「VAIO Y(YB)」の真価を問う――“AMD Fusion APU”搭載モバイルノート従来モデルと徹底比較(4/5 ページ)

» 2011年01月13日 07時00分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

AMD E-350+Radeon HD 6310のパフォーマンスを検証

 初採用となるAMDの最新プラットフォームを搭載しているだけに、そのパフォーマンスは気になるところだ。インテルの超低電圧版Core i3-380UM(1.33GHz)を搭載した従来機のVAIO Y(YA)との力関係を中心に見ていこう。一部のテストでは、参考までにデュアルコアの超低電圧版Celeron SU2300(1.2GHz)を搭載した「UL20A」のスコアも併記している。

テスト結果を比較したノートPCの基本スペック
製品名 VAIO Y(YB) VAIO Y(YA) UL20A
CPU E-350(1.6GHz) Core i3-380UM(1.33GHz) Celeron SU2300(1.2GHz)
チップセット AMD A50M Fusion Intel HM55 Express Intel GS45 Express
GPU Radeon HD 6310(CPU内蔵) Intel HD Graphics(CPU内蔵) Intel GMA 4500MHD(チップセット内蔵)
メモリ PC3-8500/2Gバイト(2Gバイト×1) PC3-6400/2Gバイト(2Gバイト×1) PC2-6400/2Gバイト(2Gバイト×1)
ストレージ HDD 320Gバイト(5400rpm) HDD 320Gバイト(5400rpm) HDD 320Gバイト(5400rpm)
OS 32ビット版Windows 7 Home Premium 64ビット版Windows 7 Home Premium 64ビット版Windows 7 Home Premium

Windowsエクスペリエンスインデックスのスコア

 まずはWindowsエクスペリエンスインデックスだが、プロセッサのスコアは3.7と低めな一方で、グラフィックスは4.6、ゲーム用グラフィックス5.9と、VAIO Y(YA)に比べて高くなっている。

 PCMark05のスコアもやはり同様の傾向で、CPUスコアではVAIO Y(YA)にはっきり及ばないが、逆にGraphicsでは上回っている。Celeron SU2300を搭載するUL20Aと比べてもCPUスコアは少し低い。

 PCMark Vantageについては、64ビットOSを搭載する製品では64ビットバイナリ(x64)と32ビットバイナリ(x86)の両方を実行することができる。前者のほうが少しよいスコアが出るが、ここでは比較の参考ということで32ビットで統一した。

 ここでもVAIO Y(YA)に差を付けられた。同じデュアルコアでもHyper-Threadingで4スレッドの同時実行が行えるCore i3-380UMに比べると、マルチスレッド処理の実行性能で分が悪いようだ。Celeron SU2300搭載のUL20Aにも及ばないが、かなり拮抗したスコアも見られ、グラフィックス性能が比較的大きく影響するGaming Suitesでは逆転している。

Windowsエクスペリエンスインデックスのスコア比較
PCMark05のスコア
PCMarkVantage x86(1024×768)のスコア

 DirectX 9.0c世代の3Dベンチマークテストである3DMark06では、逆にVAIO Y(YB)のほうが、VAIO Y(YA)の2倍近いスコアをマークしている。CPUスコアでは負けているが、ゲームシーンの描画テストでは2倍以上の差を付けており、グラフィックス性能の高さが分かる。

 FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3でもHigh設定、Low設定ともにVAIO Y(YB)がVAIO Y(YA)の1.7倍前後と、明らかによいスコアを出した。本格的な3Dゲームのプレイは無理だが、描画負荷の軽いオンラインゲームなどのプレイには向いている。

3DMark06(1280×768)のスコア
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3のスコア

 以上の結果から、AMD E-350のCPUコア性能は、Celeron SU2300の80〜90%程度、グラフィックス性能はCore i3-380UM(Intel HD Graphics)の1.5〜2倍程度といったところだろうか。ちなみに、YouTubeで360p動画を再生している最中のCPU使用率は25%前後、VAIO Y(YA)は8%前後だった。

AMDプラットフォームのイメージを覆す省電力

 バッテリー駆動時間のテストは、BBench 1.01(海人氏・作)で行った。BBenchの設定は「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」と「10秒間隔でのキーストローク」だ。無線LANで常時接続し、電源プランはWindows 7標準の「バランス(ディスプレイ輝度40%)」を利用している。使用したWebブラウザはInternet Explorer 8(32ビット)だ。

 テスト結果は、ちょうど5時間経過後に休止状態へ移行した(バッテリー残量5%表示)。まったく同じ設定で4時間53分だったVAIO Y(YA)を少しだが上回っている(誤差程度の違いだが)。このような常時ネット接続環境で5時間の駆動ができれば、モバイルノートPCとしては実用十分といえるだろう。

 また、VAIO Y(YB)とVAIO Y(YA)の消費電力もワットチェッカーで計測してみた。ノートPCの消費電力をワットチェッカーで計測する場合、バッテリーを充電している最中は消費電力が高くなる。そのため、バッテリーは100%まで充電した状態で行っているが、使用中はどうしてもバッテリーが消耗するので、同じ機種、同じ処理でもタイミングによって上下することがあるようだ。厳密な比較には適さないが、何度か計測してみたところでは、だいたい似たような消費電力で、バッテリーの駆動時間やTDPの数値を裏付けている。

バッテリー駆動時間テスト(BBench 1.01)の結果
消費電力テストの結果

iconicon

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月25日 更新
  1. ワコムが有機ELペンタブレットをついに投入! 「Wacom Movink 13」は約420gの軽量モデルだ (2024年04月24日)
  2. 16.3型の折りたたみノートPC「Thinkpad X1 Fold」は“大画面タブレット”として大きな価値あり (2024年04月24日)
  3. 「IBMはテクノロジーカンパニーだ」 日本IBMが5つの「価値共創領域」にこだわるワケ (2024年04月23日)
  4. 「社長室と役員室はなくしました」 価値共創領域に挑戦する日本IBM 山口社長のこだわり (2024年04月24日)
  5. Googleが「Google for Education GIGA スクールパッケージ」を発表 GIGAスクール用Chromebookの「新規採用」と「継続」を両にらみ (2024年04月23日)
  6. バッファロー開発陣に聞く「Wi-Fi 7」にいち早く対応したメリット 決め手は異なる周波数を束ねる「MLO」【前編】 (2024年04月22日)
  7. ロジクール、“プロ仕様”をうたった60%レイアウト採用ワイヤレスゲーミングキーボード (2024年04月24日)
  8. あなたのPCのWindows 10/11の「ライセンス」はどうなっている? 調べる方法をチェック! (2023年10月20日)
  9. アドバンテック、第14世代Coreプロセッサを採用した産業向けシングルボードPC (2024年04月24日)
  10. ゼロからの画像生成も可能に――アドビが生成AI機能を強化した「Photoshop」のβ版を公開 (2024年04月23日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー