勝てるのか日本! 「MOA 2011」APAC決勝!!赤道直下でガンガン冷せ(2/5 ページ)

» 2011年07月08日 16時00分 公開
[長浜和也,ITmedia]

工作技術とセッティングの技で競う

 会場に集まった決勝参加チームは、MSIからマザーボードとグラフィックスカード、そして、CPUとメモリの配布を受ける前に、くじを引く。そこに書かれていた番号が競技で使うパーツになる。くじで「7」をひいたGyrock氏は「絶対7をひきたかった」と喜んだ。その理由を“ラッキーセブンの7”と思ったが、どうも違ったようだ。「きょうは七夕で7月7日。で、7をひけば、フィーバーだからね」(Gyrock氏)

決戦で使うマザーボード、グラフィックスカード、CPU、メモリはくじの番号で決まる(写真=左)。日本は“7”を引いて歓喜(写真=中央)。ラッキーセブンと思ったら、「いや、777でフィーバーだから」(Gyrock氏)

 理由はともあれ、Team “KATANA” Japanは幸先のいいスタートを切った。はたして、当たりのCPUとGPUを引き当てることができただろうか。それぞれに配布パーツを受け取った各国チームは、割り当てられたテーブルでシステムの組み立てに取り掛かった。持ち込んだ自作のクーラーユニットや、結露と凍結から基板やチップを守る“養生”などの工作作業が、オーバークロック競技の最初の見せ場となる。レースでいうと、マシンのセッティングに相当するだろう。

 インターネットで情報を収集できる現代のオーバークロックでは、液体窒素冷却のための円筒形クーラーユニットや養生用のペーパーとワセリン、粘土といった基本的な方法は、そのときの流行に合わせて共通となりつつあるが、具体的な方法や細かい手法は各国で異なってくる。日本は、基板に塗るワセリンと冷気の進入をティシュペーパーの堤防で防ぐのが基本だが、世界で依然として主流の“粘土”は用いない。また、粘土を使うチームでも、下地は日本と同じようにワセリンを使うケースが多い。また、そのワセリンを基板に塗るときにハケや筆を使うチームもいくつか確認できた。

 肉厚の金属製で重い円筒形クーラーユニットをCPUに装着する方法も重要になる。世界で主流なのは、CPUソケットの回りにあるホールから4本の柱を立てて、それで円筒形のユニットを支える方法だ。しかし、Team “KATANA” Japanでは、作業台に可動式のブリッジを設けて、そこから降ろした支柱でクーラーユニットをCPUに押さえつけつつ支える方法を取り入れている。これは、日本独自の方法で、大会に参加したオーバークロッカーたちも注目していた。

ブリッジつき作業台を使うのは日本だけとのことで、各国のオーバークロッカーが注目していた(写真=左)。CPUに抑える支柱の“芯だし”が重要。ポジションの場所を慎重に見定める(写真=中央)。ファンの位置と角度、グラフィックスカードをスロットに差す“角度”も動作の安定性に影響する。微妙な角度の調整で紙テープが活躍する(写真=右)

Team “KATANA” Japanはティッシュを多用する。つめるときには箸を使うのが和の作法だ(写真=左)。世界では粘土を使う養生が依然として主流だ(写真=中央)。下地のワセリンを筆やハケで塗るチームも多い(写真=右)

 各チームは、1時間もしないうちにマシンを組み立ててSuperPIを走らせ始める。といっても、記録を出すためではなく、セッティングを調整するための試走だ。この段階では、「速く走ることができるポイント」を見つけ出すことが重要になる。すでに説明した「速く走ることができる温度帯」もそうだが、CPUやメモリ、GPUの駆動電圧、メモリのタイミング、そして、2個配布されたCPUで“当たりのいい個体”を探すとともに、CPUに搭載された4つの物理コアで一番オーバークロックに向いているコアを探し出すことも必要になる。

 Team “KATANA” Japanは、SuperPI 8Mで試走しながら、ベースクロック、駆動電圧、冷却温度、SuperPI 8MのLapごとのタイムを記録し、そのデータから“当たりの個体とベストのセッティング”を探していった。最初の試したCPUは、ベースクロックを上げるとすぐに起動しなくなり、すばやい決断で第2のCPUに切り替える。すると、ベースクロック107MHzまでSuperPI 8Mが完走する。「これは、当たりかもしれない」とCAL930氏がつぶやいてしまうほどに、いい状態のCPUらしい。使うCPUが決まったところで、次は、コアごとにSuperPI 8Mの記録をとっていく。ラップ記録が好調なのは0番コアと2番コア。そこで、2番コアを使ってSuperPIを走ることに決定した。

マシンが走り始めた! 戦いに臨むTeam “KATANA” Japan(写真=左)。SuperPI 8Mの“試走”データを積み上げて、適切なコアとベースクロック、駆動電圧、温度を探る(写真=中央)。メモリのタイミングをCLiCK BIOSで調整していく(写真=右)

液体窒素が使い放題なら(写真=左)、Red Bullも飲み放題で(写真=中央)、地元の赤牛ドリンクも飲み放題だった(写真=右)

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