大解説! 28ナノプロセスルール採用の新世代GPU「Radeon HD 7970」まさか、このタイミングででてくるとは(2/4 ページ)

» 2011年12月22日 14時01分 公開
[本間文,ITmedia]

Southren Islandは3モデルを展開する

 AMDは、この新アーキテクチャを採用するGPUとして、Radeon HD 7900シリーズとなる“Tahiti”コアのほかに、Radeon HD 7800シリーズとなる“Pitcairn”、Radeon HD 7700シリーズとなる“Cape Verde”を用意する。2012年第1四半期中に、順次、現行Radeon HD 6000シリーズの“上位モデル”を置き換えていく計画だ。また、Radeon HD 7000シリーズのフラグシップモデルとして、Tahitiを2基搭載するデュアルGPU製品“New Zealand”の投入計画も明らかにした。

 なお、下位モデルに関しては「現行のVLIW方式でも、グラフィックス用途には十分競争力がある」(デメル氏)として、現行のRadeon HD 6700以下の製品を継続販売する意向を示す。

Tahitiコアを採用するRadeon HD 7970。ダイサイズは365平方ミリと、かなり大きい(写真=左)。Southern Islandsシリーズのロードマップ。Tahitiコアを採用するRadeon HD 7900シリーズのほかに2つのグラフィックスコアを用意し、2012年第1四半期中に市場へ投入する計画だ(写真=中央)。Radeon HD 7000シリーズの製品移行計画。Radeon HD 6700シリーズ以下の現行製品は継続販売となる予定だ(写真=右)

待機電力はわずか3ワット!

Radeon HD 7970のリファレンスカードを紹介する、同製品プロダクトマネージャーのデヴォン・ネケチャク氏

 Radeon HD 7000シリーズは、AMDのノートPC向けGPUで導入するパワーマネジメント機能「PowerTune Technology」も進化した。最新のPowerTune Technologyでは、GPUコアに複数のデジタルセンサーを搭載することで、より精細な電力管理を実現するとともに、従来の製品よりも細かいステップで動作クロックを変更できるようにしている。Radeon HD 7000シリーズでは、この機能をGPUの省電力化に生かすだけでなく、GPUのパフォーマンスを引き出すためにも利用する。

 具体的には、ゲームなど少しでもグラフィックス性能を引き上げたい場面では、GPUの最大消費電力まで余裕がある場合にその分をGPUのオーバークロックに振り分けてパフォーマンスを引き上げようとする。Turbo CORE TechnologyのGPU版という位置づけだ。この電力制御は、アプリケーションごとに、同社が「Power Signiture」と呼ぶ独自の電力プロファイルを付与することで実現する仕組みで、Cataryst Control CenterやOverDriveなどから設定ができるようになる見通しだ。

 また、「より厳密な電力管理が可能になったことで、Radeon HD 7970は優れたオーバークロック耐性を得た」と、同製品の開発を担当したプロダクトマネージャーのデヴォン・ネケチャク氏は説明する。Radeon HD 7970のリファレンスデザインでは、コアロック925MHz、グラフィックスメモリクロック1.35GHzとなるが、「AMDのラボでは、コアクロック1.22GHzでも動作は安定している。将来的には、コアクロックを1GHz超えに設定して投入してくるグラフィックスカードベンダーも出てくるだろう」と、さらなるパフォーマンスアップの可能性を示唆する。なお、リファレンスデザインのグラフィックスカードの最大消費電力は260ワットで、外部補助電源用としてPCI Express 8ピンと6ピンコネクタを備える。

 省電力化機能には、「AMD Zero Power Technology」と呼ばれる機能を追加した。この技術は、Windowsが長時間アイドル状態にある“ロングアイドルモード”で、ディスプレイがOFFになった場合、GPU内のPCI Expressインタフェース以外への電力供給をカットすることで待機電力を3ワット以下に抑える。また、通常のアイドル状態でも28ナノメートルプロセスルールの採用で、待機電力は15ワット以下に抑えるという。ネケチャク氏は「Zoro Power Technologyにより、マルチGPU環境構築をためらわせる原因となっている消費電力の問題も解消できるので、もっと気軽にCrossFire環境の構築を検討してほしい」とアピールする。

AMDは、CPUの電力管理技術として活用してきた「PowerTune Technology」をGPUパフォーマンスを引き上げるためにも導入する(写真=左)。最新のAMD PowerTune Technologyでは、よりきめ細かいステップでクロック変更が可能になっている(写真=右)

“Power Signature”と呼ぶ電力プロファイルによって、負荷の高い3DゲームなどではGPUのコアクロックをTDPの上限まで引き上げて性能を向上させ、TDPを超える電力を消費するストレステストツールなどはコアクロックを引き下げ、GPUをオーバーロードから保護する(写真=左)。より厳密な電力管理技術の採用で、Radeon HD 7970は1GHz以上のオーバークロック動作も可能だと説明する(写真=右)

新しく追加されたZeroCore Power Technologyでは、ディスプレイがOFFとなるWindowsのロングアイドルモードで、待機電力を3ワット以下に抑える。なお、通常のアイドル時の消費電力は28ナノメートルプロセスルールの採用で15ワット以下に低減できるという(写真=左、中央)。ZeroCore Power Technologyによって、CrossFire X構成においてはGPU負荷が低いときにシングルカード動作+3ワット(×カード枚数分)の電力しか消費しない(写真=右)

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