ベンチマークテストで振り返る2011年のGPU:イマドキのイタモノ(3/3 ページ)

» 2011年12月31日 15時00分 公開
[長浜和也,ITmedia]
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そして、2012年につながるRadeon HD 7970

 12月には、AMDの“新世代”GPUとなる「Radeon HD 7970」を評価した。AMDのGPUポジション的にRadeon HD 6900シリーズの後継に当たり、“Tahiti”(仏領タヒチ島)という開発コード名で呼ばれていたハイエンドモデルだ。プロセスルールを28ナノメートルにシュリンクし、チップ内部のアーキテクチャも刷新して「Graphics Core Next」(GCN)と名づけている。

 搭載するシェーダ(Stream Processor、AMDはRadeon Coreと呼ぶ)は2048基。リファレンスデザインのコアクロックは925MHzで、オーバークロックで1GHz超も可能とAMDは説明している。グラフィックスメモリの転送レートは、GDDR5で5.5Gbps相当(実クロックで1375MHz)、そして、グラフィックスメモリのバス幅が、従来の256ビットから384ビットに拡大した。単体のGPUで搭載するグラフィックスメモリの容量も標準で3Gバイトと多い。

 動作中の温度がTDPまで余裕がある(十分に冷却されている)状況では、その余裕内でパフォーマンスを引き上げる「PowerTune Technology」を導入した。また、Radeon HD 7970では、ディスプレイがオフになったことを検出して、出力端子への電源供給をカット、アイドル時の消費電力を3ワット以下まで抑えている。

 「Unified Video Decoder」(UVD)も強化され、特にVideo Codec Engine(VCE)として、H.264マルチストリームのハードウェアエンコードが利用できるようになり、手ブレ補正を行うAMD Steady Videoも、より幅広いモーションに対応した。

 ベンチマークテストの結果を「Radeon HD 6970」と「GeForce GTX 580」と比較したが、3DMark 06、3DMark Vantage、3DMark 11のいずれでも、Radeon HD 7970は、ほかのGPUを引き離してトップのスコアとなった。

 ゲームタイトルを用いたベンチマークテストでも、Crysis 2でGeForce GTX 580とほぼ同じ、F1 2011では、低解像度条件でGeForce GTX 580に負けているものの、高解像度条件で逆転するという傾向がみられた。BATMAN ARKHAM CITYでも、Radeon HD 7970が常に頭ひとつ抜けたスコアを出している。

 消費電力の比較では、高負荷条件で、Radeon HD 7970はRadeon HD 6970より約20ワット多いものの、アイドル時ではRadeon HD 6970より低く、ディスプレイ点灯時と消灯時で約15ワットほどの差が確認できた。

3DMark 11でRadeon HD 7970の性能を検証し(写真=左)、ワットチェッカーでシステム全体の消費電力を調べた(写真=右)


 2011年は“新世代”GPUの登場は少なく、ようやく12月の終わりにRadeon HD 7000シリーズを評価できただけにとどまった。新登場GPUのレビューは5記事と例年になく少ない。

 そういう状況にあって、グラフィックスカードベンダーは、独自のクーラーユニットや基板デザインで競争するようになり、オーバークロックモデルと合わせて、多数の派生モデルを用意した。“イマイタ”レビューでも、MSIのオリジナルクーラーユニットを搭載した「Twin Frozr」と「Cyclone」モデルと、「Twin Frozr III」搭載モデルで冷却性能の検証を行った。関係者によると、自分たちの技術力で従来モデルと違いを出せるので、マザーボードよりも製品を投入やすいメリットもあったという。

 2012年は、AMDのRadeon HD 7000シリーズのミドルレンジとバリュークラス、そして、デュアルGPU搭載モデルの登場が予定されているほか、NVIDIAも“Kepler”と開発コード名で存在が予告されている新世代GPUを投入する計画だ。

 以上、長い“休戦期間”が終わって、再び“激戦”となりそうな予感をさせながら、2011年の“イマイタ”レビューを終わりにしたい。

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