Airレジ導入により、売り上げを明確に把握できる効果も狙った。
「昔は、入浴料と物販の売り上げを分けてはいましたが、何がどれくらい売れたかを明確に把握していませんでした。また、時間帯別のお客さん数は、紙に正の字を書くことを時々やる、みたいな感じ(笑)。それらを明確に把握できると、肌感覚だけでなく、みんなで同じ数字の指標を見ながら判断できるんじゃないかと思って導入しました」(菅原氏)。
また、来客数を見える化したことで、人が少ない時間帯に来客を促す方法を考えるようになり、日曜日は朝から休まず営業するようになった。
「朝湯をやっている銭湯は昼に休むところが多いんです。お客さんは、そういうものだと思って昼に来店しない。それを把握できたので、昼間の時間帯に来てもらえるようにSNSで発信しました。お風呂が好きなお客さんは、2度来店されるため、平準化はあまりできませんでしたが(笑)」。
それでも混雑していない時間帯を知らせ、昼湯も気持ちいいという発信をした効果か、集客数が1.4倍になった日もあったという。また、どの商品がどれだけ売れているかが分かるようになったので、仕入れの調整が適切にできるようになった。
「何がどう売れているからこれを入れる、という分析ができるようになり、新たな製品を入れようという話ができるようになったのは大きいです。そのおかげで、単価は高いけれど、少し特別な体験ができる商品を入れられるようになりました」(菅原氏)。
売り上げアップは、キャッシュレス決済導入よりもAirレジでしっかりと売れ筋分析できた効果が大きいようだ。
小杉湯のスタッフには20歳前後から70代まで幅広い年代の人がいる。新しいことを取り入れる際にはハードルもあるが、Airレジ、Airペイとも全年代のスタッフが問題なく使っているという。
菅原氏は、自身が今やっていることは、「小杉湯をこの先100年続く銭湯にするための基盤作り」だという。“この先”を作るためには「毎日の売り上げが分かって、それをみんなで話し合って、次に何ができるかを考えていくこと」が重要で、そのためにAirレジは必要なツールだったと語っていた。
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