一方で、ドコモはコンシューマーの通信に絞ると、前年同期比で減収減益になった。特に、営業利益は1046億円となり、398億円の大幅減益に見舞われている。島田氏によると、要因の「メインの1つは、顧客基盤強化のためのマーケティングコスト」だという。また、「サービス品質の強化もあり、そこに対しては新しい基地局を20%ぐらい増やしており、そのコストもかかっている」。
実際、ドコモは第1四半期に設備投資を1849億円投下しており、前年同期比で649億円の増加になっている。通信品質強化に本腰を入れたことでコストがかさんで減収になった格好だ。非通信領域のスマートライフや法人事業ではプラスになっている部分もあるが、「それだけではカバーできなかった」(同)。
KDDIは、「スマホトクするプログラム」の影響などで一過性の減益になったというが、モバイル収入は4882億円から4905億円に、モバイルARPUは4280円から4340円へと上昇しており、業績自体は好調。既存の料金プランを値上げすることもあり、来期以降では通信料収入の伸びが加速するとしている。
ただし、UQ mobileはミニミニプランを廃止したことで、「今まで取れていた小容量プランのところが、少し弱くなっている」(松田氏)という。上位プランである「コミコミプランバリュー」の選択率が4割になり、解約率も低下しているUQ mobileだが、低価格の料金プランがない中、新規のユーザーをどう獲得していくかは今後の課題になりそうだ。
また、KDDIはauと同様、UQ mobileの既存プランを値上げすることを表明しているが、その具体的な金額などは明かされていない。値上げはミニミニプランも対象になると見られており、この影響がどのように出るかが未知数だ。価格に対してセンシティブなユーザーが多いだけに、一時的に解約率が上昇したり、ユーザー数が減少してしまったりする恐れもある。
決算説明会の段階では、「公表できる段階になっていない」といい、「この部分にどのような価値をつけていくべきなのか、社内でもシミュレーションをしている」(同)という。料金という観点では、オンライン専用でトッピングを自由につけられるpovo2.0もあり、UQ mobileの旧料金プランと比べても“ギガ単価”はリーズナブルになっている。値上げによる解約の影響を抑えるには、こうしたブランドを今まで以上にうまく活用していく必要性がありそうだ。
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