KDDIはなぜ、海外データ定額の提供形態を変更するのだろうか。
KDDIでパーソナル事業を担当する辻大志氏は、スマホユーザーが、海外でのデータ通信に対する意識が変化したことを理由として挙げる。
辻氏は「海外ではデータを節約する使い方が主流だったが、昨今は日本国内と同じようにデータを使いたいというユーザーが増えている」とユーザー動向の変化を説明する。
5Gスマホが普及し、コロナ禍でスマホの動画視聴も身近になった。これが、データ通信の需要の拡大につながっている。「日本国内で契約している動画配信のサブスクも、国際ローミング経由なら視聴できるものもあるため、海外でデータを使いたい」というニーズが増えているという。
KDDIが5Gサービスを開始した2019年と比較すると、データトラフィックは2.5倍に膨らんでいる。加えて、海外渡航時のスマホの役割も大きくなっている。例えば、地図アプリや配車アプリのように現地の移動手段を確保するためにアプリを使う機会が増えている。
特に若い世代には、国内にいるときと同じようにデータを活発に利用するユーザーが増えている「10〜20代は海外でもSNSや動画配信サイトを使っている。この年齢層では、海外滞在時のデータ利用量はコロナ禍前と比べて、1人あたり約2倍になっている」(辻氏)という。
KDDIがau 世界放題で定額制にこだわるのは、Wi-Fiルーターとの競争という側面もある。KDDIの調査では、海外に渡航する人の約半数がWi-Fiルーターのレンタルサービスを利用している。多くの場合、レンタルされたルーターは、家族やグループ内の全員で共有される。
スマートフォンのテザリング機能を使えば、このようなデータプランを複数のスマホでシェアする使い方はできるが、従来の世界データプランはその使い方に必ずしも適していなかった。国内でのデータプランに基づいて使えるデータ量の上限が設定されるため、データをシェアしたい場合には大容量プランに加入する必要があるためだ。
au 海外放題を使い放題のプランとしたことで、データ容量の上限を気にすることなく、家族や同行者とデータ容量をシェアできるようになった。
辻氏は「Wi-Fiルーターのレンタルと比べると、利用開始の手間が少なく、機器の貸し出し・返却や、端末保障に加入する必要もないため、シンプルにご利用いただける」と強調した。
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