「料金値下げ」がドコモ、KDDI、ソフトバンクを直撃 それでも収益改善に前向きな理由石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

» 2022年05月28日 11時15分 公開
[石野純也ITmedia]

 5月11日から13日にかけ、NTT、KDDI、ソフトバンクの3社が通期の決算を発表した。売上高や営業利益の規模感は異なるが、方向性は近い。政府の意向に沿った形で進んだ料金値下げの影響を受け、通信料収入が減少する一方で、手薄だった法人事業の強化や、上位レイヤーのサービス、特に金融事業を伸ばしてそれを補うというのは3社の共通項だ。

 その基盤ともいえる5Gの展開も加速させている。一方で、ある意味本業である通信事業をどう伸ばしていくのか、少々戦略が異なっている。3社ともサービスとのシナジーを狙い、規模は追求していくが、ドコモやソフトバンクは現状維持を表明しているのに対し、KDDIは「ARPUの最大化に取り組む」(代表取締役社長、高橋誠氏)と前のめりだ。では、それをどのように実現するのか。決算から見えてきた3社の違いを読み解いていこう。

ドコモ
KDDI
ソフトバンク ドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社決算が出そろった。3社とも、料金値下げの影響が直撃した。写真は上からドコモの井伊社長、KDDIの高橋社長、ソフトバンクの宮川社長

料金値下げの影響を色濃く受けた3社決算、端末売上は拡大

 2021年2月から4月にかけて導入された新料金プランやオンライン専用プラン/ブランドの影響は、大手3キャリアの収益を直撃した。ドコモは売上高が4兆7138億円(NTTコミュニケーションズを含まない旧ドコモとして)で114億円の減収、KDDIやソフトバンクは増収を維持したものの、内訳を見ると、通信料収入自体は減少していることが分かる。

ドコモ 再編前の旧ドコモとして見たときの決算概況。営業収益は料金値下げの影響を受け、114億円減少した

 KDDIのモバイル通信料収入は1兆7104億円と、1兆7220億円だった前々年度から落ち込んでおり、ソフトバンクもモバイル回線の売上高は1兆6775億円から1兆6081円に低下した。ドコモの代表取締役社長、井伊基之氏は「ドコモは戦略的な値下げをしたが、その減収効果が非常に大きかった」と前期を振り返る。ソフトバンクの代表取締役社長兼CEO、宮川潤一氏も「新料金の影響を受けている」と語った。

KDDI KDDIは増収増益を果たしたものの、モバイル通信料収入は落ち込んでいる。楽天モバイルからのローミング収入で、一部をカバーしている
ソフトバンク
ソフトバンク ソフトバンクも増収増益で業績は好調だが、コンシューマー事業に限っては、料金値下げの影響をカバーしきれず、3%の減益になった

 新料金プランが好評だったこともあり、値下げ影響は当初より拡大しているという。高橋氏は、「当初は600億円程度と予想していたが、実際に(より)お客さまの移動があり、結果として872億円になった」と語る。値下げ前はauの比率が90%だったのに対し、2021年度は80%程度まで低下し、UQ mobileやpovo、povo2.0に移行が進んでいる。ソフトバンクもこれは同じで、「ソフトバンクのユーザーが多かったところが、だんだんとY!mobileが増え、全体で言うと減収につながっている」(宮川氏)という。

サブブランド 契約者数は順調に伸びている一方で、料金の安いサブブランドの比率が上がっている。これが、ARPUの低下する大きな要因の1つだ

 UQ mobileやY!mobileに相当するブランドがないドコモも、ahamoは好調で、「中(ドコモ内)からの移行もあるし、外(他社)からも取れている。狙っていた層は、着実に入っている」(井伊氏)という。一方で、ahamoは「5Gギガホ プレミア」などの料金プランに比べると、料金が安いため、減収要因につながる。他の料金プランでの値下げも含め、「今年と来年はまだ影響が残る」(井伊氏)という状況だ。

ドコモ ドコモも、ahamoなどの値下げでモメンタム(勢い)を取り戻しているという

 ただし、コロナ禍で店舗への来店が大幅に減った前々年度と比較すると、端末の販売収入は増加。iPhone 13シリーズやAndroidの高機能端末も比較的好調で、収入を支えている構図だ。ソフトバンクの代表取締役副社長執行役員兼COOの榛葉淳氏は「iPhone 13を中心に売れている。前半はコロナの影響もあり、営業活動がなかなかできなかったが月を追うごとにiPhoneが堅調になり、AndroidでもPixelのような端末がお客さまの需要にこたえることができた」と語る。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年02月10日 更新
  1. 「iPhoneの調子が悪いです」の文言、なぜアイホンのFAQに? 実はAppleと深く関係 (2026年02月08日)
  2. 総務省有識者会議が「手のひら返し」な我が国への示唆――日本を国際標準から遅れさせたのは自らの愚策のせい (2026年02月08日)
  3. 「東京アプリ」で1.1万円分をゲット、お得な交換先はどこ? dポイント10%増量+楽天ペイ抽選が狙い目か (2026年02月05日)
  4. KDDI、楽天モバイルとの「ローミング重複エリア」を順次終了 松田社長が言及 (2026年02月06日)
  5. 楽天モバイル、1000万回線突破も残る「通信品質」の課題 5G SAの早期導入とKDDIローミング再延長が焦点に (2026年02月07日)
  6. Googleが台湾のPixel開発拠点を公開 「10 Pro Fold」ヒンジ開発の裏側、“7年サポート”を支える耐久テスト (2026年02月09日)
  7. 東京アプリ、PayPayがポイント交換先に追加される可能性は? 広報に確認した (2026年02月05日)
  8. ソフトバンク、短期解約を繰り返す「ホッピングユーザー」を抑制 その理由は? (2026年02月09日)
  9. 東京アプリ、PayPayとWAON POINTをポイント交換先に追加 交換時期は「決まり次第案内」 (2026年02月09日)
  10. 「小型iPhone SEを復活させて」──手放せない理由SNSで話題 どこが“ちょうどいい”と評価されるのか (2025年11月29日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年