切れても切れてない?──KDDIの「切断耐性モバイル通信」ワイヤレスジャパン2011

» 2011年05月27日 16時29分 公開
[岩城俊介,ITmedia]

一時的に通信が途絶えても、「切れてないよ」としてくれる

photo 「切断耐性モバイル通信」技術

 3GやWiMAX、LTEなど、モバイルデータ通信サービスの利用者が増えている中、移動中にふと不感エリアになり、回線が切断されていた機会に出会ったことはあるだろう。PCでのファイルダウンロード中であれば「ダウンロードできません/切断がリセットされました」といったメッセージが表示されるあれだ。

 こういったシーンに、“そういえば、これまでなぜなかったのか”と思える新たな技術「切断耐性モバイル通信」がワイヤレスジャパン2011のKDDIブースで展示されていた。

 移動中、例えば列車やクルマで添付ファイル付きメールをチェックしたり、映像コンテンツをダウンロードするシーンにおいて、ダウンロード中に切断されるとアプリケーション側の動作もリセットされ、手動で再作業しなければならないことがある。ファイルダウンロードについてはレジューム機能を備えるアプリケーションも存在するが、手動で再ダウンロードの操作を行わなければならない点はあまり変わらない。

 切断耐性モバイル通信は、このようなモバイル通信を利用中に、一時的に通信が切れてもアプリケ−ションやサービスを継続して利用できるようにする技術となる。PCやスマートフォンなど端末内の切断耐性ツールと専用サーバが連携し、使用しているアプリケーションを「切れてないですよ」と半ばだますよう動くことで、再接続後もシームレスに通信をリレーしてくれる。3G、WiMAX、無線LANなど、いろいろな無線通信技術に対応するという。

photophoto 普段どおりWiMAX(インターネット)接続中(写真=左)。電波が途切れたと仮定してWiMAXを切断……したが、ダウンロード画面は継続。切断耐性アプリケーションがバッファしていた分を少量流し続け、あたかもダウンロードしている/切断されていない状態になっている(写真=右)
photophoto 通信復帰後、異なるIPアドレスが振られても通常のダウンロードがなにごともなかったかのように再開された(写真=左)。切断耐性がない、つまり普段使うPCでのモバイルデータ通信環境だと、通信切断とともに「ダウンロードできません」のメッセージが表示される。モバイルPCユーザーであれば、この画面、何度か見たことはあるだろう(写真=右)

 動作の仕組みは、

  1. IPアドレス「A」で通信中
  2. IPアドレス「A」での通信が圏外になり、通信切断
  3. 切断中は、切断耐性サーバとダウンロード元のサーバ、端末の切断耐性アプリケーションと利用アプリケーションのそれぞれでデータを取り込み続けるよう動く
  4. 切断耐性アプリケーションは、バッファとしてためたデータをごく少量ずつ流すことで“ダウンロード継続中”と利用アプリケーションを誤認させる
  5. これにより、実際は切断していてもダウンロード元のサーバと利用アプリケーションには「ダウンロード継続中」と認識されている
  6. 通信復帰 IPアドレス「B」が新たに付与
  7. 切断耐性アプリケーションから切断耐性サーバへ、IPアドレス「B」に変わったことを通知
  8. 切断耐性サーバが、切断中に取り込んでいたデータを端末へ送信。利用アプリケーションでも自動的にダウンロードが再開される

 という流れとなる。意外に複雑だが、切断耐性サーバが音声通話の回線交換手のような役割を果たしているイメージだ。これにより、移動中に切断されても端末側のアプリケーション、そして利用者も「切断されたことで発生する再作業」の手間がなくなるうえ、一からダウンロードをし直すこともなくなるので、ダウンロード元サーバの負担も軽減できると思われる。

 これまでなぜなかったのか、については「通信事業者としては、切れた時にどうするではなく、そもそも切れないようにするのが大前提です。ただ、新世代の通信サービスをいきなり全国対応とするのも困難で、かつスマートフォン普及によりモバイルデータ通信を移動中に利用するシーンも急増しています。こういった仕組みの導入で、より便利に利用していただけるようになると思います」(説明員)という。

 同技術の商用化および商用化の時期は2011年5月現在未定だが、モバイルデータ通信利用者にとって、仮に切断されても「キレずに怒らなくなる」ことになる、一見ジミだが必要な機能と思う。早期の導入実現に期待したい。

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