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「dショッピング」を持つドコモが、なぜECサイトを集めた「dポイントマーケット」を提供するのか

» 2024年10月03日 00時00分 公開
[田中聡ITmedia]

 NTTドコモが、新たなショッピングサービス「dポイントマーケット」を10月8日から提供する。dポイントマーケットは加盟店のECサイトと提携し、dポイントマーケット経由で各サイトで商品を購入すると、dポイントがお得にたまる仕組みを用意する。

dポイントマーケット 外部ECサイトと提携したショッピングサービス「dポイントマーケット」を10月8日に開始する

 ドコモは2012年からショッピングモール「dショッピング」を提供しており、2024年4月からはAmazonでdポイントを使ったりためたりできる提携も開始した。なぜこのタイミングで、外部のECサイトを組み込んだサービスを提供するのか。

 NTTドコモ コンシューマサービスカンパニー カンパニー コーポレート部コマース室 室長の森大輔氏は「dポイントを使える、ためる場所として、街で使えるところでは満足いただいているが、dポイントがネットで利用できるイメージがあまりない。オンラインでもdポイントを利用できるようにしてほしい」という声がドコモユーザーから挙がっていることに言及する。

 また、dショッピングやdファッションだけでは「必ずしもお客さまからのご要望にお応えできていない」とも森氏は話す。dショッピングで扱っている商品数は300万点だが、3.6億点以上(2022年4月時点)を扱っている楽天市場と比べても大きく水を空けられている。dポイントマーケットでは1000万点以上の商品をそろえており、既にdショッピングの取り扱い数を超えている。多数のECサイトとタッグを組むことで、より幅広いジャンルの商品をそろえることを見込む。

dポイントマーケット 現在提供しているdショッピングは、大手ECサイトと肩を並べられる存在にはなっていないのが実情だ

 なお森氏によると、Amazonや楽天市場など、大手ECサイトとの提携は現時点では予定していないという。Amazonとは、dポイントが共通ポイントとして使える形で提携しており、Amazonで買い物をするとdポイントがたまり、dポイントを使って買い物をすることもできる。

 dポイントマーケットでは、dポイントクラブの会員ランクに応じて還元率が上がり、各ショップが設定している還元率を掛け合わせると、還元率は最大20%まで上がる。さらにd曜日で+3%(毎週金・土曜日に還元率が上がる特典)、ahamoポイ活への加入で+10%など、ドコモのサービスとの合わせ技で還元率が上がる仕組みも用意している。dポイントマーケットの最大20%還元と、ドコモサービスの還元率アップを組み合わせると、最大で35%の還元を受けられる。

 なお、Amazonでd払いを利用した際も、d曜日やahamoポイ活などの還元率アップは適用され、dポイントマーケットとの違いはdポイントクラブのランクに応じた還元率アップのみ。

【訂正:2024年10月3日11時55分 初出時、Amazonでのdポイント還元率について、誤った記述がありました。おわびして訂正いたします。】
【訂正:2024年10月3日14時55分 初出時、dポイントマーケットとドコモサービスを組み合わせた場合の最大還元率に誤りがありました。おわびして訂正いたします。】

dポイントマーケット
dポイントマーケット dポイントクラブやドコモのサービス、ショップ独自のポイント還元と連携することで、最大20%のdポイントが還元される

 dポイントマーケットは、Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングのように、1つのECサイト上に多数のショップが出店するモール型ではなく、外部のECサイトへ送客するアフィリエイト型となる。dポイントマーケット経由で商品が購入されると、ECサイトの運営元に成果報酬が支払われる仕組みだ。競合サービスでいうと、楽天リーベイツやLINEブランドカタログなどが該当する。

dポイントマーケット dポイントマーケットは加盟店ECサイトと提携したアフィリエイト型のECサービスだ

 ドコモによると、ECサイトでのdポイント利用を拡充してほしいという要望は、Amazonでdポイントを導入するより前から寄せられていたという。「Amazonとの取り組みは、お客さまのご要望にお応えし、ネットでのdポイント利用を促進する上で、とても重要と考えている」一方で、「メーカーさまや小売事業者さまの直販ECサイトの市場も広がりを見せており、こちらのニーズにも対応していくため、今回アフィリエイト型のサービスを提供することとした」と同社は説明する。

dポイントマーケット サービス開始時の提携するショップ。大手が中心だが、Amazonや楽天市場などのモール型サービスは含まれない

 ドコモはdポイントクラブで約1億の会員を抱えており、メーカーや小売事業者のECサイトにとっては、dポイントマーケットに参画することで、よりリーチできる幅が広がる。ユーザーは商品から検索して購入できることに加え、ショップバナーロゴからECサイトに遷移することもできる。ショップにとっては自社の認知を拡大できるチャンスでもあるわけだ。

dポイントマーケット dポイントマーケット経由で、外部ECサイトの商品ページやトップページへの回遊を促せる
dポイントマーケット 加盟店は約1億のdポイントクラブ会員にアプローチでき、マーケティングデータの取得や広告の出稿なども行える

 提携店舗が増えるほど商品数も増え、ユーザーは高い還元率で商品を購入でき、ドコモはdポイント経済圏を拡大できる。dポイントマーケットはユーザー、ECサイト、ドコモにとって三方よしのサービスといえる。

 ただしAmazonや楽天市場などのモール型サービスに使い慣れている人にとっては、使い勝手で戸惑う面があるかもしれない。dポイントマーケットの入口は1つだが、商品を購入するには各ECサイトに遷移する必要がある。dポイントマーケットはAndroidのみアプリが提供されるが、ECサイトはブラウザからアクセスする形になる。またiOSについてはアプリは用意されず、「お客さまからのご要望を受け、今後の方針を検討する」(ドコモ)とのこと。

 ECサイトに遷移する際、加盟店のIDやパスワードが必要になるため、この部分でステップが増えることもマイナスだ。ただし「dアカウント・コネクト」を導入することで、外部サイトもdアカウント1つでログイン可能になるので、加盟店には案内しているとのこと。

 dショッピングはビジネスモデルが異なるため、今後も提供していく考えだ。「dショッピングはサイト内で購入まで完結できる。dポイントマーケットは加盟店向けに送客するアフィリエイトメニューという立ち位置になる。従来通りdショッピングも提供を継続する」と森氏。

 さらに、「dポイントマーケットを経由してdショッピングで買い物をすると、dポイントマーケットのポイントもプラスでもらえるという縦の構造になっている。(dショッピングとdポイントマーケットは)並列というより、手前の入口として活用いただける」(森氏)とのこと。つまりdショッピングもdポイントマーケットの提携サイトに位置付けられるようだ。

 ちなみにdポイントマーケットの条件として、d払い加盟店である必要はないとのこと。「もちろんd払い加盟店の方にもわれわれからアプローチして、だいぶお入りいただく予定になっている。こちらも拡大していきたい」(森氏)

 なお、外部のECサイトと提携したサービスとして、ドコモは「d払い ポイントGETモール」を2021年6月から提供していたが、こちらは2024年10月22日にサービスを終了し、dポイントマーケットに統合する。dポイント ポイントGETモールは決済手段をd払いに限定していたが、「dポイントマーケットはdカードや他の決済手段も利用できる」(森氏)とのこと。

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