―― 音声通話定額に関してはいかがでしょうか。現状、「mineoでんわ」で10分かけ放題を提供していますが、新料金でもここは手つかずでした。
福留氏 今回は音声卸料金の低廉化の一部を見込んで料金を刷新しましたが、今後、実際に低廉化が実現されれば、音声定額メニューも実現して、さらなるサービスの多様化につなげていきたいと考えています。(音声定額の実現は)お客さまの利便性につながるという認識です。
―― それは、アプリを使わずということですね。
福留氏 そうです。できればそうしたいですね。やはりアプリだと、折り返した際に間違って通常の電話アプリを使ってしまうケースがあるというお客さまもいます。できればアプリ電話(中継電話アプリ)を使わずにかけられるようにしてほしいという声は、多数いただいています。(交換機側での)自動プレフィックス付与のような機能が実現されれば、そちらも使いながら実現していきたいですね。
―― 一方で、電話は不要という声も多くあります。どのぐらいのニーズがあるのでしょうか。
福留氏 かなりの声をいただいています。(高齢の)お父さんとお母さんに紹介するときに音声通話定額がないと困るという声が多いですね。mineoのシニアの割合は全体の1割ぐらいですが、音声定額が実現できれば、新規獲得を増やされるのではないか。ぜひとも実現したいと考えています。
―― 今回の料金刷新とは別に、ドコモが小容量プランを対象に、MVNOとの連携を強化しようとしています。NTTグループに関わらずということですが、その動きをどう捉えていますか。
福留氏 今のところ、そういった話はまったく来ていません。一般的なスタンスというところで申し上げると、われわれは独立系の事業者で、キャリアフリーやオープンさを大切な価値にしています。お客さまが自由に選べることが大事というスタンスです。仮にこれまで大切にしてきた価値の中で対応できるのであれば、前向きに検討はしていきたいと思います。
―― 最後に、契約者数やシェアの目標を教えてください。
福留氏 当然、今年度と同程度の獲得数は目指したいのですが、MVNO市場そのものが鈍化していることもあります。そのため、絶対値としての目標数は引き続き定めていません。一方で、シェアは10%を目標しています。ちなみに、総務省の昨年9月末時点でのデータだと、mineoは8.9&でした。
想定以上の料金値下げということもあり、mineoの新料金はユーザーからの好感を得て、好調なスタートダッシュを切れたようだ。インタビューでも指摘したように、Y!mobileやUQ mobileなどとの金額差は縮まっているものの、データ容量を増やして“ちょうどよさ”で差別化を図っていることが奏功した格好だ。交換機でのプレフィックス自動付加機能は実現が間近なため、音声通話定額の見直しも期待できそうだ。
一方で、上記のように、価格差の絶対値は縮まりつつある。例えば、mineoの5GBプランとは1380円だが、UQ mobileの3GBプランは1480円で、その差は2GB、100円。mineoに5Gオプションをつけて条件をそろえると、値段は逆転する。さらなる値下げは収益性を圧迫する可能性が高く、“MVNOならではの価値”をどう打ち出していくのかが今後の課題といえそうだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.