三井住友カード Tileは、三井住友カードとSB C&Sの提携によって提供される。きっかけは、SB C&S側からの“売り込み”だったという。
当初、SB C&Sは「クレジットカードのノベルティグッズ」として提供することを提案した。しかし、三井住友カードは「Tile機能そのものをクレジットカードに搭載できないか?」と逆に相談を持ちかけたことで両社の共同開発が始まったようだ。
三井住友カードはキャッシュレス決済時の「安心・安全」に注力しており、アプリやカードに新たな仕組みを取り入れてきた。クレジットカードと連携するアプリで「利用ごとのプッシュ通知」や「利用制限の柔軟な切り替え」といった機能を提供している。さらに、2021年からは表面にカード番号を表示しない「ナンバーレスカード」や、物理的なカードそのものを発行しない「カードレスカード」も提供している。
三井住友カード Tileも開発を決めたのも、安心・安全の観点に立っている。カードを落とした位置が分かる仕組みを導入することで、財布を紛失した際の不安を和らげることが狙いだ。
クレジットカードにTile機能を内蔵することは、今回が世界で初めてのケースとなる。SB C&Sは、薄型のバッテリーや充電端子、スピーカー、小型スイッチといった部品の選定を担当した。既存品がない部品は、このカードのために新規設計したという。
一番の難関は折り曲げに対する剛性の確保だったそうだ。サンプルを15回作成し、基盤の設計改善は7回実施された。試作を重ねた結果、1000回以上の屈曲テストに合格する製品に仕上がった。
初回発行を1500枚限定とし、応募者多数の場合は抽選としたのは、新しいタイプのクレジットカードであることはもちろんだが、発行手数料が高いことが理由だという。需要を見極める意味合いも兼ねているようだ。
2回目以降の申し込みを受け付けるかどうかについては、今後検討される。
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