JRグループが廃止する「往復乗車券」「連続乗車券」って何? そもそもなぜなくすの?(1/2 ページ)

» 2024年12月06日 15時00分 公開
[井上翔ITmedia]

 JRグループは12月2日、「往復乗車券」と「連続乗車券」の発売を2026年3月をもって終了することを発表した。これに伴い、片道601km以上の往復乗車券について運賃を10%割り引く「往復割引(復割)」も廃止される。販売終了日以前に購入した往復乗車券/連続乗車券については有効期限まで利用可能だが、具体的な販売終了日はまだ決まっていない。

【訂正:17時】初出時、連続乗車券の例示(パターン3)において「東京近郊区間」であることが考慮から抜けていました。おわびして訂正いたします

きっぷ大集合 JRグループが往復乗車券(上)と連続乗車券(下)の発売を2026年3月をもって終了することを発表した

「往復乗車券」の概要

 その名の通り、往復乗車券は同じ区間の「ゆき(往路)」と「かえり(復路)」をまとめて購入した場合に発券される。運賃は片道乗車券の2倍と支払う金額は変わりないが、乗車券に有効期限が2倍になるというメリットがある。

 また、乗車券を払い戻さないといけない場合、通常は1枚ごとに手数料が掛かるところ、往復乗車券なら1枚分の手数料で済むという利点もある。

往復乗車券 往復乗車券は、一気に「ゆき」と「かえり」の乗車券を買うことで、有効期限を2倍にできる上、往復分を払い戻す場合に手数料を1枚分にできるというメリットもある

「連続乗車券」の概要

 連続乗車券は「片道乗車券や往復乗車券では対応できない経路」で購入できる乗車券だ。先述の往復乗車券と同様に、払い戻す際に通常は1枚ごとに手数料が掛かるところ、連続乗車券なら1枚分の手数料で済むという利点がある。有効期間は2枚の期限を単純合算されるというメリットもある。

 ……と、「片道乗車券や往復乗車券では対応できない経路」とはどういうものなのか、パッと思い浮かぶ人はあまりいないと思う。具体的に説明すると、以下の3パターンが考えられる。なお、運賃計算の距離は運賃計算用のものを用いている。

パターン1:「1周してさらに超える」経路に乗車する場合

 東海道本線の静岡駅(静岡市葵区)から国府津駅(神奈川県小田原市)へと向かい、御殿場線経由で沼津駅(静岡県沼津市)まで戻り、再度東海道本線に乗って静岡駅まで戻ってくるルートを取る場合、連続乗車券として購入できる。

 この場合は経路上の重複駅(2度通過することになる駅)で運賃計算をいったん打ち切り、その上で、重複駅から戻る駅への運賃を別途計算する。上記の例の場合、運賃計算は以下の通りとなる。

  • 1枚目の連続乗車券:静岡〜国府津〜沼津間で3080円(163km)
  • 2枚目の連続乗車券:沼津〜静岡間で990円(54km)
  • 合計:4070円

 この経路の乗車券は別個の片道乗車券としても購入できるが、有効期間は1枚目が2日間、2枚目が1日間となってしまう。その点、連続乗車券として購入すれば、有効期間が2日間+1日間=3日間に延長されるので、旅程によってはスケジュールに“ゆとり”を持たせることができる。

 有効期限は2枚の合算となる一方で、途中下車の可否はそれぞれの乗車券の距離で判断される。上記のケースの場合、1枚目は100km超なので途中下車可だが、2枚目は100km以下なので途中下車できない

実はこういう切符も出せる 「1周してさらに超える」経路に乗車する例

パターン2:「一部が重複する」経路に乗車する場合

 東北本線の新白河駅(福島県西郷村)から福島駅(福島県福島市)に向かい、東北本線の郡山駅(福島県郡山駅)に戻ってくる場合、福島〜郡山間が“重複”することになる。一般的には「新白河〜福島」と「福島〜郡山」でそれぞれ片道乗車券を購入したくなるところだが、このパターンの場合は郡山から福島間の経路が重複するため連続乗車券としても購入できる。この場合、運賃計算は以下の通りとなる。

  • 1枚目の連続乗車券:新白河〜福島間で1520円(88km)
  • 2枚目の連続乗車券:福島〜郡山間で860円(47km)

 運賃は合算して2380円となる。このパターンのメリットや注意点は、先に紹介した「1周してさらに超える」場合と同様だ。

 「特急/急行列車や快速列車が目的地を通過する」という場合も、連続乗車券を使うと折り返し乗車がしやすい。ただし、一部の区間では折り返し乗車の運賃を請求しない(無料とする)特例が用意されていることもある(※1)。特例が設定されている区間については、JR各社の運賃案内や時刻表を参照してほしい。

(※1)この特例を適用する場合、折り返し乗車区間での途中下車は一切できない

実はこういう切符も出せる 「一部が重複する」経路に乗車する例
結構出せますよ この条件に当てはまるように購入した連続乗車券。「東北本線の田端駅から秋葉原駅に向かい、秋葉原駅から上野駅に折り返して乗車する」という設定だ

パターン3:経路上の途中駅で「寄り道」して乗車する場合

 中央本線の八王子駅(東京都八王子市)から甲府駅へと向かい、甲府駅で身延線に乗り換えて身延駅(山梨県身延市)に立ち寄り、用事を済ませてから身延駅から甲府駅に戻り、再び中央本線に乗って小淵沢駅(山梨県北杜市)に向かうとする。

 この経路の場合、一般的には「八王子〜身延」と「身延〜小淵沢」という片道乗車券を購入する人が多いと思うのだが、甲府でいったん別経路に抜け、再び甲府に戻ってきて元の経路に戻る連続乗車券として発券することもできる。この場合、連続乗車券の組み立ては以下の通りとなる。

  • 1枚目の連続乗車券:八王子〜甲府〜身延で2310円(136km)
  • 2枚目の連続乗車券:身延〜甲府〜小淵沢で1520円(89km)

 運賃は八王子〜甲府〜身延間の2310円と身延〜甲府〜小淵沢の1520円の合計で3830円だ。

 このパターンのメリットや注意点は「1周してさらに超える」場合と同様で、1枚目は100kmを超えているので途中下車もできる。ただし、出発駅から到着駅への片道(往復)乗車券を購入した上で、乗り換え駅で途中下車し、寄り道する区間の往復乗車券を別途購入した方が安くなる場合もある。購入の是非は、運賃をよく計算してから検討したい。

実はこういう切符も出せる 「経路上の途中駅で寄り道」して乗車する例。この場合、乗車する距離によっては最終目的地まで寄り道せずに行く乗車券(図でいうと八王子〜小淵沢に直行するような乗車券)を購入した上で、寄り道の分岐駅(図中でいうと甲府)で途中下車をし、寄り道する区間(図中でいうと甲府〜身延間)の往復乗車券を別途購入した方が安上がりになるケースもあるので注意したい。なお、八王子〜小淵沢間の中央本線は「東京近郊区間」に含まれるため、両駅を直接結ぶ普通/往復乗車券では途中下車できない(あくまでも、例示だと考えてほしい)
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