例えば、デスクトップ画面を開き、従来のWindows 7と同じような使い方をする場合を考えてみよう。従来ならプログラムを開くため、左下のスタートメニューを開いたが、そこにボタンはない。
しかし、左下のコーナーにマウスカーソルを置くと、スタートスクリーンへの切り替え機能が表示される。スタートスクリーンを呼び出し、そこでキーボードから文字を打ち込めば、自動的に検索機能が働いてインストールされているアプリケーションの絞り込み検索になる。画面が大きく遷移するため、慣れは必要だが、確かに(直観的とは思えないが)覚えてしまえば、従来よりも楽だ。
このように画面のコーナーを利用した機能は、ほかにもタスク切り替えやシステムメニューの呼び出しといった形で応用されている。Windows 8は画面の外から内にタッチパネルをなぞる“エッジ操作”で基本機能を呼び出せるが、マウスで同様の操作を行うのは面倒だ。
そこで、左上コーナーにマウスカーソルを置いてクリックすると、左エッジからの操作のときと同じように“隣のタスク”へと次々と切り替わる。左上のコーナーから左辺に沿ってマウスカーソルを下げると、バックグラウンドタスクの画面一覧も出てくる。
マウスボタンをホールドして画面左右にスナップすれば、全画面アプリの分割表示も行える。全画面表示アプリでも、ふたつのアプリを並べて操作できるのは、他のタブレット型OSに対するWindows 8の特徴でもあるが、マウスでもタッチパネルでも操作はしやすい。
逆側、右上コーナーにマウスカーソルを動かすと、今度はシステムメニューを引き出せる。ここから情報の共有や検索などシステム全体につながるグローバルな操作を行うのだが、これも右端からのエッジ操作をマウス操作に置き換えたものだ。
さらに、すでに最近のノートPCでは導入が進んでいるマルチタッチ対応のタッチパッドを搭載している機種(Windows 8発売後は、マルチタッチ対応タッチパッドの搭載が標準になっていく)にWindows 8をインストールすると、タッチパッド上でエッジ操作などタッチパネル的なジェスチャーを手元で入力できる。
筆者としては、完全に納得したわけではないが、この数カ月、Windows 8を使い続けてきて、当初の違和感(その多くは操作性というよりも、画面のデザインや遷移の仕方に違和感があった)はかなり払拭された。キーボードやマウスでの使い方もコツをつかんではいたのだが、既存のユーザーがスムーズに移行できるかどうかは(自分が慣れてしまったこともあり)評価しにくい。
とはいえ、自らもキーボードとマウスの操作を多用するというシノフスキー氏の自信の一端は、垣間見えたとは言える。
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