“Eee PCの上を行く”Atom搭載スリムノート――ASUS「S121」とは何者か?(後編)Atomだってオーバークロック(2/3 ページ)

» 2009年05月15日 19時00分 公開

Atomのオーバークロックでパフォーマンスはどれだけ上がる?

 ここからは各種テストを実施して、S121の性能を検証していく。まずは総合ベンチマークテストのPCMark05と、CrystalMark 2004R3(ひよひよ氏作)を実行し、システム全体のパフォーマンスをチェックした。S121はオーバークロック機能の「ASUS Power4 GearTurbo」を備えているため、これを利用した場合でもテストしている。PCMark05については、過去に行ったEee PC S101/S101Hのテスト結果も併記した。

 ちなみに、Intel SCH US15WチップセットのWindows XP用ドライバはVista用ドライバより完成度が低く、3D描画の処理などに難があるため、ほかのIntel SCH US15W搭載機と同様に、3Dグラフィックステストの3DMark05と、ゲームベンチのFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3が実行できず、PCMark05のGraphicsスコアと総合スコアも算出されなかった。

左がPCMark05の結果、右がCrystalMark 2004R3の結果

 テスト結果を見ると、Atom N270(1.6GHz)を搭載したS101とS101Hに比べて、Atom Z520(1.33GHz)を備えたS121は動作クロックが低いぶん、CPUスコアが伸びなかった。Power4 GearTurboを利用すると、確かにスコアは上昇するが、それでもS101やS101Hには届かない。また、Eee PCの中でも高速なSSDを用いたS101、2.5インチSerial ATA HDDを内蔵したS101Hに対して、HDDのスコアでも水を空けられている。

 試しに、ストレージデバイスにおけるシーケンシャル/ランダムのリード/ライト性能を計測するソフトのCrystalDiskMark 2.2(ひよひよ氏作)も実行してみたが、やはりS121は分が悪い。

CrystalDiskMark 2.2のテスト結果。左がリード性能、右がライト性能の結果

 製品ラインアップとしてはS101とS101Hの上位に位置するS121だが、PCのハードウェアスペックは他社のAtom Z系CPU搭載機と同じように、控えめなものとなっている。

Windows XPのレスポンスに不満はない

 それでは、実際にWindows XPのレスポンスはどうなっているのか、各種動作にかかる時間をS101/S101Hと比較してみた。計測したのは、Windows XPの起動、休止状態への移行と復帰、スタンバイへの移行と復帰、シャットダウンの動作にかかる時間だ。Windows XPの起動時間は電源ボタンを押してから「ようこそ」画面が出るまでの時間と、タスクトレイに全アイコンが並んでポインターの砂時計表示が消えるまでの時間の2段階に分けている。

 いずれもデフォルトの設定だが、S101Hは60日間無償で利用できるウイルス対策ソフト「Norton Internet Security 2009」が搭載されているため、ほかのモデルと条件をそろえる必要から同ソフトをアンインストールした。また、各動作時間はバラツキがあるので、計測は5回以上行い、異常な数値が出た場合はそれを排除したうえで平均値を採用した。今回のテストは購入直後に近い状態で実施したため、Windows XPのアップデートやソフトのインストールなどによって、使っていくうちに各動作はもっと遅くなる点は留意してほしい。

Windows XPの各種動作に要する時間のテスト結果

 結果は右表の通りで、全体的にS121が少し遅れた。とはいえ、Windows XPの基本操作のレスポンスに不満はなく、Windows Vistaを導入したAtom Z系CPU搭載機のように、処理に待たされてストレスがたまるようなことはない。幸いなことに、S121はインスタントモードのExpress Gateも備えているため、モバイルで利用する際はWindows XPとうまく使い分けることで、さらに快適に使えるはずだ。

 なお、Intel SCH US15Wチップセットに統合されたグラフィックス機能のIntel GMA 500は、HD動画の再生支援機能を備えているが、Windows XP用ドライバやソフトウェアのサポートが整っておらず、S121ではそのポテンシャルを生かせない。試しに、720pのWMVファイルを再生したところ、コマ落ちがかなり目立ち、1080pのWMVファイルは静止画スライドショーのように再生が途切れてしまい視聴ができなかった。

 一方、YouTubeニコニコ動画については、標準的なコンテンツであれば実用レベルで視聴でき、動画を見ながら文章を書くといった作業も行えた。ただし、コメント数の多いニコニコ動画の人気動画や、高画質コンテンツの視聴は厳しい。

YouTube視聴時のCPU使用率は40〜50%程度(写真=左)、ニコニコ動画視聴時のCPU使用率は55〜75%程度(写真=右)で推移している。どちらも標準的なコンテンツで、高画質動画ではない

バッテリー駆動時間はSシリーズ最長を誇る

バッテリー駆動時間

 採用するCPUやチップセットの違いから、パフォーマンス面では不利なS121だが、低消費電力の面では有利になる。ボディサイズを生かして大容量のリチウムポリマーバッテリー(7.3ボルト 7200mAh)を採用したこともあり、公称のバッテリー駆動時間は約8.2時間と、液晶ディスプレイが一回り小さなS101の約6時間、S101Hの約4時間を上回る。

 ここでは、実際にどの程度バッテリーで連続駆動できるのかをBBench 1.01(海人氏作)でテストした。BBenchの設定は、10秒ごとにキーボード入力、60秒ごとに無線LAN(IEEE802.11g)によるインターネット巡回(10サイト)を行うというものだ。

 省電力の設定は、S121がBattery saving、S101とS101HがACアダプタ接続時とバッテリー駆動時でパフォーマンスが自動的に変化するAutoだ。ただし、液晶ディスプレイの輝度は上限まで上げ、無線LANとBluetoothはどちらもオン、音量は最大値の半分(ヘッドフォン接続)とした。いずれも、バッテリーの残量が完全になくなりシャットダウンするまでの時間を計測している。

 結果は4時間54分で、S101とS101Hより長時間のバッテリー駆動が可能だった。今回のテストでは、公称のバッテリー駆動時間を考えると、S101との差が小さかったが、搭載されている省電力ユーティリティや液晶ディスプレイのサイズは違うため、各種設定を変更すれば、また違った結果になるはずだ。

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