富士通が目指す“新しいPC”のコンセプト「マイクラウド」――FMV夏モデル発表会:2012年PC夏モデル

» 2012年05月09日 21時00分 公開
[ITmedia]

富士通が目指す新コンセプト「マイクラウド」

FMV夏モデルの目玉「LIFEBOOK UH」シリーズ

 富士通は5月9日、同社のPCブランド「FMV」シリーズの2012年夏モデルを発表した。各製品の詳細は「富士通、“第3世代Core”搭載のUltrabookなど「FMV」夏モデルを一挙投入」で報じた通りで、富士通が満を持して投入したUltrabook「FMV LIFEBOOK UH」シリーズなどが見どころだ(関連記事:こんな国産Ultrabookを待っていた?――「FMV LIFEBOOK UH」の“美ボディ”に迫る)。

 同日開かれた発表会では、新製品の紹介・展示のほか、今後富士通が目指すPC戦略についても説明が行われた。そのキーコンセプトは、同社が持つハードウェア、ソフトウェア、サービスを融合させた「マイクラウド」だ。

 富士通執行役員常務の大谷信雄氏は、PCにおける性能面での進化と、これまでのPC用途の変遷を振り返り、「1990年以降はPCの用途としてネットが中心であり、主な役割は変化していない。(そうした用途を代替する)スマートフォンやタブレットが登場して、今ではPC不要論まで出ている。しかし本当にそうだろうか」と述べ、“PC不要論”の原因として、PCの性能が飛躍的に向上したにもかかわらず、そのポテンシャルを活用する用途を提案できていない点にあると指摘した。

 続けて同氏は、オーディオ機器の例を引き合いに出し、「市場参入が容易な汎用化の進んだ製品は、技術的な進化だけでなく、サービスも含めた商品として提供する必要がある」と語り、今後は同社が持つハードウェア、ソフトウェア、サービスを融合して、「デジタル社会の課題」――肥大化するデータやあふれる機器、管理の煩雑な複数のサービス――を解決していくことこそが、今後富士通が目指すべき新しいPCの役割だと説明した。

PC用途の変化とコンピューティング性能の変化。現在のノートPCは、6年前のサーバと同等の性能を持っているが、主な用途はインターネットやメールが中心のまま(写真=左/中央)。オーディオ機器の変遷(写真=右)。製品が汎用化(低コストで製造できる)した後にサービスで差別化していく例(写真=右)

個人で所有するデバイスの数やデータ量は増加の一途をたどり、インターネット上のサービスもあふれている。同社が実施した調査によると、撮影した写真を活用していないユーザーは8割にのぼるという

 その中核となるコンセプトが前述のマイクラウドになる。マイクラウドはホームネットワークに散在するデータを整理する「マイクラウドP」と、クラウド上にある複数のサービスを利用する「マイクラウドS」で構成され、この2つは連携する予定という。

 例えば、ユーザーが撮影した写真や動画がマイクラウドPで自動的に収集され、共有・活用したいデータはマイクラウドS上で場所を問わず閲覧したり、アルバムに製本して宅配するサービスなどが利用できるようになる。また、マイクラウドSは富士通だけでなく、複数のサービス事業者のプラットフォームとして機能する。ユーザーはさまざまなクラウドサービスを富士通が提供する同一IDで安全かつ簡単に利用することができ、サービス事業者にとっても、決済システムなどを自社で構築する必要がないといったメリットがある。

家にあるデータを管理する「マイクラウドP」と、インターネット上のさまざまなサービスと連携する「マイクラウドS」で構成された新コンセプト「マイクラウド」。他のサービス事業者も参加するプラットフォームとして提供する。ユーザーはサービス提供者の違いを意識することなく利用できるという

マイクラウドP上のデータをクラウドで活用したり、逆にマイクラウドSを通して家の照明やエアコン設備などをコントロールできるようになる

 ただし、このマイクラウドは現時点では構想段階であり、2012年PC夏モデルではマイクラウドPの一部の機能が実装されるにとどまる。また、マイクラウドSの開始は2012年10月になるという(なお、10月開始のタイミングでは、自社サービスのほか、いくつかのサービス事業者がマイクラウドプラットフォームに参画する予定とのことだ)。

発表会の冒頭に登壇した執行役員副社長の佐相秀幸氏は「2011年に震災やタイの洪水の影響はあったが、業績はまずまず」と堅調ぶりをアピールした(写真=左)。「マイクラウド」のコンセプトを説明する執行役員常務の大谷信雄氏(写真=中央)。新製品の紹介は執行役員の齋藤邦彰氏が担当した(写真=右)

富士通初のUltrabookが登場した2012年FMV夏モデル

薄型の美しいデザインながら200キロ加圧にも耐える「FMV LIFEBOOK UH」

 新製品の紹介は同社執行役員の齋藤邦彰氏が行った。最大の目玉は富士通初のUltrabookとなる「FMV LIFEBOOK UH」シリーズだ。

 狭額縁設計を採用し、13型クラスのボディに14型ワイド液晶ディスプレイを搭載した「UH75/H」は、本体の厚さが9〜15.6ミリと非常に薄く、HDD搭載ノートPCとして世界最薄という。「世界最薄の15.6ミリ、世界一コンパクトな1.1リットルの容積、そして360度どこから見ても美しいデザイン」と齋藤氏。また、天板と底面にマグネシウム合金を用いたフルフラットのボディが目を引く一方で、200キロ加圧に耐える堅牢性を備えているのも特徴だ。齋藤氏は「薄型化と堅牢性を両立した独自の超圧縮クロスグリッド構造はメイドインジャパンだからこそできた」と胸を張る。

 なお、FMV LIFEBOOK UH以外でも、13.3型ワイドの「LIFEBOOK SH76/H」や15.6型ワイドのオールインワンノートPC「LIFEBOOK AH45/H」がクラス世界最薄を実現するなど、2012年の夏モデルは薄型化が進んだ。

レッドとブラックのツートーンが鮮やかな「FMV LIFEBOOK UH75/H」のサテンレッドモデル(写真=左)。上位モデルは底面までフルフラットでデザインされている。薄いうえにカッコイイ(写真=中央)。同社独自の超圧縮クロスグリッド構造によって、極薄ボディながら200キロ加圧に耐える堅牢性を確保した(写真=右)

富士通が夏モデルで投入したUltrabook「LIFEBOOK UH」は、超薄型ボディながら200キロ加圧に耐える。人が載っても壊れない。
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 一方、「FMV ESPRIMO FH」や「FMV ESPRIMO EH」といった液晶一体型PCのラインアップは、PC、テレビ、レコーダー、オーディオを1台にまとめたホームエンターテインメントPCとして訴求していく。「今年はオリンピックイヤーで(テレビを視聴する機会が増え)、今後はネット配信コンテンツも増えていくと予想される。パソコンだけではできない、テレビだけではできないことをすべて解決するPCを投入していく」(齋藤氏)。

DVDスーパーマルチドライブを搭載しながら厚さ23.2ミリを実現した「LIFEBOOK SH76/H」。モバイル・マルチベイには光学ドライブのほか、増設バッテリーやHDD、プロジェクターなども装着できる(写真=左)。15.6型ワイドのオールインワンノート「LIFEBOOK AH45/H」も21.7ミリまで薄型化した(写真=中央)。1台4役をうたう液晶一体型PCもラインアップされる(写真=右)

 このほか、新製品発表会にはFMVシリーズのCMキャラクターとして新たに起用されたEXILEのメンバー(HIRO、MATSU、AKIRA)も登場した。トークセッションでは、FMV LIFEBOOK UHについて「デザインがかっこいい、ライブでパソコンをいろいろなところへ持って行くので薄さは重要、自分にはありがたい。自分はせっかちなので起動が速いのもいい」(AKIRA)とコメントしたり、メイドインジャパンにこだわる富士通のPCに対して、「このあいだ自分たちが出したタイトルも『JAPAN』というもの。日本に対する強い思いには共感している。今は日本の底力を見せる時期だと思う。ぼくらはエンターテインメントを通じて、富士通はメイドインジャパンのパソコンで日本を応援していければ」(HIRO)とエールを送った。

新CMキャラクターに起用されたEXILEのHIROさん、MATSUさん、AKIRAさんもゲストとして登場した

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