PCとしての本体は、45ナノメートルプロセスルールのPenryn(開発コード名)を中核としたMontevinaプラットフォームがベースだ。通常電圧版のCPUであるCore 2 Duo P8400(2.26GHz)か同P8600(2.4GHz)を採用するThinkPad X200に対し、X200 Tabletでは超低電圧版のCore 2 Duo SU9300(1.2GHz)あるいは低電圧版のCore 2 Duo SL9300(1.6GHz)、同SL9400(1.86GHz)を搭載する。低電圧版は超低電圧版に比べ動作クロックが高いだけでなく、2次キャッシュも2倍の6Mバイトとなるため、性能上有利だ。
この超低電圧版および低電圧版CPUの採用に伴い、チップセットもX200のIntel GM45 Expressから、パッケージを小型化すると同時に、低電圧/超低電圧にも対応するIntel GS45 Expressに変更されている。GS45ではサウスブリッジチップも小型パッケージのICH9M-SSFになっており、標準でAMTのサポートが加わる。そのためか、X200 TabletはvProに対応した製品となっている(X200はvPro非対応)。
サポートするメモリはX200と同じく、PC3-8500対応のDDR3メモリだ。標準で実装されるのは1Gバイトのモジュール1枚のみ(空きスロット×1)で、最大搭載メモリは4Gバイト(2Gバイトモジュール×2)となる。メモリは底面のパネルを取り外すことで容易に増設可能だが、ほかのオプション(無線関係のモジュール類)は、キーボードユニットを取り外さねばならないのはX200と同様だ。チップセット内蔵グラフィックス(Intel GMA 4500MHD)は、最大256Mバイトをメインメモリと共有する。
ExpressCard/54スロットや3つのUSB 2.0ポートなど、充実したインタフェースを備えるのもX200と変わりない。デジタイザペンを本体に収納する関係上、一部レイアウトが異なる部分もあるが、基本的なポート類の配置はX200に準じる。本体右側面に収納されるHDDはゴムレールで保護されたうえ、3次元センサーで衝撃から保護されており、これもX200と同じだが、X200 Tabletではこのセンサーを用いてアクティブローテーション機能も実現している。アクティブローテーションとは、本体が保持される方向を3次元センサーにより読み取り、自動的にディスプレイの表示方向を切り替える仕組みで、ユーザーが本体を横向きから縦向きに持ち帰ると、自動的にディスプレイの表示も切り替わる。
前回のX200と環境をそろえ(メモリを2Gバイトに増設し、OSをWindows Vista Businessに変更)、同じベンチマークテストを実施してみたが、CPUの動作クロックが2.26GHzから1.6GHzに低下したことを反映した結果になっているだけで、傾向に大きな変化はない。2.5インチHDDの採用もあって、モバイル向けノートPCとしては高い性能を備えている。本機に注文があるとしたら、性能より一層の軽量化ということになりそうだが、すでに前モデル(X61 Tablet)から200グラム近く削ったことを考えると、厳しすぎる注文かもしれない。
一番残念なのは、このThinkPad X200 Tabletを実際に見て、触れる機会がほとんどない、ということだ。ディスプレイの見え具合にしても、手書き入力の書き味にしても、人間の感覚に訴える部分だけに、実際に手に取る機会がなければ、そのよさは分からない。しかし首都圏においても、このX200 Tabletの実機を展示した販売店や量販店はほとんどないのが実情だ。これでは、レノボの営業を呼びつけられるような大企業以外で、本機を買ってくれるところは現れないのではないかと心配になる。Vista以降、せっかくWindowsが標準でTablet機能を備え、ソフトウェア的にも特定用途向けに限らない、一般のユーザーにTablet PCを売り込める環境が整いつつあるというのに、これでは機会を逸してしまう。常設のショウルームやイベント、展示会など、本機に触れる機会を作り出してほしいと思う。
次回はThinkPad X200sを見ていく予定だ。
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