Huaweiから分離して先行きの不透明さが心配されていたHonorですが、着々と新製品を出すことで中国市場では完全復活を遂げています。カウンターポイントの調査によると2021年7月の中国国内のスマートフォン出荷量で、Honorはvivo、OPPO、Xiaomiに次ぐ4位。Appleも抜き去りました。もちろんこの順位は今後変動するでしょうが、中国大手3社と並ぶまで勢力を高めているのです。
そのHonorが2021年8月に投入したのが、フラグシップの「Magic3」シリーズ。Huawei時代のHonor Magicは2016年に登場した「Magic初代」が上下左右のディスプレイを湾曲させたフルエッジスクリーンモデル、2018年に出てきた「Magic2」はディスプレイをスライド式にしてインカメラを隠した全画面モデルで、いずれもディスプレイに特化した製品でした。しかし2世代目から3年ぶりに登場した今回の「Magic3」は、カメラフォンへと生まれ変わったのです。
Magic3シリーズは基本モデルの「Magic3」、カメラ強化の「Magic3 Pro」、超ハイスペックなカメラフォン「Magic3 Pro+」というモデル展開。ディスプレイはいずれも6.67型(1300×2772ピクセル)と高解像度。インカメラは2眼でパンチホールながらも横長でやや目立ちます。プロセッサはMagic3がSnapdragon 888、他2モデルがSnapdragon 888+を搭載しています。
本体サイズもMagic3とMagic3 Proは同じで74.9(幅)×162.8(高さ)×8.99(奥行き)mm。Magic3 Pro+はカメラ部分の形状を変えていることもあり、厚さが9.5mmです。基本的なプラットフォームを同じとし、プロセッサとカメラを変えてバリエーションを3展開しているわけです。
バッテリーも3機種とも4600mAhを搭載。Pro+モデルだけ大容量ということもありません。まだ独立して1年も立っていないメーカーにもかかわらず、複数のモデル展開をうまく行っています。
背面のカメラのデザインを見ると、どことなく見覚えのあるデザインに思えてきます。それはHuaweiの「Mateシリーズ」です。日本では2019年モデルの「Mate 30 Pro」を最後に同シリーズのスマホは販売されていませんが、海外では2020年に「Mate 40シリーズ」が登場しています。どちらもカメラの配置は円形でした。
2021年以降、Huaweiはフラグシップの3つのラインのうち、「P50」シリーズと「nova 9」シリーズしか出しておらず、「Mate 50」シリーズは登場しませんでした。もしかするとHuaweiのMateシリーズの開発部隊がそのままHonorに移動したのでは、なんて思えるほど、Magic3のデザインはMateシリーズを思い起こさせます。
Magic3のカメラスペックはメインが5000万画素、超広角が1300万画素、モノクロ5000万画素という組み合わせ。「いい絵を撮る」ことにフォーカスした組み合わせといえそうです。なお上位モデルはMagic3 ProがMagic3に6400万画素の3.5倍望遠と深度測定を加えた5眼カメラ。Magic3 Pro+はMagic3 Proの超広角を6400万画素にした5眼カメラという構成です。
ところでカメラのUI(ユーザーインタフェース)を見ると、倍率変更ボタンが画面の右側にありますが、これはHuaweiのカメラと同じ。またカメラのモードの「その他」を開くとさまざまな機能が使えますが、このアイコンの形状もHuaweiと同等です。UIの部分はまだHuaweiと共通のものが所々に見られます。
Magic3シリーズは発表時点から海外展開のアナウンスもされていました。Googleサービス(GMS)の搭載も可能になり、欧州などグローバル展開も進められています。Huawei品質のカメラが期待できる製品だけに、Honorの日本展開も期待したいものですね。
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