COMPUTEX TAIPEI 2011でIntelがたびたび出しているキーワードが「Re-invent(再発明)」と「Transformation(変革)」だ。PCというプラットフォームの認知が一段落し、その可能性をさらに追求すべく、どのような便利で使いやすい機能を盛り込んでいくかを考えてみようという。
そこでマロニー氏が紹介したのが「Intel Smart Connect Technology」と「Intel Rapid Start Technology」という2つの技術だ。
Smart Connect Technologyはスマートフォンなどで一般的な「常時オン」機能をPCに持ち込んだもので、PCがスリープ中であってもバックグラウンドでメール受信やTwitterのタイムライン、Facebookのアップデートを常に行い、スリープからの復帰直後にそのデータをすぐに参照可能にするものだ。
またRapid Start Technologyはハイバネーションをさらに進化させたもので、フラッシュメモリとキャッシュ技術を組み合わせることで、通常のHDDハイバネーションよりもさらに高速な、スリープ/レジューム並みの5〜6秒以内という復帰速度を実現する。

昨今の事情を省みつつ、新しいPCの形を提案していこうというのが「Re-invent(再発明)」の意味するところ(写真=左)。その第1弾と呼べるのが「Intel Smart Connect Technology」と「Intel Rapid Start Technology」だ(写真=右)。これらの詳細については、以下の動画デモを参照してほしい|
Intel Rapid Start Technology。ハイバネーションの強化版で、ハイバネーション時のメモリの待避先をHDDではなく内蔵フラッシュメモリとし、かつメモリアクセスやキャッシュを最適化することで、ハイバネーションの速度をスリープ/レジューム程度にまで高めている
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Intel Smart Connect Technology。スマートフォンなどではおなじみの「常にネットワークにつながっている状態」を維持するため、スリープ時でもSNSやメールといったアップデート情報を常に取得し、復帰後はそれらステータスが最新のものに更新されていることが確認できる
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デモではスリープではなくハイバネーションであることを示すため、ノートPCからいったんバッテリーを外す様子を見ることができる。どちらも、いい意味でスマートフォンなどからの影響を受けた機能だ。なおIntelによれば、間もなく出荷される現行のSandy Bridge(開発コード名)世代のプラットフォームで、この2つの機能がサポートされるという。
そして今回のもう1つのキーワードが「Ultrabook」だ。超薄型ながら、バッテリーでの長時間駆動や反応のよさ、そして携帯マシンに求められるセキュリティと、ノートPCにおける究極を目指したプラットフォームだといえる。同社の目標は、このUltrabookを市場シェア全体の40%程度まで高めることだという。

「Re-invent(再発明)」の第2弾と呼べるのが「Ultrabook」だ。薄型軽量で長時間バッテリー駆動を実現するモバイル重視のフォームファクタだ。Intelによれば、2012年中にも40%程度の市場シェアを実現したいとするUltrabookを実現する方法はいくつかあり、まず新世代CPUのIvy Bridgeのようなプラットフォームの導入による省電力効果、そしてThunderboltといった新インタフェースの導入によるパフォーマンス強化などだ。

Ultrabookを実現する技術の1つが「Ivy Bridge」。Tick-TockモデルにおけるTickであり、アーキテクチャの改良よりは22ナノメートルという製造プロセスルールの進展が重視されたものだ(写真=左)。だがIntelによれば、Ivy Bridgeは「Tick+」と呼べる改良が加えられており、単にSandy Bridgeのアーキテクチャをそのまま引き継いでいるわけではないという。小型機器での高速伝送を提供する技術としては、Thunderboltが候補の1つになるだろう(写真=右)。MacBook Proでの採用が広く知られているまたキーノートではUltrabookの例として、ASUSTeK Computerが発表した「UXシリーズ」が紹介された。この製品は現行のSandy Bridge世代であり、全体にこうした製品の登場に期待が寄せられていることが分かる。

台湾ASUSTeK Computer会長のジョニー・シー(Jonney Shih:施崇棠)氏がステージに登場。COMPUTEX TAIPEI 2011開催前日のプレスカンファレンスで発表したばかりの超薄型ノートPCをデモストレーションしただがUltrabookのコンセプトを本当に実現するには、プラットフォームの大幅な底上げが必要になるとみられる。現状で用意されているフォームファクタの小手先の改良では大幅な機能向上は難しいため、CPUの設計そのものを見直す必要性があるからだ。
マロニー氏によれば、現状で例えば35ワットのTDP(熱設計電力)となっているノートPC向けCPUの消費電力を50%以上削減し、10ワット台のCPUを実現するプランが紹介されている。これはAtomではなく、Coreマイクロアーキテクチャの延長であるIvy Bridgeの次世代のHaswellで実現するもので、上記で挙げられたTransformationやUltrabookの要素を盛り込んだ設計が行われることになるという。


Haswellの世代では、現在ノートPCのフォームファクタで一般的な35ワットというTDP(熱設計電力)を、10ワット台というレベルの半分以下にまで下げる(写真=左/中央)。こうしたモバイルに必要な要素を重視し、盛り込む形で進化するのがHaswellということになる(写真=右)前述の投資家向け説明会でも、2013年初旬の製品登場が見込まれるHaswellの世代ではモバイルや省電力を重視した設計が行われることが示されており、コアの設計そのものに省電力思想が盛り込まれていることが明言された形だ。2012年初頭のIvy Bridgeと合わせ、モバイル志向のユーザーには興味深い話題だろう。

サーバ分野における興味深いトピックの1つ。日中は太陽光発電などが利用できることを理由に、より安価なクラウド利用が可能な場所で作業を行うため、オレゴンのデータセンターからアトランタへのデータセンターへとデータを移動して作業を行い、夜間の高価な時間帯には再びオレゴンにデータを戻して作業を続行することで、作業の継続性とコスト削減を同時に実現する
特集:COMPUTEX TAIPEI 2011
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