Opensignalは、日本の主要23空港におけるモバイルネットワーク体感を分析したレポートも発表した。同社は山手線内でも同様の調査を行ってレポートを発表したことがある。
同社の分析では、日本の主要空港ではダウンロードスピード、5Gの利用率が日本の平均よりも高くなっている。一方、モバイルサービスの一貫した品質といった面では日本全国の平均よりも劣っており、「Time with no signal」(電波なし)の割合が全国平均の12倍も高くなっている。
その理由として、ヴィルジコウスキー氏は「空港のインフラが原因と思われる」と述べた。「空港は比較的郊外にあること、建物内部に壁が多いこと、安全対策でモバイルの電波に干渉するものが多いということが考えられる」(ヴィルジコウスキー氏)
また、23の空港における各キャリアの体感も分析している。
ドコモはダウンロードスピード体感で1位、空港周辺の5Gアップロードスピードでは楽天モバイルが単独1位。auは音声アプリの体感で1位、ソフトバンクは空港周辺の5Gビデオ体感で1位となった。auは5Gの利用率と4G/5Gの利用率で1位になっている。
この他にも、先日、アジア太平洋地域で行われたテイラー・スウィフトのコンサートにおけるモバイルネットワーク体感も分析している。
オーストラリア、シンガポール、日本(東京ドーム)の体感を比較すると、東京ドームは最も「一貫した品質」が提供されており、通常の地域よりも東京ドーム周辺の方がより一貫した品質だったという。これは「トラフィックの増加に備えて、キャリアがきちんと対策を取っていたからだと思う」とヴィルジコウスキー氏は分析している。
また、東京ドームは、オーストラリアやシンガポールの会場と比べて、イベント中に電波がない時間が短かった。
レポートの説明後、質疑応答も行われたが、その中でヴィルジコウスキー氏は、OpensignalはvRAN(仮想化無線アクセスネットワーク)に注目していると発言している。
「日本の中で最もホットなトピックがvRAN。この実装と運用に関しては、auと楽天モバイルが先を走っている。日本は世界的に見てもオープンRANの実装で先陣を切っているので、われわれの分析でも注視をしている」(ヴィルジコウスキー氏)
また、他のマーケットではローミングの体感を分析しているところもある。日本ではこれまで分析していないが、今後検討する余地が十分あるとコメントしていた。
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