iOS 14でホーム画面上にウィジェットを配置できるようになり、ユーザーインタフェースが大きく変わったiOSだが、iOS 15ではこうした見た目の変化は少ない。アップデート終了直後に画面を開いても、すぐに違いが分からないほどだ。一方で、Safariを開くとまったく別物といえるほど、操作性が変わっている。
すぐに分かるのが、URL/検索ワード入力欄や「戻る」「進む」「共有」といった各種ボタンが、画面下部のバーにまとめられていることだ。iOS 14までのSafariと比べ、片手持ちでも指が届きやすく、圧倒的に操作しやすくなった。これは、iPhoneの大画面化に伴う変化の1つといえそうだ。
タブのグループ化も、iOS 15のSafariに導入された新機能。同様の機能はAndroidのChromeにも搭載されていたが、Safariは、グループ化したタブをコピーして他のユーザーに共有できるなど、ブックマーク的な使い方が可能だ。同じタググループの中にあるページは、URL/検索ワード入力欄を左右にフリックするだけで、簡単に切り替えることができる。親指のフリックで次々とページを切り替えていける操作感は気持ちがよく、必要なサイトにすぐにたどり着ける。現時点では試せていないが、MacのSafariと同じWeb拡張機能にも対応し、機能性も向上する見込みだ。
Appleが得意とするプライバシー保護も、iOS 15ではさらに強化されている。「メールプライバシー保護」の一環として、IPアドレスを非公開にすることが可能。機械学習の処理能力を生かし、Siriはオフラインで実行できるようになった。ただし、後者のオフラインでのSiriは、パブリックβ版ではまだ利用できなかった。パブリックβ版には一部の機能が実装されていないことがあるため、今後に期待したい。また、新たに登場する「iCloud+」でもプライバシー保護機能が強化され、サイトなどに会員登録する際に、ランダムなメールアドレスを生成できるようになる。
この他、メモがタグ付けに対応したり、天気予報のデザインが一新されたり、「探す」や「Game Center」のウィジェットが増えたりと、さまざまな機能が強化されている。実際に使ってみた印象では、iOS 14で刷新されたユーザーインタフェースを受け継ぎつつ、その上に乗るそれぞれの標準アプリをブラッシュアップしたOSだと感じた。Safariや集中モードのように、主要かつ利用頻度の高いアプリや設定が大きく進化しているため、使い勝手がよくなることは間違いない。秋に配信される正式版の世界観にいち早く触れてみたい人は、バックアップを取った上でインストールしてみてもいいだろう。
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