「Core i7-980X Extreme Edition」で“6コア12スレッド”の条件を探るイマドキのイタモノ(3/3 ページ)

» 2010年03月11日 14時00分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]
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6コア12スレッドの威力は大きい、ただし対応していれば

 グラフを見ていただければ分かるとおり、6コアの効果がはっきりと表れるベンチマークテストと表れないベンチマークテストに分かれている。効果が明確なSandra 2010をチェックしてみる。Processor Arithmetic/Multimediaでは、Core i7-975に対してコア数の増加分にあたる1.3倍〜1.5倍の結果になっている。

 また、ほかのCPU関連テストでは、AES-NIに対応したことからAES256 CPU Encryptionのスコアが飛び抜けている。このように、スコアを伸ばしたテストがある一方で、Memory Bandwidthの結果はCore i7-975に対し2Gバイト/秒ほど悪く出た。CPU-Zなどでは確かにDDR3-1066のトリプルチャネルと出るのだが、何度取り直してもこの傾向は変わらなかった。

 次にPCMark VantageとPCMark05の結果を見てみると、PCMark05のスコアはCore i7-980XがCore i7-975に劣り、PCMark Vantageでは逆転する傾向が確認された。PCMark05に関しては、マルチスレッドテスト自体が最大4スレッド対応であるため、Core i7-980Xのすべてのコアを使い切れていないことが考えられる。CPUよりも問題と思われるのがSandraと同様にメモリとグラフィックス関連テストの結果だ。グラフィックスの詳細を見ていくと、3Dグラフィックスは妥当なスコアなのだが、2Dグラフィックス、しかもメモリに関するテストでCore i7-870を下回っている項目がある。

 一方でPCMark VantageではData encryption、Data decryptionなどに加え、CPU gamingなどのCPUテストでもスコアの向上が見られ、6コアが活用できている。また、メモリアクセスのみに特化したテストがないこともあってCore i7-975を上回ったようだ。

 SYSMark 2007 Patch-5もある意味特徴的な結果だ。そもそもSYSMarkはクアッドコアCPUに対し高クロックなデュアルコアCPUでも太刀打ちできる傾向がある。Core i7-980Xの結果はCore i7-975に及ばず、オフィスアプリケーションでそのパフォーマンスを生かしきることが難しいことを示している。わずかとはいえCore i7-975に及ばない原因の1つに、PCMark05でも確認されたメモリアクセス関連の性能が影響しているとみられる。マルチスレッディング性能が重視されるVideoCreationや3DではCore i7-980XがCore i7-975を上回っており、仮にメモリアクセスがCore i7-975と同等であったならば、Overallも若干上回った可能性が高い。

 とはいえ、マルチスレッドに最適化されたアプリケーションで6コアのパワーは強力であり、次のCINEBENCHではR10、R11.5ともにMulti-CPUでほかを圧倒する結果を出している。MediaShow Espressoでは、2Gバイトの映像ファイルを(MediaShow Espressoで指定できる)PSP形式にトランスコードする場合と、150Mバイト前後の6つのファイルを同時にPSP形式にトランスコードする2種類のパターンをテストした。後者について補足しておくと、現バージョンのMediaShow Espressoで並列トランスコードできるのは最大4ファイルまでなので、6ファイルを処理する場合は、まず4ファイルを同時に行い、残り2本は先の4本が完了してから順次トランスコードされる。

 このテストの結果は、1つのファイルをトランスコードするパターンではCore i7-980XもCore i7-975も同じだけの時間を要し、6つのファイルをトランスコードする場合は、Core i7-975に対して明確な時間短縮が見られた。このあたり気になって調べたところ、現在のMediaShow Espressoに限る話だが、1ファイルあたり最大6スレッドで処理されるようだ。Gulftownの12スレッドをフル活用したいならば、2つのファイルを並列でトランスコードすればいいことになる。試してみたところ2ファイルの並列トランスコードは確かにCore i7-980Xの方が短時間で処理を完了した。

 3Dベンチマークをまとめて見ていくと、3DMark VantageとTHE LAST REMNANTでは6コアの効果が確認できた。特にTHE LAST REMNANTは低解像度から高解像度まで平均5fpsほどスコアが伸びる。一方で、Street Fighter IVとFar Cry 2は、1920×1200ドット以外では明確な違いは見られない。

 消費電力は、ピーク時こそCore i7-975と比べ若干低いが、それでもTDP130ワットのCPU同士の比較であって、ピーク時、アイドル時とも消費電力は高い。CPUクーラーユニットの周辺は相当に熱くなる。

High-K 32nmプロセスのパフォーマンスデモとも言える至高の製品

 “Gulftown”のラインアップは当面Core i7-980Xのみだ。当然、価格もエクストリームクラスになる。マザーボードがBIOSの更新でIntel X58 Expressモデルが利用できるとはいえ、コストを気にせずパフォーマンスを求めるユーザー向けに限られた需要となるだろう。

 加えて、アプリケーション側でもGulftownの性能をフルに発揮できるものは限られる。しばらくは、3Dや動画のレンダリング、仮想OSにおける仮想CPUとして、または一部のマルチスレッド対応ゲームなどが主なターゲットになるのではないだろうか。

 ただ、クアッドコアCPUが登場したころより、マルチスレッド対応アプリケーションは数が増えてきているし、PCで動画編集をするユーザーも増えてきたという事情もある。Core i7-980Xがワークステーション向けではなくコンシューマ向けとして登場したことにより、ソフトウェア側の対応も、クアッドコアからさらに一歩先へと加速するのではないだろうか。

インテルが紹介する4コア以上に最適化されたアプリケーションのリスト

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