プロセッサは他のPixel 10シリーズと同じ「Tensor G5」で、AIを使った機能も同じように利用できる。撮影では、AIが被写体を認識し、利用する機能や構図、フレーミングのアドバイスをしてくれる「カメラコーチ」に対応する。Pixel 10シリーズのレビューでも書いたように、頼りすぎるとAIに操られているような気分になってくるものの、指示に従うだけで適当に撮るよりクオリティーが上がるため、撮影に自信のない人にはいい機能だ。
実際、モデルに適当にカメラを向けてシャッターを切った写真と、カメラコーチに従ってポートレートモードを有効にし、より近づいたうえでカメラの位置も気を付けながら撮った写真を比較すると、違いが分かりやすい。さすがにプロが撮った写真とまではいかないが、かなり見栄えがよくなっている。AIを単なる画質向上ではなく、ユーザーのセンスを磨くために使っている点は面白い。
もう1つの大きな売りといえるのが、ユーザーの行動を先読みして、最適なアプリを提案したり、アプリ内から情報を引っ張ってきて画面に表示したりしてくれる「マジックサジェスト」だ。ただし、こちらは他のPixel 10シリーズをレビューした時と同様、あまり有効には機能しかなかった。
フライトの予約をしたメールは届いていたが、それを尋ねても特に反応はなし。宿泊先の情報を表示してくれるということもなかった。使い始めてからしばらくたっているため、解析は終わっていたはずだが、まだまだ利用できるシーンは限られているのかもしれない。
一方で、メッセージ中にはカレンダーアプリを提案してくれることはあった。予定を聞かれたようなときに、自分でアプリを選択せず、メッセージアプリ内から直接カレンダーに移れるのは、ちょっとしたことだが便利。特に、チャットのようにテンポよくメッセージをやりとりしている際には、役立つ機能といえる。まだまだ改善は積み重ねる必要があるが、AIが行動を先回りしてくれるというコンセプトは面白い。
AI関連でもう1つ便利なのが、オンデバイスで文字起こしが可能なレコーダーだ。これはPixel 10 Pro Foldに限ったことではないが、フォルダブルスマホの場合、半開きの状態のまま、文字を表示できるため、PCなどでメモを取りながらその中身を確認しやすい。リアルタイムでかつオンデバイス、さらに折り曲げられるのはPixel Foldシリーズだけ。その文字起こしがサクサク進むのは、最新のチップを備えているからこそだ。
もっとも、そのTensor G5ゆえに、GPUをフル活用する一部のゲームに制限がかかってしまう側面もある。特にこの機種は画面サイズが大きいだけに、この点は少々残念。価格が26万7500円(256GBモデル)にも上るため、なおさらそう感じる。3世代目になったPixel 10 Pro Foldだが、サイズ感などにも含めてもうひと頑張が必要。AIとの組み合わせで使い勝手はいいだけに、アップデートによる改善にも期待したい。
(製品協力:Google Japan)
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