「iPhone 15 Pro Max」レビュー:これまでにない軽さ、Maxだけの“5倍ズームカメラ”も試す(2/3 ページ)

» 2023年09月26日 09時30分 公開
[石野純也ITmedia]

Maxだけの5倍ズームの実力は? 大幅進化したカメラ機能

 その大きなボディーを生かし、iPhone 15 Pro Maxにはテトラプリズム方式の5倍望遠カメラが搭載されている。35mm判換算での焦点距離は120mm。これまでは3倍ズームだったため、2倍ほど被写体に寄れるようになった。逆に、5倍未満のズームは、メインの広角カメラでカバーするよう仕様が変わっている。広角カメラや超広角カメラは、iPhone 15 Proと共通だ。まずは、最大の特徴である望遠性能から見ていく。

iPhone 15 Pro Max トリプルカメラ構成は変わっていないが、iPhone 15 Pro Maxにのみ、テトラプリズム仕様の5倍ズームが搭載されている

 以下は、それぞれ1倍、2倍と5倍の写真。1倍だと、風景写真の中に人が写り込んでしまったように見えるが、5倍まで拡大すると人物を撮っていることが分かる。被写体に寄らずとも、ここまで拡大できるのは便利だ。カメラ自体を切り替え、光学的に寄っていることもあり、デジタルズーム特有の画質の劣化はない。1倍と背景の花や人物の肌が少々“盛られている”ようにも見えるが、これはiPhone側が5倍ズームのときに、人物撮影と認識されたからだろう。

iPhone 15 Pro Max
iPhone 15 Pro Max
iPhone 15 Pro Max 上からそれぞれ、1倍、2倍、5倍で撮影

 また、5倍に倍率は伸びたが、F2.8とレンズは比較的明るい。ペリスコープ型の望遠カメラを搭載する他のスマホの場合、一般的にレンズは暗くなりがちだが、明るさを維持している点は評価できる。日の光が当たりづらいトンネル内で撮影してみたが、以下のように5倍の望遠カメラでも、ノイズは少なめだ。ただし、当然ながらメインの広角カメラと比べると画質は落ちる。同じシチュエーションで被写体に寄って撮った写真と比べると、違いは一目瞭然だ。

iPhone 15 Pro Max F2.8とレンズが比較的明るいため、光量の少ない場所でもきれいに撮れる
iPhone 15 Pro Max こちらは、同じシチュエーションで24mmの広角カメラで撮った写真。望遠と比べると、ノイズ感が少ない上に、2400万画素で撮影しているため精彩だ

 特に、iPhone 15シリーズでは標準の画像サイズが2400万画素になっており、ディテールを細かく捉えている。これに対し、5倍望遠は1200万画素。当然ながら、拡大して見たときの精細感は落ちる。比較的性能のいい望遠カメラではあるが、万能というわけではない点には注意が必要だ。

 もとの5倍望遠という倍率を生かし、デジタルズームを使ったときの最大倍率も25倍まで上がった。2倍と25倍にそれぞれ切り替えたときの写真は以下の通り。写真の中央にポツンと写っていたモデルの顔をアップにするぐらいまで、被写体に迫ることができる。一方で、5倍分はデジタルズームがかかっていることもあり、ディテールは甘くなる。率直にいえば、人物写真だと思うとやや厳しい。得意のコンピュテーショナルフォトグラフィーでもう少し解像感が上がるかと思いきや、補正は弱めだ。

iPhone 15 Pro Max
iPhone 15 Pro Max 2倍でこれだけ離れている被写体も、25倍まで拡大すると顔をアップにすることが可能になる

【訂正:2023年10月4日19時45分 初出時、作例のズーム倍率に一部、誤りがありました。おわびして訂正いたします。】

 なお、25倍ズームを利用すると、画面上にサムネイルが表示され、全体像を確認しながら撮影できるため、被写体を見失ってしまうことがなくなる。Androidの高倍率ズームを備えたモデルでは一般的な機能で特段目新しいわけではないが、25倍ズームを利用するときの使い勝手はしっかり考えられていることが分かる。高倍率の割には手ブレも少なく、補正がしっかり効いている印象。望遠カメラの利用頻度が高い人には、オススメできる1台といえる。

iPhone 15 Pro Max 25倍に切り替えると、画面上にサムネイルが表示される。被写体を見失うことなく撮影できて便利だ

 広角カメラの仕様はiPhone 15 Proと同じで、センサーは4800万画素。4つの画素を1つに束ねて感度を上げている。先に述べたようにiPhone 15シリーズからは、記録画素のデフォルトが2400万画素になっているが、これはコンピュテーショナルフォトグラフィーで4800万画素と1200万画素両方の写真を合成し、明るさを保ちつつ、解像感を上げているためだという。また、メインの広角カメラは、画角も24mm、28mm、35mmから選択できる。あたかもレンズを選ぶかのように画角を選択できるのは、プロモデルならではの魅力だ。

iPhone 15 Pro Max
iPhone 15 Pro Max
iPhone 15 Pro Max 上から24mm、28mm、35mmで撮影した写真。同じ広角カメラでも、画角が違うと雰囲気がここまで変わってくる
iPhone 15 Pro Max 画角は1倍のボタンをタップすると切り替えが可能

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年05月12日 更新
  1. “SIMを挿せない”新iPad向け 日本通信が1GBで209円の「データeSIM」を発表 (2024年05月11日)
  2. 「ドコモ社長交代」や「NTTドコモ・グローバル設立」の背景は? NTTグループ決算説明会で語られたこと (2024年05月10日)
  3. 新「iPad Air」実機レポート 先代のiPad Proに近づき、普及価格帯の“ハイエンドiPad”に (2024年05月08日)
  4. 先代からどれだけ値上げ? 新「iPad Air」「iPad Pro」の価格まとめ (2024年05月08日)
  5. KDDI高橋社長、SIM/eSIM不正再発行は「乗り換えの推進よりも非常に重要な課題」 (2024年05月10日)
  6. IIJmioの大容量プランは「思ったよりも好評」、ドコモ回線品質の苦情は「減っている」と勝社長 (2024年05月10日)
  7. KDDI高橋社長が語る新戦略 ローソン協業でPonta経済圏をさらに拡大、5Gは“auだけ”の強みを生かす (2024年05月11日)
  8. 異例ずくめのドコモ社長交代 若返りだけでない、前田義晃新社長の手腕に期待すること (2024年05月11日)
  9. Shokz、ワイヤレスイヤフォン「OpenFit AIR」と骨伝導イヤフォン「OpenSwim Pro」発売 安定したフィット感を追求 (2024年05月10日)
  10. マイナカードで不正に機種変更 ソフトバンク宮川社長「一部の店舗で本人確認が不十分だった」 目視ではなくIC読み取りが求められる (2024年05月09日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年