この価格なら買えるカモ──“SpursEngine”搭載ノートPC「Qosmio F50」の実力はYouTubeも超解像に(5/5 ページ)

» 2009年05月29日 16時00分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
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プラスαの魅力を持つ個性派AVノートだが、それだけに残念なところも

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 いまどきのAVノートPC、とくに地デジ対応のノートPCは各社で方向性が似てくるので、どうしても没個性になりやすい。もちろんデザインや画面サイズ、デジタルチューナーの仕様など、スペックに多少の違いはあるが、PCにおけるデジタル放送の取り扱いは制限が厳しく、機能的な特徴を出しにくいためだ。録画番組の取り扱いはダビング10が導入されたことでいくらか使い勝手はよくなったものの、家庭用ハイビジョンレコーダーに対する大きなアドバンテージが生まれたわけではない。

 その中でQosmioシリーズはSpursEngineの搭載により、プラスαの魅力がある。デジタル放送のMPEG-4 AVC録画は他社製PCでも導入例は増えたが、ノートPCでの対応はまだ少ない。据え置きがメインの大型ノートPCとはいえ、HDDの内部増設が難しいノートPCだからこそデータサイズを圧縮できるMPEG-4 AVC録画が行えることは大きな意味を持つ。また、SpursEngineならではの「レゾリューションプラス」や「超解像」技術を用いたアップコンバート機能は競合製品にはない。当初はそれほど期待していなかった「YouTube動画を高画質化」も使用してみると、なるほど効果的だと思える。もちろんこの機能に惹かれる人も意外にいるはずだ。

 反面、どうしても気になることもある。SpursEngineを用いてハイビジョン解像度のまま小さなファイルサイズで保存した録画番組や、「超解像」できれいにHD解像度へアップコンバートした動画ファイルをそのまま光学メディアに保存できない点は大変残念だ。ハイビジョン解像度のMPEG-4 AVCで保存した番組を光学メディアに記録するには、SD解像度のMPEG-2に再変換してDVDに書き込むという方法しかないのは不自然だ。HD解像度へアップコンバートした動画ファイルもPCで再生する以外に行き場がない。


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 いろいろな事情があるだろうが、はっきり言うとQosmioシリーズはBlu-ray Discドライブを標準で内蔵すべきPCである。こうすればMPEG-4 AVCで録画した番組はそのまま記録できるだろうし、2009年5月現在の家庭用レコーダーでは実現されていない、MPEG-4 AVCへコンバートしながらBDへ高速ダビングすることも性能的には可能だろう。

 あわせて、“超解像”のアップコンバート機能もSD解像度とHD解像度の動画を混在しつつ、BDメディアにオーサリングするといったシーンなどでも大いに性能を発揮するはずだ。また、Blu-ray Discドライブの搭載がかなわないなら、せめてDVDメディアへHDRec記録をサポートしてほしく、さらにレゾリューションプラスが有効になる範囲もより広げてほしい。自分が普段使用する再生ソフトで利用できるならば、その魅力はさらに広がるはずだ。こちらは今後に期待したい。

 それもこれも、SpursEngineのポテンシャルに改めて感心したからだ。

 SpursEngineを搭載するQosmioシリーズは、同クラスのAVノートPCとして貴重な存在だ。デスクトップPCならばSpursEngineを拡張カードとして追加する選択肢もあるが、USB接続などの機器が存在しない現在、ノートPCではやはり不可能。デジタル放送の対応とともに「スペシャルなエンコード性能」を持つノートPCはかなり少ない。特に求めやすい価格のQosmio F50は、SpursEngine搭載のQosmioシリーズが“高価だったので思いとどまったしていた人”なども振り向かす力を秘めている。

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