15.4インチワイド液晶ディスプレイの解像度は1280×800ドットだ。コンシューマー向けらしく表面は光沢仕上げとなっている。輝度は特別高くないものの、鮮やかな発色だ。上下の視野角はやや狭いが左右の視野角は広く、視認性は良好といえる。ただ、液晶面の映り込みは激しく、黒い画面が多い映画などでは気になるだろう。
キーボードは、ほとんどのキーで縦/横方向ともに19ミリのピッチを確保し、キーストロークも2.5ミリと標準的で、ほどよいクリック感があり、たわみを感じるようなこともなく、タッチ感は良好だ。ただ、ファンクションキーのある最上段のキーがやや小さく、Enterキーの右側にPageUpやPageDown、さらにBackSpaceキーの右にHomeがあるという変則的なレイアウトはミスタイプを誘いやすく、残念に感じる部分だ。
タッチパッドは横幅が85ミリ、縦方向が42ミリと大きくて使いやすい。プリントのある右端部分はスクロール操作に対応するほか、タッチパッド上部にタッチパッド機能をオフにするボタンが用意されており、キーボード操作中の誤操作を防げる。細かいところだが、タッチパッド自体にもコーティングが施されているので慣れるまで違和感を覚えたほか、クリックボタンのストロークがやや深いのが気になった。
キーボード上部には、電源ボタンのほか、映像や音楽を再生できる同社オリジナルソフトウェア「QuickPlay」の起動や、DVD-Videoや音楽CDなどマルチメディアコンテンツの再生操作、音量調整に対応したタッチセンサ式のボタンが用意されている。さらにその奥にはALTEC LANSINGブランドのステレオスピーカを内蔵し、大きめの音量でも音割れすることなくマルチメディアコンテンツを楽しむことができた。また、ExpressCardスロット内に収納しておける赤外線リモコン「HPモバイルリモートコントローラ」も標準で付属しており、離れた場所からでも本機を操作可能だ。
指紋認証センサとWebカメラについては、デザインによって搭載/非搭載が異なる。「shizuku」では液晶ディスプレイ上部にある中央にWebカメラ、右パームレスト部の指紋認証センサともあり/なしを選択できるが、評価機の「mebae」デザインでは、Webカメラが標準装備(なしの選択はできない)となり、指紋認証センサは装備できない。


主要キーは19ミリピッチを確保する(写真=左)。タッチパッドがパームレストの左右中央部分にあるほか、Enterキーの右側に複数のキーがあり、慣れるまではミスタイプを誘う。キーボード上部には静電容量式のワンタッチボタンが並ぶ。右側面のExpressCardスロットに収納可能な赤外線リモコンが付属する(写真=中央)。タッチパッドにはシナプティクス製の多機能ドライバが導入済みだ(写真=右)それでは、ベンチマークテストの結果を見てみよう。改めて評価機のスペックをまとめておくと、Intel GM965 Express搭載のベースシステムに、CPUがCore 2 Duo T7250(2.0GHz)、メモリは2Gバイト、HDDは120Gバイト、そしてBD-ROMドライブ、OSにWindows Vista Home Premiumを搭載した構成だ。
ベンチマークテストでは、このスペック通りの順当な結果が出ており、PCMark05 1.2.0では、総合スコアのPCMarksで4000以上、CPUでは5000を超える優秀な値をマークした。ただ、チップセット内蔵のグラフィックスコアを利用しているため、どうしてもGraphicsのスコアがやや見劣りする。DirectX 9.0c対応ベンチマークテストである3DMark06 1.1.0のスコアも妥当だが、本格的なゲームタイトルのプレイはつらい。ただ、DirectX 8.1世代がベースのFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3のスコアはまずまずで、何とか実用的にプレイできるレベルにはある。
Windowsエクスペリエンスインデックスのスコアは別掲の通りで、グラフィックス関連がやや物足りないものの、Windows Vistaを問題なく快適に利用できるレベルはクリアしている。
冷却や騒音面については、起動時やスリープからの復帰時に少し大きな風切り音がするが、すぐに下がり、Webブラウズやワープロなど負荷の軽い作業をしているぶんには特に回転が上がるようなこともなかった。ベンチマークテストなどで高い負荷をかけ続けると冷却ファンの回転が上昇し、徐々に高速になっていくが、高速回転時でも耳障りなノイズは発生しなかった。
発熱は基本的にあまり気にならず、最も熱くなるバッテリー付近でも一連のベンチマークテスト終了時に放射温度計で計測したところ47度(室内温度は25度前後)だった。長時間(2時間以上)使っていると、HDDを収納している左パームレスト部分にじんわりする程度(放射温度計で40度弱)の発熱が感じられた。
視認性のよいワイド液晶を搭載し、マルチメディア機能も豊富、パフォーマンスも水準以上と、本機は見どころが多い。剛性感の高いカッチリしたボディの設計、高級感が感じられるデザインも好感がもてる。スタンダードモデルとはいえ、Windows Vista搭載ノートPCとして上質感のある仕上がりになっている。キーボードのレイアウトにはやや難があると感じるが、コンシューマー向け製品のためそれほど重視しないユーザーも多いだろう。
気になる価格だが、BD-ROMドライブを備えた評価機の構成で12万4950円となる。BDドライブをDVDスーパーマルチドライブに変更した「発売記念キャンペーン第2弾・モデル」ならば9万2400円、最小構成ならば7万9800円だから、コストパフォーマンスは非常に優秀と言える。家庭で利用するWindows Vista搭載ノートPCを探しているならば、検討に値する製品なのは間違いない。
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