今の絵文字に思うこと、12×12ドットでの表現は困難だった──「ドコモ絵文字」開発者が明かす

» 2025年05月22日 08時25分 公開
[金子麟太郎ITmedia]

 1999年の誕生以降、26年と長期にわたって提供が続いた「ドコモ絵文字」が、ついにその役目を終える。ドコモがサービス終了を発表した後、開発者の栗田穣崇氏がXで質問を募集したところ、多数の質問が寄せられた。開発時に苦労したことなど、公開された質疑応答を抜粋してお伝えする。

ドコモ 絵文字 携帯電話向けインターネットサービス「iモード」時代から使われているドコモ絵文字
ドコモ 絵文字 今後、ドコモ端末で利用する絵文字。一部の既存機種はドコモ絵文字を継続して利用できる

―― 絵文字を作った頃のくりたさんの思い出は

栗田氏 とにかく忙しかったので仕事以外の記憶がないです...あ!広末涼子さんと仕事できたのは嬉しかった。

―― 制作するにあたって一番大変だったことは。

栗田氏 12×12ドットという制約の中での表現は困難だった。しかも奇数ドットじゃないのでセンター取れないし……。「位置情報」を絵にするのがいちばんしんどくて、最終的にゴルフのピンを思いつきました。

―― 色はどのように決めたのか。

栗田氏 502シリーズになる時に開発サイドから色を決めてほしいとオーダーがあったので、自分の一存で全部決めました。その絵文字にあった色を6色の中から選んでいます。最初、病院だけを赤にして赤十字さんから怒られたので、黒に変更になりました。

―― どの絵文字が大変で、どの絵文字がすぐに完成したのか。

栗田氏 位置情報は発想そのものが難しく、笑顔はすぐできましたね。

―― デザインを考えるのが一番難しかった絵文字は何か。

栗田氏 位置情報です(当時はGoogleマップなどもなかった)。

―― 最初に完成した絵文字は

栗田氏 「傘」

―― 新しい絵文字を作るなら、どのような絵文字にしたいか。

栗田氏 うなぎ。

―― 1番お気に入りの絵文字は。

栗田氏 絵文字でいちばん好きなのはやはり「ハート」で、それはどんな誹謗中傷の言葉であっても語尾に付けると打ち消す力があるからです(笑顔ではそうはいかない)。デザイン的にはカクテルが好きです。

―― 栗田さんが関わっていない近年に生まれた絵文字で、好きな絵文字はあるか。

栗田氏 iPhoneの顔シリーズはかなり好きです。「考える顔」とか「パーティーハットをかぶり笛を吹いている顔」とか。

―― 今の絵文字について思うことは。

栗田氏 今の絵文字は「文字」じゃなくて「絵」だと思います(絵なので表現に好き嫌いが出ます)が、世界がそれを選んだんだからそれはそれでいいかなと。

―― 想定していなかった使われ方や、これは面白いと思った表現などはあるか。

栗田氏 顔と手を2つ組み合わせたりとか、地下鉄のMをマクドナルドとして使うのとかは想定内でしたが、星座の絵文字のような記号的なもので絵や飾りを描くのは、当時は入力が大変だったりコピペ機能もなかったので凄いなと思いました。

―― 「ゲーム」の絵文字は何のコントローラーをイメージしたのか。

栗田氏 ドット数の制約でスーファミ以外の造形は難しかったです(ファミコンでは形が古すぎる)。

―― 大きなハート1個と、小さなハート2個の感情差は、どのようなイメージで作られたのか。

栗田氏 まさに「2種類あった方が可愛いかな?」 大きいハート1個だとちょっとストレート過ぎて照れくさいから、小さなハート2個もあればなんとなくの気分で使い分けられるのではぐらいの感じで入れています。

―― 開発者として優越感はあるか。

栗田氏 いまだに実感がない、というのが正直な気持ちです。ただ、MoMAに収蔵された時は美術館に自分の名前があったわけなのでグッときました。MoMAから永久入場パスをいただけたのが優越感と言えば優越感ですね(一生に何度も行けないですけど笑)。

―― 最後に使ったドコモ絵文字搭載スマホは。

栗田氏 割と早い段階でメイン機種をiPhoneにしてしまったのですが、サブのXperia SO-52Bが最後だと思います。

―― サービス終了にあたっての心境は。

栗田氏 もう役割は果たしていますし、歴史として美術館にも保存されていくので、寂しい気持ちはなくて、長い間お疲れさまという労いと、たくさんの人に長く使ってもらえてありがとうという感謝の気持ちしかないです。

ドコモ 絵文字 ドコモがサービス終了を発表した後、栗田氏がドコモ絵文字に関する質問の募集を開始したところ、開発時の苦労など多くの質問が寄せられた

栗田氏とドコモ絵文字の略歴

 栗田氏は1997年からNTTドコモの携帯電話向けインターネットサービス「iモード」や絵文字の開発に関わり、2025年現在はドワンゴ取締役COO兼ニコニコ代表を務めている。

 ドコモ絵文字は誕生(1999年)当時、テキストが中心だったモバイル端末において、感情やニュアンスを短く視覚的に伝える手段として重宝。2010年には、絵文字が世界共通の文字コード規格「Unicode」に正式採用され、2016年には、初期のドコモ絵文字176種類がニューヨーク近代美術館(MoMA)の収蔵品となるなど、ケータイ(フィーチャーフォン)の画面を彩った。

 ドコモは昨今の端末の絵文字の利用状況を鑑み、ドコモ絵文字の終了を決断した。

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