デルの液晶ディスプレイ一体型デスクトップPC「Inspiron One」シリーズから、新モデルの「Inspiron One 2310」と「Inspiron One 2205」が登場した。
従来モデルの「Inspiron One 19」はWXGA(1366×768ドット)解像度の18.5型ワイド液晶を備えていたが、Inspiron One 2310はフルHD(1920×1080ドット)対応の23型ワイド液晶、Inspiron One 2205はフルHD(1920×1080ドット)対応の21.5型ワイド液晶を採用しており、いずれも大画面化と高解像度化を果たしている。
また、ボディデザインを一新するとともに、デルとして初めて地上デジタル放送専用のテレビチューナーを内蔵したことに加えて、オプションでタッチパネル付きの液晶ディスプレイも選べるなど、外観から内部まで最近のトレンドを意識した仕様にまとめているのもポイントだ。
今回は上位機種のInspiron One 2310を試してみた。4つのパッケージが用意されているが、入手したのは最も安価な「ベーシックパッケージ」(9万9800円)をベースに、液晶ディスプレイをマルチタッチ対応のパネルに変更したものだ。価格は11万5550円となっている(2010年11月18日現在)。
まずは外観だが、他社の液晶一体型PCと同じように省スペース性の向上に努めている。正面から見た際に、液晶ディスプレイの周囲に余計なボタンや端子がなく、シンプルに仕上がっているため、PC本体ではなく、単体の23型ワイド液晶ディスプレイといわれれば納得してしまうほどだ。
ただ、通常の液晶ディスプレイのように1本足の先に台座が設けられているスタイルではなく、大きめのフォトフレームといったデザインになっている。ブラックとシルバーで塗り分けられたボディは、本体の下部に飛び出した2本のスタンドと、背面に装着された透明なスタンドの3点で支える構造だ。接地している面積は小さいが、設置時にふらつくようなことはなく、安定性に問題はない。背面の透明なスタンドはチルト角度の調整に対応し、ほぼ垂直立ちの状態からスタンドを開くことで、画面の角度を見やすいように傾けられる。
本体サイズはスタンドを閉じた状態で420(幅)×90(奥行き)×570(高さ)ミリ、重量はタッチパネル搭載で約8.95キロ、タッチパネル非搭載で約8.15キロだ(重量はシステム構成により異なる)。画面を少しチルトさせて設置するには、倍以上の奥行きが必要になるが、それでも専有面積は単体の23型ワイド液晶ディスプレイとほぼ変わらない。
付属するキーボードとマウスはワイヤレス式で単三形電池で駆動するため、ケーブルが机上にちらばることなく、省スペースなボディと合わせてスッキリと設置できる。ブラックのワイヤレスキーボードは薄型で、プレーヤーソフトの再生機能を制御するボタンとジョグダイヤル、テンキーまで備えたフルキーボードだ。スクロールホイール付きのマウスもワイヤレスタイプで、1個の小型USBレシーバーでマウスとキーボードを接続できる。
また、Windows Media Centerボタンを持つ赤外線リモコンも付属し、離れた場所から手軽に操作することも可能だ。このリモコンはコンパクトだが、必要十分な機能が用意されている。マルチタッチ対応の液晶ディスプレイによる直感的な操作に加えて、小さいながらも操作性の悪くないリモコンで、近くても遠くても操作が楽に行えるのはうれしい。
ここまでスリムにできたのは、インテルの主力ノートPC向けプラットフォームであるCalpella(開発コード名)をベースにしているためだ。フルHDの液晶ディスプレイにノートPCのパーツを詰め込んでいると考えると分かりやすい。
モバイルプラットフォームなのでCPUは、当然モバイル向けのCore i3-370M(2.4GHz)になる。自動オーバークロックのTurbo Boostには対応しないが、2つのコアを備えており、Hyper-Threadingによる4スレッドの同時実行が可能だ。もう少しCPUパワーが欲しい人向けに、BTOメニューでCore i5-460M(2.53GHz/最大2.8GHz)も用意されている。
チップセットもモバイル向けのIntel HM57 Expressだ。このチップセットはFDIをサポートしているので、Core i3の内蔵グラフィックス(Intel HD Graphics)が利用できる。しかし、Inspiron One 2310ではそうせずに、わざわざ外部GPUのATI Mobility Radeon HD 5470(グラフィックスメモリ1Gバイト)を搭載している点に注目したい。
このGPUはエントリー向けで、それほどパフォーマンスに期待できるわけではないが、最新のDirectX 11に対応していたり、MPEG-4 AVC/H.264やAdobe FlashなどHD動画コンテンツの再生支援機能を持っているなど高機能だ。もちろん、Core iシリーズ内蔵のグラフィックスコアよりは3D描画性能も高く、Intel HD Graphicsではまともに動かない3Dゲームタイトルを何とかプレイできるといったケースもあるだろう。
メインメモリはDDR3-1333に対応し、容量は4Gバイト(2Gバイト×2/PC3-10600 SO-DIMM)を積んでいる。OSは64ビット版のWindows 7 Home Premiumなので、4Gバイトのメモリはフルに利用可能だ。メモリの最大容量は8Gバイト(4Gバイト×2)とされているが、現状ではBTOメニューに4Gバイトを超えるメモリ構成は用意されていない。
HDDはコストパフォーマンスのよさから、デスクトップPC向けの3.5インチSerial ATA HDDを内蔵している。回転数は7200rpm、容量は1Tバイトと十分なスペックだ。光学ドライブはスリムタイプのDVDスーパーマルチを採用するが、記録型のBlu-ray Discドライブに変更することもできる。
なお、メモリスロットなどにアクセスするための小さなカバーは設けられていないが、背面カバーの下には2本のネジがあり、本体を水平な面に寝かせて2本のネジを外した後、背面全体を上方向にスライドさせると、背面カバー全体を分離できる。カバーを外せば、2基のメモリスロットやHDDベイにアクセス可能だ。
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