一方で、競合他社、特にキャリアを持つ事業者のそれと比較すると、後発なだけにやや物足りない部分が残るのも事実だ。1つは、加盟店の数。楽天グループの楽天リーベイツは、2024年3月時点で800店舗以上をうたっており、選択肢はdポイントマーケットの数倍に及ぶ。ソフトバンク傘下のLINEブランドカタログも、2024年7月時点で約1000ショップをうたっている。
こうしたポイントサイトでは、数だけでなく、ショップのバリエーションや種類も重要になる。例えば、LINEブランドカタログには、競合でもある楽天市場が掲載されており、ここを経由するだけで0.5%のポイントが上乗せになる。楽天リーベイツにも、au PAYマーケットといった競合サービスが掲載されている。モール型のサービスを掲載することで、ユーザーがポイント還元を受けやすくなるのがメリットだ。
これに対し、dポイントマーケットでは「大手ECモールは今のところ予定していない」(森氏)。ドコモはAmazonとdポイントで提携しているが、そのAmazonもdポイントマーケットには掲載されないという。dポイントマーケットにもQoo10やビックカメラのように、商品数が豊富なサイトもそろっているが、これらの事業者は他社も利用しているため、ラインアップの観点でドコモの独自性が見えづらい。
例えば、楽天リーベイツは海外発であることを生かし、オンライン旅行予約サイトや海外系ファッション通販サイトなどが充実している。後発でサービスを開始するのであれば、やはり“ドコモだけ”の加盟店はアピールしてほしかった。dポイントクラブのランクが反映されれば、他社を還元率で上回れる可能性はあるものの、欲しい商品やサービスがなければ利用は先細ってしまう。数や幅を広げ、独自性を出すには加盟店開拓が急務といえる。
また、dポイントマーケットはあくまで“dポイントをためる”ことができるだけで、必ずしもdポイントの消費先にはならない。d払いやdポイント加盟店とは、必ずしもイコールではないからだ。先ほど引いた森氏のコメントでは、ユーザーの声としてオンラインで利用できる場所を増やしてほしいという意見も挙げられていたが、dポイントマーケットは、このニーズに100%応えられるサービスではない。
オンラインでのdポイント経済圏を拡大するには、dポイントマーケットだけではやや物足りない印象も受ける。dポイントマーケット加盟店にd払い、dポイントの導入を促したり、先に挙げたdショッピングやdファッションといった自社サービスをテコ入れしたりといった、何らかの対策も合わせて必要になりそうだ。
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