと連携することで、撮影した写真をXperia 1 IIでチェックしてそれをクラウドにアップロードするなど、モバイルワークフローも充実する。
開発者からの説明を聞いて面白かったのは、Xperia 1 IIのカメラは今のスマホカメラのトレンドの真逆に挑戦していること。
今のスマホカメラは見栄えがよく印象的な写真を撮る方向にどんどん向かっている。人物のビューティー機能のみならず、青空はより青く、花はより鮮やかに、という「装飾的画作り」だ。撮った写真をすぐシェアして印象づけたいときにはその方がいい。
逆にデジタル一眼は、撮影の時点ではできるだけ忠実に光を写し取るのが仕事で、仕上がりイメージがあればあらかじめそういうセッティングをするか、撮影後に仕上げてから使うのが普通だ。その写真をどう仕上げるかはカメラが決めるのではなく、撮影者が決めること、というのが基本にある。
Xperia 1 IIはソニーの「イメージングプロダクトファミリー」の一員として、画作りもデジタル一眼的であるということだ。
それでも、HDRや夜景など連写+合成を使ったスマートフォンらしい撮影機能はちゃんと持っているし、ビューティー機能は初期状態ではオフだが、別途ポートレートセルフィー機能でサポートする。背景をぼかす機能はiToFセンサーの活用は特にしていないが、アルゴリズムの改善は行っており、前モデルに比べて改善されているようだ。
製品が登場したら、速くて賢くなったAFや連写のみならず、デジタルカメラとしての視点でも評価してみたい。
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