Android 3.1を導入して、搭載するCPUがデュアルコアのTegra 2、動作クロックは1GHz、という仕様は、Android搭載タブレットデバイスとしては、いまでは当たり前になってきた。しかし、レノボ・ジャパンは、コンシューマー向けのタブレットデバイス「IdeaPad Tablet K1」で「独自のチューニングでベンチマークテストの結果が他社競合製品より高い」と訴求した。ならば、ThinkPad Tabletはどうだろうか。
測定した値のブレが少ないAndroid対応ベンチマークテストが確定していない状況で、性能評価を行うのは難しいが、一応、測定結果が紹介される機会の多い「Quadrant Professional 1.1.7」でThinkPad Tabletの性能を測定し、すでに、PC USERのレビュー記事で紹介したほかのAndroidタブレットデバイスの測定結果と比較してみる。
測定値に振幅があるので参考程度の考察になるが、競合製品と比べて、総合スコアはわずかに上回る。個別テストを確認すると、CPUと3D性能で他機種を大きく離し、I/OテストでもSony Tablet Sと並んで抜き出たスコアを示している。逆に、Memoryテストの値は今回比較した製品では最も低い、が、その差はわずかだ。
なお、バッテリー駆動時間を調べるため、1280×720ドット、再生時間1分のMP4ファイルの連続再生時間を確かめた。液晶ディスプレイの輝度は最高としたほか、無線LANは有効にして15分おきにTwitterにアクセスする設定で測定を行ったところ、ちょうど30分で10%ずつ、1時間で20%ずつバッテリー残量がなくなっていく状況で、4時間55分を経過したところでThinkPad Tabletの電源が切れた。
10.1型ワイド液晶ディスプレイを搭載するタブレットデバイスを立って使う場合、本体を横にして両手で持つことが多くなるが、縦にして使うことも意外と多い。実際、街中や電車の中で使ってみると、片手で持っている時間が多かった。そうなると、右利きのユーザーは左手で本体を持ち、左利きユーザーは右手で本体を持つ。
レノボ・ジャパンは製品説明会で、「人が触れる部分の熱に注目し、多数のユーザーテストを経て、快適と感じる範囲にボディ表面の熱を抑えるようにした」と説明している。実際に背面の表面温度を、3×3の9ポイントで測定すると、縦位置にした場合の右列で上から、32.8度、29.2度、28.6度に、中央列で上から34.8度、31.4度、28.8度となったのに対して、左列では、上から35.6度、37.8度、34.2度となった。持つのがつらいほどではないものの、長い時間持っているとジワリと汗ばむほどには熱くなる。
なお、この温度は起動してからアイドル状態で30分ほど放置した後に測定した値だが、ベンチマークテストを走らせたり、動画コンテンツを長時間連続再生した状態でも表面温度は大きく変わらなかった。
ThinkPad Tabletは、その姿を従来のThinkPadシリーズに“似せた”だけでなく、パフォーマンス、バッテリー駆動時間、そして、競合するタブレットデバイスにはない堅牢性を持たせるなど、実際の携帯利用で求められる要素をそつなく取り入れている。さらに、Trueペンによる快適な操作と、手書き入力を実用レベルで有効にするAndroidアプリを導入している。
いつでも使えるように常に持ち歩いてしまうために、ついラフに扱ってしまいがちなAndroidタブレットデバイスのThinkPad Tabletが、企業ユーザーも個人ユーザーも安心して使える要素を取り入れた、名実ともに“ThinkPad”の一員と呼ぶにふさわしい製品であったことを確認できたのが、今回のレビュー作業で最も高く評価したいポイントといえるだろう。
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