最後になってしまったがパフォーマンスにも触れておこう。本機はCore 2 Duoとは言え、CPUの動作クロックが1.06GHzで、さらにチップセット内蔵グラフィックスであることから、Windows Vistaの動作に関して不安に感じる人がいるかもしれない。しかし、HDDに2.5インチ/5400rpmタイプを採用した効果もあってか、OSであるWindows Vistaはもちろん、Webブラウザやオフィススィートの利用でストレスを感じることはほとんどなかった。
Windows エクスペリエンスインデックスの基本スコアは2.0と高くないものの、これはチップセット内蔵グラフィックスの影響で仕方のないところ。プロセッサとメモリは4を越え、HDDにいたっては5.0を記録している。一方、PCMark05に関しては筆者のミスでPCMarks(トータルスコア)の算出ができなかったが、CPU、Memory、Graphics、HDDの各スコアから想定するとPCMarksは2000台前半には確実に達していると思われる。
3Dグラフィックスはさすがに3DMark06のスコアは参考にもならないレベルだし、FFベンチでもFINALFANTASY XIがぎりぎり楽しめる程度だが、本機の位置付けを考慮すればあまり重要な問題ではないだろう。
何かほめっぱなしな気もするのだが、実際モバイルノートPCとしての欠点が少ないのは事実だ。無理のないサイズのフットプリントが生む使い勝手のよさ、高い携帯性と堅牢性、メインPC利用にも便利な2スピンドル構成、必要十分なパフォーマンスと、とにかくツボは押さえている。競合機は「Let's note LIGHT W5」シリーズや「VAIO Type G」シリーズあたりになると思うが、基本スペック、重量ともに本機が上回っている部分が多い。また、ここ数年のdynabook SSシリーズは、デザイン的なやぼったさが抜けない面もあったが、本機は薄型の筐体によってデザイン面でもぐっと垢抜けた感がある。
モバイルノートPCとしては完成されている半面、所有欲を満たす要素が少なめなのは気になるところでもある。質実剛健なのは同社のモバイルノートPCの伝統と言えなくもないが、パッと見でdynabookだと思わせる部分はほとんどないし、クリックボタンのメッキも余計としか思えない。デザイン的なワンポイントを狙ったのなら、せめてヘアライン加工された金属プレート程度は奢って欲しかった気がする。さらに言えば、カラーリングに関してもせめて直販モデルではバリエーションを持たせるくらいのことはしてほしかった。ビジネスユースだけでなく個人にも本気で売る気があるのなら、真紅や青、黒のdynabookがあってもよいと思うのだ。
繰り返しになるが、総括すると本機は本当によく出来たモバイルノートPCだ。中にはフットプリントの大きさを気にする人もいるだろうが、実際に触れてみればその必要性もよく分かると思う。モバイルノートPCでありながら我慢や慣れを強いられる部分がほとんど見当たらないのだ。競合製品に対して少々強気な価格設定は気になるが、ノートPCをモバイルで使う人には、dynabook SS RX1が後悔のない選択肢の1つであることは間違いない。
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