残り1時間26分。組み立てが終わったTeam “KATANA” Japanのマシンが再び動き始めた。「なんか調子がいい予感」とGyrock氏がいったように、再起動後、1200MHzから1250MHz、そして、1320MHzと、順調にGPUのコアクロックをあげていく。インドネシアが9933を記録して、3DMark11ではTeam “KATANA” Japanを抜いた。SuperPI 32Mの成績が災いしてそれでも4位にとどまっているが、当たったGPUを使っている可能性が高い。インドネシアが残り時間でチューニングが最適化すると油断はできない。
残り1時間、ついにTeam “KATANA” Japanが10009と、1万台突破を出した。審判団長の立ち会いで、CPU-Z、GPU-Zともにスクリーンキャプチャを取得して公式記録と認められた。この段階で2位に1.6ポイント差をつけている。Team “KATANA” Japanはさらに10147を出した。幻になりそうだった10051を上回る記録だ。その後も記録を更新し、残り50分で10214まで伸ばす。残り40分でオーストラリアが9994と1万目前まで到達したが、各国の追撃もそこまでだった。Team “KATANA” JapanがMOA APAC 2011で総合優勝となった。
Gyrock氏が試合後に「日本が国際大会で優勝するのは、これが初めて」と述べたように、GPUが主流となった国際的なベンチマークテスト大会で、CPUの経験はトップクラスながらGPUの経験不足で苦しんできた日本のチームは苦杯を強いられてきた。それだけに、3DMark11の逆転で優勝できた今回のMOA APAC決勝は、優勝という結果だけでなく、その過程も日本のオーバークロックの世界に、長く記憶に残しておきたい戦いだったといえる。
優勝したTeam “KATANA” Japanは、台北で行われる世界決勝にコマを進めた。歴戦の欧米トップのオーバークロッカーたちに、どんな戦いを挑むのだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.