Real×Tech LAWSONでは、店舗運営の効率化も図る。ローソンは2030年度までに店舗オペレーションの30%削減を目指しており、本店舗では、その目標達成に向けたさまざまなテクノロジーを導入する。限られた人手でも持続可能な店舗運営を確立し、従業員がより働きやすい環境の構築を目指す。
具体的な取り組みは以下の通り。
飲料陳列、店内清掃、調理など、これまで人力で行っていた業務をロボットがサポートする。これにより従業員の業務負担を軽減し、より複雑な作業やユーザー対応に時間を充てることが可能となる。例えば、飲料陳列ロボットとスマートシェルフの組み合わせにより、在庫状況や欠品状況を可視化し、在庫管理と余剰在庫削減に貢献する。
1号店では、ロボットを使ってからあげクンの調理の一部を担当する。従来、唐揚げを揚げる際、人がバスケットを揺らして唐揚げがくっつかないようにしていたが、この揺らし動作をロボットが担当し、マニュアル通りの調理が可能になる。油切りをした後に、自動で商品を箱詰めする作業もロボットが行う。
将来的には、冷凍庫から原材料を自動投入して調理をしたり、店内在庫や来店者の動きに応じて自動で調理をしたりする自動化の実現も視野に入れている。
従業員が装着するタグから店舗業務量を定量的に算出し、業務最適化の課題を抽出する。また、防犯カメラの情報をもとに棚の充足率やユーザー行動を可視化し、AIエージェントが課題抽出から改善策の提案、検証までを一貫して支援する。これにより、経験に左右されず、データに基づいた効率的な店舗運営が可能となる。
セルフレジ操作中のユーザーを、3Dディスプレイに表示されるアバターが遠隔からサポートする。このアバターはAIではなく実際のオペレーターが対応する。1号店では1台のセルフレジが遠隔接客に対応しており、に酒・たばこ購入時の年齢確認を3Dアバターが行うことで、店舗内の従業員の省人化につなげる。
KDDIとローソンは、この第1号店やKDDI高輪本社内店舗での実証結果をもとに、Real×Tech LAWSONの仕組みを高輪で構築し、店舗やオフィス、街全体の課題解決とイノベーション推進を目指す。高輪での成果を踏まえ、将来的には日本全国、そして海外への展開も視野に入れている。
ローソン代表取締役社長の竹増貞信氏は、「この新しいリアル×テックコンビニを世の中のスタンダードにしていく」と意気込みを話し、50周年を迎えたローソンが、次の50年を歩む第一歩としてふさわしい店舗だとした。
全国のオーナーからもReal×Tech LAWSONには大きな期待が寄せられており、「いつ自分の店にも来るのか」という声が多く聞かれるという。竹増氏は、この店舗で今後出てくる課題を、KDDIや協力企業とともに解決していく意向を示した。そして、そこで得られた知見を全国のローソン店舗に展開し、Real×Tech LAWSONの拡大を目指す。
KDDI代表取締役社長CEOの松田浩路氏は、ローソン高輪ゲートウェイシティ店を「未来に向けた実験場」と位置付ける。「うまく行かないことはここで洗い出し、うまく行ったものは速やかに広げていきたい」
1号店ではあらゆるテクノロジーを組み込み、そこから得られる膨大なデータをデジタル化することで、顧客の利便性向上と店舗運営の効率化を目指す。さらに、AIドローンによる点検や次世代モビリティによる地域交通、Starlinkによる防災に強い通信整備など、公共サービスへの貢献も視野に入れている。
なお、Real×Tech LAWSONの全国展開の具体的な計画は未定。「どこの拠点に何カ所、Real×Tech LAWSONを展開するかは、現時点で具体的なことは決まっていないが、オフィス(ビル)は非常に展開しやすい」と松田氏は話しており、オフィスビルに入っているローソンがReal×Tech LAWSONに進化する可能性が高そうだ。
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