「Crosshair IV Formula」でAMD 890FXの実力を知るイマドキのイタモノ(2/2 ページ)

» 2010年05月21日 11時00分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]
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ベンチマークテストで“890”と“790”の違いは?

 今回は比較にAMD 790FXを搭載したマザーボードとして、ASUSのR.O.G.シリーズ「Crosshair III Formula」を用いた。検証に用いたシステムは以下の通りだ。

評価用システム構成
CPU Phenom II X4 965 Black Edition(3.4GHz)
マザーボード Crosshair IV Formula Crosshair III Formula
チップセット AMD 890FX+SB850 AMD 790FX+SB750
メモリ DDR3-1333 4Gバイト(2Gバイト×2)
HDD WD5000AAKS(500Gバイト/7200rpm/16Mバイト)
OS 32ビット(一部テストで64ビット)版Windows 7 Ultimate

Sandra 2010 Processor Arithmetic
Sandra 2010 Processor Multi-Media
Sandra 2010 Memory Bandwidth

PCMark Vantage Build 1.0.1.0(その1)
PCMark Vantage Build 1.0.1.0(その2)
PCMark 05 Build 1.2.0

3DMark Vantage Build 1.0.1
ストリートファイターIVベンチマークテスト
THE LAST REMNANT

MediaShow Espresso (FullHD MPEG2→PSP)
SYSMark 2007 Preview Patch-5(v1.06)
システム全体の消費電力

 PCMark05では、PCMarksで2000ポイントも差が付いたが、これはAMD 790FX側のGraphicsスコアに異常値が発生したためだ。この値を無視して比べると、CPUとメモリに関する結果はほんのわずかの差になる。

 一方、PCMark VantageのPCMarksではAMD 890FXがスコアを下げている。各項目のテスト結果を確認すると、PCMark05では良好だったHDDアクセスに関する結果が低くなっている。念のため、CrystalDiskMark 3.0でHDDアクセス性能を確認してみると、個別の項目によってAMD 890FXとAMD 790FXの優劣が入れ替わることが確認できた。総じて、AMD 890FXのHDDアクセス性能にばらつきがあるようだ。AMD 890GXも、登場当初にはストレージ系ベンチマークテストの結果で同じような傾向が確認されたので、そのときと原因は同じではないかと推測される。ファームウェアのチューニング問題と考えられるので、BIOSのアップデートなどで解決すると思われる。

 Sandra 2010.SP1dの測定結果も、基本的にすべての項目でAMD 890FXとAMD 790FXは同じスコアを示している。3DMark Vantage、THE LAST REMNANT、ストリートファイターIVといった3D関連のゲームベンチマークテストでも、結果の違いはわずかで、AMD 790FXとAMD 890FXで明らかな性能差は認められなかった。

 消費電力に関しては、AMD 890FXもAMD 790FXもプロセスルールがともに65ナノメートルなのに、AMD 890FXのMax.TDPが19.6ワットでAMD 790FXが10ワットという違いがどの程度影響するかが気になるところだ。もちろん、サウスブリッジがSB850になったことも考慮しなければならない。SB850でプロセスシュリンクが進んで(従来のSB710が130ナノメートルだが、SB850は65ナノメートル)省電力になったと考えられる一方で、Serial ATA 6GbpsやA-Link Express IIIの対応などを考えると、消費電力が上昇した可能性も否定できない。今回、Crosshair Formula III FormilaとCrosshair IV Formulaで比較した場合では、後者の消費電力がわずかに増す結果となった。

オーバークロックでメモリのパフォーマンスを引き出してみる

 AMDがレビュー用に配布した資料には、「AMD Black Edition Memory Profiles」(B.E.M.P.)という項目がある。そこには“高クロック動作のDDR3メモリを使っても、アプリケーションの使用ではそれほどメリットがないが、高クロックメモリとともにノースブリッジの動作クロックを上げると(2200MHzから2400MHzに、駆動電圧も1.2ボルトから1.3ボルトに昇圧する)ことで、DDR3メモリのパフォーマンスを引き出だせる”と説明がある。

 設定方法は2通りで、マニュアルで設定するかAMD B.E.M.P.を利用する。特にB.E.M.P.を使う場合はオーバークロックも自動的に設定される。AMDの“純正ツール”によるオーバークロック設定という意味で安心感がある。

 この、メモリとAMD 890FXのオーバークロック状態でどこまでパフォーマンスが向上するのか、ベンチマークテストで検証してみた。なお、筆者が所有するDDR3-1600メモリではB.E.M.P.からプロファイルを取得できなかったため、マニュアルでDDR3-1600(CL9)とAMD 890FXを2400MHzにクロックアップした。

PCMark Vantage Build 1.0.1.0
PCMark 05 Build 1.2.0

3DMark Vantage Build 1.0.1
MediaShow Espresso (FullHD MPEG2→PSP)

 メモリとノースブリッジのAMD 890FXが高クロックで動作したとしても、この部分の帯域を必要としないアプリケーションで効果は出ない。しかし、今回測定したベンチマークテストでは、PCMark05、PCMark Vantageともにスコアが上がり、3DMark VantageもCPUスコアが上昇した。特に、動画のエンコード処理を行うMediaShow Espressoで処理時間が短縮できているのは注目できるだろう。CPUのオーバークロックほど劇的な変化ではないが、安定動作を確保しつつ、パフォーマンスの向上を狙うユーザーには有効な手段となりそうだ。

“1歩先の自作PC”ならAMD 8シリーズを選びたい

 AMD 8チップセットシリーズのハイエンドモデルとしてAMD 890FXとAMD 890GXがそろったが、両者の違いはAMD 890FXが16レーン×2のCrossFireXに対応し、AMD 890GXはグラフィックスコアをチップセットに統合しつつ、8レーン×2のCrossFireXに対応することに集約される。従来モデルのAMD 790FXに対するAMD 890FXのアドバンテージは、SB850によるSerial ATA 6Gbppsサポート、A-Link Express IIIによる高速I/O接続時のボトルネック解消などが挙げられる。また、IOMMU 1.2は、AMD 790FXもAMD 890GXもサポートしていない、AMDのコンシューマー向けチップセットで唯一サポートしているモデルとなる(とはいえ、SOHOなどの仕事利用に特化すると思われるが)。

 AMD 890GXとAMD 890FXで迷う場合は、CrossFireXのレーン構成とグラフィックスコアの統合で比較し、AMD 790FXと比較する場合は、サウスブリッジがサポートするインタフェースの価値が検討のテーマになる。AMDの最上位チップセットであるAMD 890FXは、今回検証で用いたCrosshair IV Formulaをはじめ、各社のフラッグシップマザーボードで採用される。パフォーマンスを重視するPCゲームユーザーや、細かい設定機能を重視するオーバークロッカーにとって、Crosshair IV Formulaは購入検討リストの上位に必ず入る製品になるだろう。

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