通話もネットも使えない「AcryPhone」が生まれたワケ きっかけは“電池の切れたスマホ”(2/2 ページ)

» 2023年04月07日 11時00分 公開
[渡辺まりかITmedia]
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アノPhoneのマネをしたかったわけではない

―― AcryPhoneのサイトの作りも、それから演出も、実際に手に取った印象も“アノPhone”だったんですが、やはり意識されたのでしょうか。

福澤氏 特定のスマートフォンのサイズにしたかったわけではありません。世の中で出回っているメジャーなスマホケースから逆算したら、このサイズになったんです。これは“ヤドカリ的”だなと思っていて。ヤドカリは、海辺に落ちている貝殻がたくさんある形に合わせてらせん状に体を進化させた。貝殻に合わせてヤドカリが進化したように、アクリルの板もケースにフィットするように作りたいと思った。スマホケースに合わせて作ったら、たまたまスマホと同じサイズになったんですよ。不思議ですよね。

AcryPhone どこでも手に入るケースを使うことでカスタマイズ性を高められる

―― AcryPhoneにぴったり合うケースもあるんですか?

福澤氏 そこがこだりのポイントなんですよ。実は、本物のスマホはわずかですが面取りされているんです。あのスマホと同じ寸法にしてしまうと、面取りしていない、切りっぱなしの、角が立っているアクリル板ではケースに入らないんです。それで、角が立っていてもケースに収まるよう、コンマ数ミリ単位で少しずつ削って小さくしていき、あのサイズになったというわけです。

 削ったけど、ケースに入らなかった、削りすぎてブカブカになってしまったなど、けっこう試行錯誤しましたね。

AcryPhoneの製品サイトはほぼ1人で制作

福澤氏 もう1つこだわったのが、製品サイトです。それだけで半年かかってしまいました。それっぽい写真を撮ったり、外資系のスマホメーカーのWebサイトに書いてありそうな文言を考えつつ、でも実際よく見ると全然関係ない“なんちゃって感”を出してみたりとか。

―― 確かに、写真がどれもきれいですよね。モデルさんを呼ぶのも大変だったんじゃないんですか。

福澤氏 他のアイテムを撮影するときに依頼したモデルさんに、ちょっと追加でお願いしたのが、この写真ですね。

AcryPhone 他のアイテム撮影のために呼んだついでに追加依頼。モデルさんが手にしているAcryPhoneは、どう見ても高級デバイス

福澤氏 それ以外はぼくの手です。

―― えぇっ!

福澤氏 これも、これも、全部ぼくの手です。

AcryPhone 手タレの正体は福澤さんだった

―― すごい。お一人で作られたのですね。

福澤氏 そして、このサイトのイチオシポイントは、末尾の部分ですね。スクロールしてみてください。

―― あれ、「AcryPhoneを購入」以外にも別のボタンがありますよ。

福澤氏 AcryPhoneでは満足できない人への選択肢をご用意しています。

AcryPhone AcryPhone製品サイトの最下部に、「普通のスマホを購入」の選択肢がある

Plusサイズの発売予定は?

―― 大きいサイズのAcryPhone Plusなどの発表予定はないんですか。

福澤氏 作るだけなら簡単なんですが、サイトづくりが大変なんですよね。ぼくが作っているのはジョークグッズではなくアート作品なので、それを紹介するのであれば、きちんと作り込みたい。とはいえ面倒なのはちょっと……。

 面倒といえば、開発当初、AcryPhoneに傷がついてしまったとか壊れたときに「購入後2年以内に限り、正規品の半額程度で買い替えできます」というような内容で「AcryCare」というものも面白いかなと考えていたのですが、運用が面倒そうだったのでやめました。

―― 1人スタジオですものね。

福澤氏 そうなんです。1人でやっているクリエイティブスタジオなんです。だから、皆さんにはECサイトより、作品ページをまず見ていただき、それからECサイトへ行っていただけるとうれしいですね。メインは作品ページですから。



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