5つ目の発表は、ノキアとの協力による、1台のGPUサーバ上でAIとvRANを共存させる技術と、その最適なリソース割り当てを自動化する機能だ。
ノキアのvRANソフトウェアとの連携により、1台のGPUサーバ上でAIアプリケーションとvRANを同時に動作させることに成功。さらに、ノキアのEMS(Element Management System)であるMantaRay NMからvRANの接続ユーザー数などのリアルタイムデータを取得し、AITRASオーケストレーターがトラフィック需要を予測、サーバリソースの最適な割り当てを自動で行う機能も実現した。
これらの技術発表は、2024年11月に発表されたAITRASの機能を大幅に拡充するもので、通信品質の向上だけでなく、AIインフラの効率的な運用や電力最適化など幅広い領域をカバーする。ソフトバンクは、Arm、富士通、ノキア、レッドハットなど業界をリードする企業との協業を続け、今後もAI-RAN技術の発展を推進していく構えだ。
AITRASのソフトバンク自身のネットワークへの導入については、段階的な計画を有している。まず製品評価のための限定的な導入が2025年度から開始される予定で、数サイト程度から始め、機能面、性能面、品質面の評価を行う。この評価の目的は、AITRASが製品として期待通りに動作することを確認するためだ。
本格的な商用ネットワークへの導入については、この初期評価の結果を見て判断する方針だ。先端技術研究所 先端無線統括部 統括部長の船吉秀人氏は「既存のシステムなどの全体の投資計画効率の中で判断されていく」と説明し、現時点では具体的な導入時期や規模については決定していないことを明らかにした。
AITRASは単にソフトバンク自身のネットワークのためだけでなく、他の通信事業者に提供する製品としても位置付けられており、MWC Barcelona 2025では海外の通信事業者との商談も予定されている。
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