3GやWiMAX、LTEなど、モバイルデータ通信サービスの利用者が増えている中、移動中にふと不感エリアになり、回線が切断されていた機会に出会ったことはあるだろう。PCでのファイルダウンロード中であれば「ダウンロードできません/切断がリセットされました」といったメッセージが表示されるあれだ。
こういったシーンに、“そういえば、これまでなぜなかったのか”と思える新たな技術「切断耐性モバイル通信」がワイヤレスジャパン2011のKDDIブースで展示されていた。
移動中、例えば列車やクルマで添付ファイル付きメールをチェックしたり、映像コンテンツをダウンロードするシーンにおいて、ダウンロード中に切断されるとアプリケーション側の動作もリセットされ、手動で再作業しなければならないことがある。ファイルダウンロードについてはレジューム機能を備えるアプリケーションも存在するが、手動で再ダウンロードの操作を行わなければならない点はあまり変わらない。
切断耐性モバイル通信は、このようなモバイル通信を利用中に、一時的に通信が切れてもアプリケ−ションやサービスを継続して利用できるようにする技術となる。PCやスマートフォンなど端末内の切断耐性ツールと専用サーバが連携し、使用しているアプリケーションを「切れてないですよ」と半ばだますよう動くことで、再接続後もシームレスに通信をリレーしてくれる。3G、WiMAX、無線LANなど、いろいろな無線通信技術に対応するという。
動作の仕組みは、
という流れとなる。意外に複雑だが、切断耐性サーバが音声通話の回線交換手のような役割を果たしているイメージだ。これにより、移動中に切断されても端末側のアプリケーション、そして利用者も「切断されたことで発生する再作業」の手間がなくなるうえ、一からダウンロードをし直すこともなくなるので、ダウンロード元サーバの負担も軽減できると思われる。
これまでなぜなかったのか、については「通信事業者としては、切れた時にどうするではなく、そもそも切れないようにするのが大前提です。ただ、新世代の通信サービスをいきなり全国対応とするのも困難で、かつスマートフォン普及によりモバイルデータ通信を移動中に利用するシーンも急増しています。こういった仕組みの導入で、より便利に利用していただけるようになると思います」(説明員)という。
同技術の商用化および商用化の時期は2011年5月現在未定だが、モバイルデータ通信利用者にとって、仮に切断されても「キレずに怒らなくなる」ことになる、一見ジミだが必要な機能と思う。早期の導入実現に期待したい。
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