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» 2022年05月12日 17時45分 公開

PayPayが2022年度にソフトバンクの子会社に 宮川社長「もうひと暴れして大きな収穫を」(1/2 ページ)

ソフトバンクが5月11日、2022年3月期決算の決算説明会を行った。2021年度の連結業績、2022年度の連結業績の予想に加え、2023年度以降の取り組みについても説明した。モバイルやPayPayに関する主な質問と回答もお伝えする。

[房野麻子ITmedia]

 ソフトバンクが5月11日、2022年3月期決算の決算説明会を行った。2021年度の連結業績、2022年度の連結業績の予想に加え、2023年度以降の取り組みについても説明した。

ソフトバンク ヤフー LINE PayPay 決算 ソフトバンクの宮川社長

 2021年度の連結業績は、売上高が5兆6906億円で、前年から約4900億円、9%の増収で過去最高となった。また、営業利益も9857億円で前年比2%増となり、過去最高益を達成した。

ソフトバンク ヤフー LINE PayPay 決算 2021年度ソフトバンクの連結業績は売上、利益とも過去最高を達成した

 セグメント別では、通信料値下げの影響でコンシューマー事業が3%減となったが、法人が19%、ヤフー・LINE事業が17%増となり、コンシューマー事業のマイナスを補う形になった。

ソフトバンク ヤフー LINE PayPay 決算 セグメント別の営業利益。宮川社長は通信料値下げの影響が非常に大きかったと述べた
ソフトバンク ヤフー LINE PayPay 決算 営業利益の増減分析。通信料の値下げ影響で770億円のマイナスとなったが、契約数は増加

 期初の見通し対比でも、売上高、営業利益、純利益とも上回った。コンシューマー事業についてはかなり苦戦し、「社長就任初年度は、非常に悪天候というか厳しい1年だったが、その中でも過去最高の売上、利益を達成することができ、ホッとしている」と宮川氏は振り返った。

2022年度は「営業利益1兆円」

 2022年度の経営方針としては、営業利益1兆円の中期目標達成、5Gへの集中投資、フリーキャッシュフロー6000億円の創出、高水準の株主還元の維持の4点を挙げた。

 2022年度の業績予想としては、売上高は前年比4%増の5.9兆円、営業利益は中期目標として掲げていた1兆円を上回る利益を見込む。「2020年8月に発表した中期業績目標を全て上回って達成する見込み」としている。

 2022年度セグメント別の営業利益は、コンシューマー事業で25%減、法人事業では17%増、流通事業で3%増、ヤフー・LINE事業+その他はPayPayの子会社化による連結影響を含んで78%以上の増加を予想をしている。

ソフトバンク ヤフー LINE PayPay 決算 2022年度のセグメント別営業利益予想は、コンシューマー事業で25%減だが、ヤフー・LINE事業+その他はPayPayの子会社化による連結影響を含んで78%以上の増加を予想

 営業利益が1兆円を上回る予想だが、コンシューマー事業は前年度比マイナス25%、約1600億円の減益を見込んでいる。25%も減益してしまう主な要因は大きく2つ。1つは通信料金の値下げ影響で、これが今期でもマイナス900億円となる。また、販売関連費の増加によりマイナス600億円。これについては、1つは2018年度の会計処理変更の影響で、ここ2年間の獲得コストが2022年、最も強く表れるという。それがマイナス400億。また、前期好調だった端末販売の反動によって200億円マイナスとなり、合計600億円の減益と予想している。

 「ヤフー・LINE+その他」の営業利益が78%も増加する最大の要因は、PayPayを連結する影響だ。ソフトバンクは本年度、時期は未定だがPayPayを子会社化する予定で、それによる再評価益や連結後のPayPayの損益の足し引きで78%以上の数字になるとした。

 「PayPayに対しては巨額な投資をしてきたので、それが少しずついろんな形で評価される時期が来たということで捉えていただければありがたい」(宮川氏)

 設備投資は前年度比8%増、4300億円を見込んでいる。2022年3月に5Gの人口カバー率90%を達成したが、「まず面をしっかり5Gで埋め切ることを2022年中に何とか完成させたい」(宮川氏)と、2022年度も引き続き5Gのエリア展開に注力する。トラフィックに応じたスポット設計も行い、「5Gのエリア展開を1段落させたい」と語った。

ソフトバンク ヤフー LINE PayPay 決算 2022年度も5Gのエリア展開に注力する。
ソフトバンク ヤフー LINE PayPay 決算 2022年度の業績予想。中期業績目標の営業利益1兆円、純利益5300億円は達成できる見込み。5期連続の最高益を目指す。

2023年度も通信料金の値下げ影響は約500億円に

 宮川氏は「中長期計画を少し話したい」として、2023年度についても言及した。

 今期、1兆円の営業利益を達成する見込みだが、「正直言うと、PayPayの連結影響を除くとビジネスの営業利益は残念ながら前年対比ではマイナス」(宮川氏)になる。通信料値下げの影響は「思った以上に厳しいというのが現実」とこぼす。

 2023年度も通信料金の値下げ影響は500億円あるが、それは固定費の削減で相殺する見込みだ。さらにビジネスの成長で全体的には増益できると考えており、「営業利益は今期(2022年度)がボトム」だという。

ソフトバンク ヤフー LINE PayPay 決算 (営業利益 PayPayの連結影響を除く)

2023年度も通信料金の値下げ影響は500億円あるが、固定費の削減、法人、ヤフー・LINEなどの成長で2023年度は増益を目指す。

ソフトバンク ヤフー LINE PayPay 決算 通信料値下げの影響は2021年度が770億円。2022年度は900億円、2023年度は500億円を予想し、2022年度をボトムに大幅に回復する

 「端末の買い換えの時に新料金プランに入れ替わるというケースがほとんど。今、端末の買い換えサイクルは大体3年なので、この3年が終わる2024年度には(新料金が浸透し)、値下げの影響は一通り終わってくると考えている」(宮川氏)

 固定費の削減は、プラチナバンド獲得直後の設備投資から10年が経過し、減価償却がなくなることで固定費が格段に下がる時期になるため。また、PHS、3G、ADSLの3つの通信サービスの終了が同時期に重なり、現在と比べると年間200億円ほどの削減になるという。

ソフトバンク ヤフー LINE PayPay 決算 過去の設備投資の償却費が縮小すること、PHS、3G、ADSLの終了によって固定費が大幅に削減

 「2023年からはコストの削減効果もどんどん出てくる。ビジネスの成長と合わせて、2023年度以降の営業利益は増益できると考えている。このV字をできるだけ早い角度で元に戻していきたい」(宮川氏)

スマホの累計契約者数3000万を目指す

 最後に宮川氏は、事業別の取り組みについても説明した。

 スマートフォンの累計契約者数は、2021年度末で2758万件、6%増となった。2023年度のスマートフォン契約数は3000万を目指す。

 ソフトバンクは、法人、コンシューマーの強力な事業基盤を背景に各グループサービスを急成長させるという戦略をとっている。コンシューマー事業は、モバイルからグループ企業のサービスに送客を行ってグループ全体を成長させるという役割を担っており、重要な役割を担っている。「グループ全体のサービスを成長させるためにも、引き続き契約数の拡大を目指す」と宮川氏は語る。

ソフトバンク ヤフー LINE PayPay 決算 スマホの累計契約者数は、2021年度末で2758万件。2023年度で3000万を目指す
ソフトバンク ヤフー LINE PayPay 決算 「2021年度の前半は純増数が本当伸び悩んだが、四半期ごとに右肩上がりで回復してきた。ようやくソフトバンクらしい純増をお見せできるようになったと思う」(宮川氏)

 グループの各サービスが成長することで魅力が高まり、逆にモバイル契約者数の増加につながっていく好循環をソフトバンクは描いている。実際に、例えばYahoo!ショッピングやPayPayのソフトバンクユーザー比率は高い。「まずはわれわれの送客で一気に立ち上げて、それからユニバーサルサービスとして他キャリアさんのユーザーさんにも使っていただくサービスとして根付かせていく」(宮川氏)という戦略だ。

ソフトバンク ヤフー LINE PayPay 決算 コンシューマー事業はグループシナジーによって拡大させる

PayPayは2022年度に連結子会社化

 PayPayについては、2022年度中に連結子会社化を予定。累計登録ユーザー数は4月に4700万を突破したという。最重要KPIとしている決済回数は21年度で36億回、前年度比78%増と大きく伸びた。決済取扱高は5.4兆円、売上高は中小加盟店向けの手数料を有料化した効果で、前期比1.9%増の574億円となった。

ソフトバンク ヤフー LINE PayPay 決算 PayPayの業績

 PayPayは収益モデルを「3階建て」で考えているという。1階はベースとなる手数料収入、2階はクーポンやマイストアといった加盟店向けのサービス、3階が最も高い収益性が見込まれている金融サービスだ。

ソフトバンク ヤフー LINE PayPay 決算 PayPayの収益モデルは3階建て

 1階の手数料収入を上げるには決済回数を増やすことだ。2月には「あと払い」のサービスを追加したが、これを利用しているユーザーは平均決済単価が残高払いのユーザーの1.7倍になるという。

 加盟店向けサービスについては、付加価値サービスを拡充することで収益機会を拡大させていく。3階部分の金融サービスは、今後、グループ内の金融サービスと連携し、個人向けローン、保険、資産運用、リボ払いなどに取り組んで行く。

ソフトバンク ヤフー LINE PayPay 決算
ソフトバンク ヤフー LINE PayPay 決算 加盟店サービスの充実と新たな金融サービスの追加で収入源を多様化する
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