イオンリテールが3月15日、MVNOサービス「イオンモバイル」の料金を4月1日から改定することを発表した。
「さいてきプラン MORIMORI」では、30GB、40GB、50GBのプランを値下げする。30GBプランは550円(税込み、以下同)の値下げで月額2508円に、40GBプランは1100円の値下げで月額3058円に、50GBプランは1650円の値下げで月額3608円になる(いずれも音声SIM)。0.5GB〜10GBの「さいてきプラン」と、さいてきプラン MORIMORI 20GBの料金は変更ない。
さらに、さいてきプラン MORIMORIに60GB、70GB、80GB、90GB、100GB、150GB、200GBのデータ容量を追加する。音声SIMの月額料金は、60GBが4158円、70GBが4708円、80GBが5258円、90GBが5808円、100GBが6358円、150GBが9108円、200GBが1万1858円。今回の改定により、60GBから100GBまでを10GB刻みで追加し、10GBごとに550円上がる。その上に150GBと200GBが並ぶ。
60歳以上を対象にした「やさしいプラン」では、「やさしいプランmini(0.2GB)」を220円値下げして528円とする。やさしいプランのデータ容量は3GB、6GB、8GBの3種類だが、1GBから10GBまで、1GBを110円刻みで選べる料金体系に変更する。
3月21日からは、シェアプランの上限回線数を5回線から8回線に拡大する。さいてきプラン MORIMORIのデータ容量とシェア回線数が拡大することで、100GBを5人で20GBずつシェアする、5人家族に両親を加えた7人でシェアするなど、より大きなデータ容量を多くの人数でシェアできるようになる。
イオンリテールは3月15日に発表会を開催し、イオンモバイル商品マネージャーの井原龍二氏がプラン改定の狙いを説明した。
イオンモバイルでは、2020年から年2回、ユーザーにアンケートを取っている。その結果、平均のデータ容量とシェアを利用するユーザーの比率が年々上がっているという。ここ2年を見ると、平均のデータ容量は2022年3月の4.1GBから2023年3月は5.2GB、2024年2月は6.2GBに上昇している。シェアプランの構成比は2022年3月の27.3%から2023年3月は31.7%、2024年2月は34.9%に伸びている。
また、シェアプランで20GB以上のプランを選択している比率は、料金改定をした2021年から伸びており、2024年2月には40.4%に達した。その背景について、井原氏は「1人で容量を使うのではなく、家族で使う人が増えている」と話す。
シェアプランは音声プランよりも330円高いが、2〜3人目は1人あたり月額220円、4〜5人目は1人あたり月額440円を追加すればデータ容量を分け合えるので、家族がプランを個別に契約するより、ある程度容量の大きなシェアプランを1つ契約して、SIMを追加する方がお得になる。大容量プランが追加されたことで、例えば100GBのシェアプランを契約して、5人家族で1人20GBずつ分け合うといったことも可能になる。
30GB〜50GBを値下げするにあたって着目したのが、1GBあたりの単価。これまで、単価が最も安いのは20GBの98円だったが、今回の値下げで30GBは84円、40GBは76円、50GBは72円に下がり、20GBよりも安くなった。新設した60GB〜200GBの月額料金は最大で1万円を超えており、一見高いように感じるかもしれないが、実は容量が上がるほどGB単価は下がり、200GBは最安の59円まで下がる。ボリュームディスカウントの考えに基づき、「容量が上がる度に安くなるよう、分かりやすさを目指した」と井原氏は言う。
ここまでの値下げに転じることができたのは、将来原価方式による接続料の値下げを見越したため。これまでも、接続料の値下げに応じて料金も値下げしてきたので、その流れに沿ったものとなる。
なお、さいてきプラン MORIMORIは100GBまで10GB刻み、やさしいプランは10GBまで1GB刻みとなり、プラン数が大幅に増えた。これでは、どれを選んでいいのか分かりにくくなりそうだが、契約時にはショップスタッフが相談に乗りながら提案するので、「それほど悩まれていない」と井原氏。
契約後については、イオンモバイルは余ったデータ容量を繰り越せるので、余る分と組み合わせたデータ容量に変更する人が一定数いるという。「1GBと20GBを繰り返している人もいる」(井原氏)そうで、細かく刻まれていた方が微調整が効きやすいといえる。「少し大きめのプランを契約して、余ったら変更すればいい」(井原氏)という考え方が前提にある。プランはマイページから何度でも無料で変更できる。
シェア回線の上限を8回線に拡大したのは、「5回線では足りないという声があった」(井原氏)ため。8回線なら、自分の親や子どもも含めた3世代の家族でもデータシェアがしやすくなる。また、5人でデータをシェアしながら、タブレットやモバイルWi-Fiルーターなどの複数デバイスにデータSIMを追加するといったニーズにも応えられる。
さらに、シェアプランでは、1人あたりのデータ容量の上限を設定できるようになった。これにより、子どもが使いすぎて気付いたらデータ容量の上限まで使ってしまった、といった事態を防げる。
3月から、イオンモバイルの契約窓口も拡大した。イオンカードカウンターで、イオンモバイルの新規契約や乗り換えの申し込み手続きを受け付ける。現時点では47箇所が対象となっており、2024年8月までに全国100箇所に拡大する予定。これにより、イオンモバイルの契約拠点は、直営店と合わせて全国300箇所まで拡大する見込みだ。
今後の目標について、井原氏は2029年3月末までに100万回線を目指すことを掲げた。同時に、「コンシューマー市場でシェアナンバーワンを目指す」とも宣言。
イオンモバイルは、イオンフィナンシャルサービスとも連携しており、例えばイオンモバイルの料金をイオンカードで支払うと、4倍のポイントがたまる。この他、月額100円から加入できるスマホの少額保険、イオン銀行で住宅ローンを契約すると関西までイオングループでの買い物が5%オフになる特典も提供している。こうした金融サービスとの連携も踏まえ、「今後もイオンならではのサービスを展開したい」(井原氏)とした。
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