ソフトバンクとエリクソン・ジャパンは1月29日、AIを活用した外部制御によって「Massive MIMO」基地局のカバレッジパターンを自動で最適化するシステムを導入したと発表した。本システムは、「大阪・関西万博」での実証実験において通信品質の大幅な向上を確認したことを受け、首都圏の大規模アリーナやドーム型施設など国内の複数拠点での運用を開始している。
大規模なイベント会場やテーマパークでは、通常時とイベント開催時で利用者のトラフィック分布が大きく変動する。従来の手法では、あらかじめ時間帯を指定してカバレッジを変更していたが、天候によるイベントの中止や開始時刻の変更、急な入場制限などには十分に対応できない課題があった。ソフトバンクとエリクソン・ジャパンはこれらの課題を解決するため、状況に応じてカバレッジを自動で制御するソリューションの検証を重ねてきた。
本システムは、外部制御装置であるサーバが基地局から1分間隔で利用者分布データを取得し、AIが現在のイベント発生状況を自動で判定する。Massive MIMO基地局の水平面および垂直面の電波の広がりを動的に自動最適化する。
大阪・関西万博の会場内における実証では、屋外エリアの基地局に本システムを適用した結果、急激なトラフィック変動時において5Gの通信速度(下り)が76.9Mbpsから95.5Mbpsへと約24%改善した。
この数値の向上は、多くの来場者が一斉にスマートフォンを利用する状況下でも、急激なトラフィック変動に伴って発生しやすい輻輳(ふくそう)によるデータ送受信が停滞する現象「パケ止まり」を回避できることを示している。
本システムにおいて、ソフトバンクはユースケースの検討と実証評価を担い、エリクソン・ジャパンはシステムの提供を行っている。両社は今後、この自動最適化システムをさらに多くの施設へ拡大していく方針だ。これにより、スポーツ観戦や音楽ライブといった大規模イベントにおいて、時間帯や人の流れに合わせた最適な通信環境を実現できる。
ソフトバンクとエリクソン・ジャパンは、今回の成果をもとにさらなる導入拡大を推進し、デジタル社会における快適な通信環境の構築を目指していく。
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