「VAIO Y(YB)」の真価を問う――“AMD Fusion APU”搭載モバイルノート:従来モデルと徹底比較(2/5 ページ)

» 2011年01月13日 07時00分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

AMDの新世代モバイル“APU”を採用

19×19ミリという小型パッケージのBGAを採用したZacate(開発コード名)

 基本システムには、AMDが新たに開発した薄型軽量ノートPC向けプラットフォーム(開発コード名:Brazos)を採用。これまでインテルがほぼ独占してきたミニノートPCやNetbook向け市場に割って入る存在として期待されている。

 プロセッサのAMD E-350は、2つのCPUコアとGPUコア、メモリコントローラなどを同一のダイ(同一の半導体チップ)に集積している。Zacateという開発コード名で呼ばれてきたプロセッサのデュアルコアモデルだ。

 AMDではこのように、CPUコアとGPUコアを同一ダイに集積したプロセッサを「APU」(Accelerated Processing Unit)と名付け、将来的には両方を完全に融合させてコンピューティングを行う「Fusion」プロジェクトを推し進めているが、その第1弾が今回の「APU」となる。

 AMD E-350のスペックは、動作クロックが1.6GHz、2次キャッシュが1Mバイト(512Kバイト×2コア)だ。TDP(熱設計電力)は18ワットで、これはインテルの超低電圧版Core iシリーズと同じ値、つまりVAIO Y(YA)が搭載するCore i3-380UM(1.33GHz)と同じになる。また、19×19ミリという小型パッケージのBGA(413ボール)で提供されている点も、薄型軽量モバイルノートPCの設計には都合がよいだろう。Atom Nシリーズのパッケージは22×22ミリ、モバイル向けCore iシリーズ(BGA1288)のパッケージは34×28ミリだから、相当に小さいことが分かる。

 このAPUに内蔵されたGPUコアの「Radeon HD 6310」は、DirectX 11フィーチャーをサポートしており、80基のユニファイドシェーダ、ビデオエンジンとして「UVD3」を搭載する。UVD3では、MPEG-4 AVC/H.264やVC-1に加えて、Blu-ray 3Dで利用されているMPEG-4 MVC、DivX/Xvidのハードウェアデコードにも対応している。CPUやチップセットに内蔵されるGPUコアとしては、かなりの高性能かつ高機能だ。

CPU-ZでのAMD E-350の情報表示画面。まだ情報が完全ではなく、空欄が多い。開発コード名は、AMDのGPU統合型CPU全般の開発コード名である「Fusion」と表示されている
GPU-ZでのGPUコアの情報表示画面。こちらもまだ空欄が多く、シェーダ数なども表示されていない。こちらの開発コードネームは「Brazos」と表示されている

電力効率に大きな期待がかかる“Bobcat”アーキテクチャ

 AMD E-350は、CPUとGPUを集積したAPUであることが1つの大きなトピックだが、CPUコア部分にモバイル向けとして新規に開発されたマイクロアーキテクチャ(開発コード名:Bobcat)を採用していることも大きい。シンプルな2命令同時発行のアウトオブオーダー型のアーキテクチャで、電力供給を制御できるパワーゲートトランジスタを導入し、コア単位での電力カット(C6ステート)にも対応している。

 誤解を恐れずにいうと、AMDのCPUに「低価格で高速だが熱い」や「バッテリー駆動時間が短い」というイメージを持っている人がいるかもしれないが、Bobcatコアはアーキテクチャレベルから省電力を意識して再設計されただけに、サーバ/デスクトップ向けに設計したコアをベースにカスタマイズを加えていた従来のAMD製モバイルCPUとは決定的に異なる。

 スマートフォンレベルの小型携帯端末も視野に入れたインテルのAtom(Bonnnel)ほど斬新な省電力優先の設計を導入しているわけではないものの、K7(初代Athlon)以降のAMD製CPUはサーバ向けでの性能を優先したリッチなリソースを備えていたぶん、モバイル向けとしては無駄が多かったことから、Bobcatアーキテクチャ、そしてそれを採用したAMD E-350には電力効率という部分では大きな期待ができる。従来のAMD製モバイルCPUのイメージでは見ないほうがいいだろう。具体的な性能やバッテリー駆動時間、発熱の状況などについては後ほど検証していく。

端子類の配置、内容などは従来機と同等

底面にはネジで固定された大きめのカバーがあり、これを外すと、2基のメモリスロット(SO-DIMM)と2.5インチHDDベイが現れる。HDDは黒いフィルムでカバーされている

 CPUとグラフィックス機能以外の仕様についても見ていこう。チップセットはAMD E-350に対応した「AMD A50M Fusion」を採用している。

 メインメモリはPC3-8500 SO-DIMMに対応し、標準で2Gバイトを装備、最大では4Gバイトまで増設可能だ。底面のカバーを開けると2基のメモリスロットがあり、標準ではそのうちの1基に2Gバイトのモジュールを装着している。データストレージは2.5インチのHDDを内蔵しており、容量は320Gバイトだ。HDDベイもメモリスロット同様、底面のカバーを開けることでアクセスできる。

 通信機能は1000BASE-T対応の有線LAN、IEEE802.11b/g/n対応の無線LAN、Bluetooth 2.1+EDRに対応する。WiMAXは搭載しない。前面にメモリースティックPROデュオスロットとSDHC対応SDメモリーカードスロットを持つほか、左右の両側面に合計3基のUSB 2.0、アナログRGB出力、HDMI出力などを備える。液晶フレームの上部には有効31万画素のWebカメラ「MOTION EYE」も装備する。

 標準搭載のメモリ容量とHDDの容量、そして通信機能、端子類の内容もすべてVAIO Y(YA)と共通だ。ただし、メモリの速度はVAIO Y(YA)のPC3-6400に対し、PC3-8500であるVAIO Y(YB)のほうが少し速い。また、プリインストールOSはVAIO Y(YA)の64ビット版Windows 7 Home Premiumに対し、VAIO Y(YB)は32ビット版Windows 7 Home Premiumを採用している。

前面には、メモリースティックPROディオとSDHC対応SDメモリーカードのスロットを上下に配置している。ワイヤレス通信のスイッチも搭載する
背面はシリンダー状の丸みがあるデザインになっており、バッテリーで占有されている

左側面は手前からUSB 2.0、排気口、HDMI出力、アナログRGB出力、ACアダプタ接続用のDC入力が並ぶ
右側面は手前からヘッドフォン出力、マイク入力、2基のUSB 2.0、盗難防止用ロックスロット、有線LAN、電源ボタンを備える

VAIO Y(YB)のデバイスマネージャ画面。CPUはAMD E-350、ディスプレイアダプターはAMD Radeon HD 6310、HDDはTOSHIBA MK3265GSXN、無線LANアダプタはAtheros AR9285とある

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