エントリーモデルが相次いで登場した一方で、ハイエンドモデルの価格レンジも広がり、従来のスマートフォンの枠に収まらない端末が注目を集め始めている。
カメラに関しては、デジカメと同等のセンサーを取り込みつつ、スマートフォンの処理能力で高画質を実現する動きが目立った。その先駆けとなったのが、シャープの「AQUOS R6」と同モデルをベースにしたライカの「LEITZ PHONE 1」だ。2機種とも、1型センサーを搭載しているのが最大の特徴。焦点距離19mmの超広角レンズのみで全画角をカバーする仕組みも、これまでのスマートフォンとは真逆といえる。
1型センサーは、12月に登場したソニーの「Xperia PRO-I」にも搭載された。Xperia PRO-Iは、1型センサーをダイナミックレンジの拡大や感度の向上に活用。画素数は「Xperia 1 III」などと同じ1220万画素のため、写真の精細感が向上したわけではないが、AF/AEを追従させながら秒間20コマの連写ができたり、瞳AFで素早く被写体の目にピントが合ったりといった特徴は受け継いでいる。αに搭載される「フロントエンドLSI」で画像処理を行っているのも、この端末ならではだ。
静止画に加え、動画撮影を重視するメーカーが増えたのも2021年のトレンドといえる。中でも注目を集めたのが、Appleの「iPhone 13」シリーズに搭載された「シネマティックモード」。これは、動画撮影時に背景ボケを生み出せる機能で、ボケやピントの位置は後から編集することもできる。“Pro”の名を冠した「iPhone 13 Pro」や「iPhone 13 Pro Max」は、アップデートで「ProRes」フォーマットにも対応し、本格的な動画編集を可能にした。
シネマティックモードはデュアルカメラの「iPhone 13」や「iPhone 13 mini」でも利用できるが、これはAIの力を活用しているからだ。これに対し、GoogleのPixel 6シリーズでは、AIを撮影以外にも応用。オンデバイスで利用可能な音声入力や、ボイスレコーダーの日本語文字起こし機能などに対応し、スマートフォンの新たな可能性を切り開いた。自社で設計したプロセッサの「Tensor」が、こうした機能を下支えしている。
SoCの中の一部半導体を、自社設計に切り替えるメーカーは増えている。画像処理をフロントエンドLSIに任せるXperia PRO-Iも、その一例といえる。また、OPPOはNPUに特化した「MariSilicon X」を開発し、12月の自社イベントで発表した。MariSilicon Xは、2022年に発売されるフラグシップモデルに搭載される予定で、カメラ機能の底上げが期待できる。1型クラスのセンサーとプロセッサレベルでの差別化は、ハイエンドモデルにおけるトレンドになりそうだ。
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