IntelはAtomで何をしたいのか?:Intel Developer Forum 2010(2/3 ページ)

» 2010年09月20日 17時00分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

Atomビジネスを支援する「AppUp」

 追い風が吹き始めたというIntelのAtom拡販戦略を支えるのがソフトウェアとサービスだ。Wind River買収やMcAfee買収が示すように、Intelはソフトウェア部門の強化を進めている。この流れで登場したのがNokiaとのOS共同プロジェクトである「MeeGo」と、MeeGoを含むx86プラットフォーム上で動作するアプリケーションを販売する「AppUp」だ。

 MeeGoは、もともとIntelが「Moblin」の名称で携帯機器向けOSとして開発していたもので、2010年2月にスペインで開催されたMobile World Congress(MWC)でNokiaの「Maemo」プロジェクトと合流する形で発表された。Linuxをベースとしており、携帯機器向けの通信機能サポートや独自ユーザーインタフェースを加えて、より使いやすいOSを目指している。IDF 2010では、Netbookとタブレットデバイス向けの仕様を加えた正式バージョンを公開し、その導入デバイスとして「WeTab」が紹介された。製品は2010年春に発表されたものだが、MeeGoの公式発表によってようやく9月に出荷が開始されるという。

 一方のAppUpは、MeeGoを使いやすくするためのサービスの1つだ。実際には、OSを選ばないオンラインアプリケーションストアだが、利用者が少ないMeeGoを盛り上げるサービスとして期待されている。AppUpの正式ローンチを受け、その使い勝手を体験できる専門ショウルームがIDF 2010会場前の商業施設内に開設されていた。

 米Intelシニアバイスプレジデントでソフトウェア&サービス部門(SSG)担当ジェネラルマネージャーのリネイ・ジェームズ氏はAppUpの狙いを「x86アプリケーション開発者向けの支援施策」としており、アプリケーション販売によるサービス事業単体での利益確保よりも、x86プラットフォーム利用拡大にあると説明する。

米Intelシニアバイスプレジデントでソフトウェア&サービス部門(SSG)担当ジェネラルマネージャーのリネイ・ジェームス氏(写真=左)。IntelがAtomとともにプッシュするアプリケーションストア「AppUp」の正式ローンチに合わせて、IDF 2010会場前のMetreonに出現したAppUpショウルーム(写真=右)

AppUp Experienceの内部はラウンジ風になっており、ここでMeeGo搭載デバイスを通じてAppUpが体験できる

独メーカーの4tiitoo(42)のCTOであるステファン・オドファー氏が手に持つのはMeeGo搭載タブレットの「WeTab」だ。2010年4月に初めて発表されたときは「WePad」の名称で話題になったが、その後に名前を「WeTab」へと変更してようやく発売となるそうだ

組み込み市場におけるIntelとライバルたちの戦略

 IntelのAtom戦略ではっきりしているのは「よりハイエンドな市場を狙う」という点だ。ARMなどの競合が市場の最大公約数を狙っているのに対し、携帯電話でもテレビでも、Intelが狙っているのはあくまで「高いパフォーマンスを要求される領域」だ。これは携帯電話の分野で考えてみると分かりやすい。

 現在の携帯電話は「スマートフォン」「メディアフォン」「ボイスフォン」という3つのカテゴリに分けられる。ボイスフォンとは音声通話とSMSによるメッセージ送受信にのみ対応した携帯電話で、市場価格が50〜70ドル以下の製品だ。メディアフォンは音楽再生や写真撮影、メール送受信など、ボイスフォンより高度な機能を提供する。スマートフォンは、いわゆる“ミニPC”的な機能を持った、メディアフォンよりも高度な機能を提供する製品となる。

 Intelは、今後途上国などでボイスフォンのシェアが伸びるとともに、先進国ではスマートフォンにシフトしていくと考えている。現在最も普及しているメディアフォンの市場シェアは相対的に下がり、ユーザーはより高性能なスマートフォンを求め、その結果として高性能なスマートフォン向けCPUが求められるようになるというのだ。Intelは現在のメディアフォンやボイスフォンには興味がなく、今後数年で大勢力になると思われる「より高性能なスマートフォン」の市場を狙っているということになる。

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