Galaxy AIはサムスンが独自に実装したAIだが、同社はGeminiを搭載するにあたり、Goolgeとの関係も強化している。例えば、1月に発表されたGalaxy S25シリーズでは、GeminiがAIエージェント的にアプリを操作する機能にいち早く対応した。ここで連携するアプリには、サムスン電子のカレンダーや「Samsung Notes」などが含まれる。
その後、Geminiのアプリ連携機能はGoogleのPixelを皮切りに、他社の端末にも広がっていったが、1、2カ月はサムスンが他社をリードできた。Galaxy Z Fold7/Flip7では、このアプリ連携をGemini Liveにも拡大。映像や画面を見せながらGemini Liveに話しかけている際に、カレンダーにスケジュールを登録してもらったり、画面に表示されている情報をSamsung Notesにメモとして残してもらったりといった用件を頼めるようになる。
Googleは、GeminiのWearOS対応を5月に発表していたが、その第1号機となるのも、Unpackedで発表された「Galaxy Watch8」「Galaxy Watch8 Classic」だった。スマホとBluetoothなどでペアリングしているときはもちろん、単体で通信が可能なLTEモデルでは、スマホが近くにないときもGeminiを利用できる。料理中にレシピを聞いたり、スポーツ中に雑談の相手をしてもらったりと、スマートウォッチに対応することで利用シーンが広がる。
Android 16を搭載した状態で最も早く出荷されるのも、サムスン電子のGalaxy Z Fold7/Flip7だった。例年、Galaxy Zシリーズはその時々の最新OSが搭載されてきたが、最新バージョンのAndroidが秋に登場すると、しばらくはそこに追随できていなかった。例えば、Galaxy Z Fold6は6月にAndroid 15へのアップデートが実施されたばかり。2024年10月にアップデートが始まったPixelシリーズとは、半年以上の開きが出てしまった。
こうした事情もあり、Googleには一部スマホメーカーからAndroidの最新バージョンを巻き上げる要請があったことが、2月に開催されたMWC Barcelonaで明かされている。Android 16が例年より大幅に早い6月に登場したが、これはその声に応えたためだ。結果として、サムスン電子は出荷時からGalaxy Z Fold7/Flip7にAndroid 16を搭載することができた。Android 16がプリインストールされた状態で発売される端末として、一番乗りを果たせたというわけだ。
GeminiやAndroidでの連携ぶりを見ると、サムスン電子とGoogleの距離が一段と縮まったように感じられる。サムスンはプラットフォーマーとしてGoogleを、Googleはトップシェアのメーカーとしてサムスンを活用することで、お互いに足りないものを補い合っていることが分かる。ユーザーにとっては、Galaxyでいち早く最新OSに触れられるだけでなく、Galaxy Z Fold7/Flip7に最適化されたソフトウェアやGeminiを利用できるのがメリットになる。
ハードウェアを刷新し、他社の追撃をかわすサムスン電子だが、さらにソフトウェアやAIでの差別化を図りつつ、プラットフォーマーであるGoogleとの関係をより強固なものにしようとしていることがうかがえた。ハードウェアという箱だけであれば、他社も追随しやすいが、ソフトウェアやGoogleとの関係は一朝一夕には築けない。Unpackedでは、トップシェアの立場を生かした戦略をより徹底していることがうかがえた。
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