“第3世代Core i7”搭載の「HP Pavilion Desktop PC h8-1290jp/CT」を徹底チェックオーバークロックも手軽にできる(1/4 ページ)

» 2012年05月02日 09時30分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

HPのハイエンドミニタワーがIvy Bridgeを採用

「HP Pavilion Desktop h8」の2012年夏モデル「h8-1290jp/CT」

 日本ヒューレット・パッカード(HP)の「HP Pavilion Desktop h8」シリーズは、個人ユーザー向けのハイエンドなミニタワー型PCだ。同社のデスクトップPCでは、水冷ゲーミングモデル「HP Pavilion Desktop h9」の次に高性能な製品となっている。

 2012年5月2日に発表された夏モデル「h8-1290jp/CT」では、基本システムを一新。Ivy Bridgeの開発コード名で知られる、第3世代Coreプロセッサー・ファミリーを搭載してきたのが最大の特徴だ(h9の2012年夏モデルは未発表)。ラインアップは量販店モデル(実売価格16万円前後)に加えて、仕様をBTOでカスタマイズしてオーダーできる同社直販のHP Directplusモデル(7万5810円から)も用意する。

 今回はハイスペックな構成のHP Directplusモデルを入手したので、第3世代Coreがもたらす性能を中心に、その実力をチェックしていこう。

シンプルでスタイリッシュなボディは健在

 ミニタワー型ボディの外観やシャシー構造は、従来モデルから引き継いでいる。側面を中心に通気口を多数開けた非光沢ブラックのシャシーに、光沢ブラックのフロントマスクを組み合わせており、シンプルながらスタイリッシュなデザインだ。パワー/アクセスランプとして機能する横一本線のLED(レッド・イルミネーション・バー)がブラックボディの中でいいアクセントになっている。

 フロントマスクのカバーを手で押し下げると、15 in 1メディアスロット(CF Type I/II、SDXCメモリーカード、メモリースティックPRO、xDピクチャーカードなどに対応)と4基のUSB 2.0が現れる。また、天面にも2基のUSB 3.0とヘッドフォン出力、マイク入力を搭載し、床置きで使われることが多いタワー型ケースの使い勝手に配慮している。

 背面には1000BASE-Tの有線LANのほか、4基のUSB 3.0(うち2基は拡張カードのブラケットに実装)、4基のUSB 2.0、光デジタル音声出力、アナログ音声端子6基(8.1ch出力対応)などを装備している。映像出力端子は、搭載するグラフィックスカードによって変わる仕様だ。マザーボード上にはPCI Express x1 Mini Cardスロットがあり、ここにIEEE802.11b/g/nの無線LANモジュールを追加することもできる。

 本体サイズは、175(幅)×412(奥行き)×415(高さ)ミリで、重量は約10.98キロだ。Micro ATXマザーボードを上下逆に配置し、CPUやメモリ、グラフィックスカードの周囲に十分なスペースを確保しつつ、CPUクーラーからすぐ奥のケースファンに向かって効率よく排気されるよう工夫している。

 ケース内には2基の5インチベイ、1基の3.5インチオープンベイ(メモリカードスロットが占有)、2基の3.5インチシャドウベイを用意しており、ミニタワー型としては必要十分な拡張性だ。3.5インチシャドウベイのユニットは、2本のネジを外し、レバーを押しながらスライドさせることで簡単に取り出せる。電源ユニットの出力は600ワットだ。+12V系が4系統あり、+12V系合計の最大出力が540ワットとなっている。

光沢あるフロントマスクを下にスライドさせると、各種メモリカードスロットと4基のUSB 2.0ポートが現れる(写真=左)。側面には吸気用の穴が多数設けられている(写真=中央)。背面に4基のUSB 3.0や音声出力など、主要なインタフェースを用意している(写真=右)

天面に電源ボタンとBeats Audioロゴ、USB 3.0×2、音声入出力の端子を配置(写真=左)。天面の端子類は後方に向いており、正面から見た場合にデザインのノイズとならないほか、緩やかにくぼんだ天面にUSB接続の外付けHDDやヘッドフォン、マイクなどを置きやすいようになっている。側面のカバーは手回しネジを1本外すだけで分離可能だ(写真=中央)。ケース内部はマザーボードを上下逆に配置しており、CPUやメモリ、グラフィックスカード周辺には十分なスペースが確保されている。2基のUSB 3.0は拡張カードでブラケットに設けられるほか、PCI Express x1 Mini CardスロットにIEEE802.11b/g/nの無線LANモジュールを追加することも可能だ(写真=右)

第3世代Core i+Intel Z75 Expressの最新システム

 基本システムには、第3世代のCore i5/Core i7とIntel Z75 Expressチップセットを中心とした最新のプラットフォームを採用。Ivy Bridgeは、世界に先駆けて3Dトライゲートトランジスタ技術を導入した22ナノメートルプロセスルールの採用により、主に高負荷時の消費電力を大幅に低減している。また、従来の同等性能CPU(第2世代Core i)に比べて、TDP(熱設計電力)が引き下げられており、静音性などにもよい影響が期待できる。

今回入手したh8-1290jp/CTは、デスクトップ向け第3世代Coreとしては現行で最上位となるCore i7-3770Kを搭載していた

 このh8-1290jp/CTでは、Ivy Bridgeの現行最上位モデルとなるCore i7-3770K(3.5GHz/最大3.9GHz)を筆頭に、Core i7-3770(3.4GHz/最大3.9GHz)、Core i5-3570K(3.4GHz/最大3.8GHz)、Core i5-3450(3.1GHz/最大3.5GHz)と4種類のCPUから選べる。選択肢はいずれもIvy BridgeベースのCPUだが、プロセッサーナンバー末尾にKが付いた倍率ロックフリーの「Kモデル」も搭載できる点は興味深い。

 主に自作PC市場向けに用意されているKモデルは、CPU動作倍率の上限が固定されておらず、動作倍率を操作できるチップセット/マザーボードと組み合わせることで、CPU倍率の変更によるオーバークロックを制限なく試すことができる。例えば、Core i7-3770Kは本来はTurbo Boost時の上限クロックが3.9GHz(ベースクロック100MHz×39倍)に設定されているが、この倍率を43倍に変更すれば、動作クロックを4.3GHzまで高めることが可能だ。

 h8-1290jp/CTが搭載するマザーボードのBIOSにも、こうしたオーバークロック向けの倍率変更設定が用意されており、オーバークロック操作を手軽に試せるようになっている。実際にメーカーの了承を得て、軽くオーバークロック操作を試してみたところ、倍率44倍の最大4.4GHzでOSが起動、4.3GHzでベンチマークテストが動作するのを確認できた。

 メーカーの保証対象外になる行為とはいえ、自己責任においてでもオーバークロック動作を試すことができるのは、メーカー製PCとしては珍しい。自作PC向けのマザーボードのように電圧などの細かい設定項目があるわけではないが、PCに対する知識があり、メーカー製PCでも自己責任でのオーバークロックを試してみたいという方には魅力的な機能だろう。

放熱機構は空冷を採用しており、CPUクーラーはCooler Master製だった(写真=左)。CPU-Zの情報表示画面(画面=中央/右)。動作クロックは3.5GHzだが、Intel Turbo Boost Technology 2.0に対応しており、最大3.9GHzで動作する(1〜2コアアクティブ時)

起動直後に「F10」キーを押せば、BIOSセットアップに入れる。オーバークロックを行うための設定は「電源タブ」にある。Core i7-3770Kのデフォルト設定では、アクティブコア(動作状態にあるコア)の数ごとに上限倍率が決められているので、このデフォルト値より高い倍率を指定するとオーバークロック動作になる(画面=左)。アクティブコア数にかかわらず、42倍(4200MHz)で動作するよう変更してみた(画面=中央)。なお、この倍率はIntel Turbo Boost Technology 2.0の上限倍率だが、ユーザーが設定変更を行った時点で「安全な範囲内でクロックを上げる」という前提条件は無効になる。オーバークロックによって4.3GHzで動作させた状態でも、CINEBENCH R11.5の完走を確認できた(画面=右)

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