「iPad mini」と「iPad Retinaディスプレイモデル」の表示品質を測色器でチェック違いは解像度だけじゃない(1/2 ページ)

» 2012年11月09日 17時21分 公開
[後藤治,ITmedia]

どっちがきれい? 「iPad mini」と「iPad Retinaディスプレイモデル」

「iPad mini」と「iPad Retinaディスプレイモデル」を測色器でチェック!

 アップルはこの冬、2つの新しいiPadを年末商戦に向けて発売した。1つはこれまで同社が創造してきたユーザー体験を片手サイズに凝縮した「iPad mini」。もう1つは、強力な新チップの採用によってさらに快適な操作性を実現した「iPad Retinaディスプレイモデル」(以下、第4世代iPad)だ。この“2つの魔法”は、液晶ディスプレイのサイズと解像度が違うため、それぞれにとって最適な利用シーンも異なるが、いずれにしてもタブレットブームを加速させる魅力的な製品であることは間違いない。

 一方、すでにiPadを使っているユーザー(そして新モデルへの買い替えを検討している人)は、目で見てすぐに分かる解像度以外の部分も気になっているはずだ。タブレットの主用途であるメディアブラウザとしての役割には、ハードウェアの処理性能だけでなく、コンテンツを美しく表示する鮮やかな発色や色再現性が欠かせない。いうまでもなく、ディスプレイの品質もユーザー体験に直結する。

 ここでは測色器を使ってiPad miniと第4世代iPadの表示品質を見ていく。なお、テストに使用した評価機は各1台ずつで、製品の個体差や液晶パネルベンダーの違いは考慮していない。すべてのiPad miniと第4世代iPadに同じ傾向が当てはまるわけではないことに留意してほしい。

世代差による色温度の違いは?

 テストはエックスライトのカラーマネジメントツール「i1Pro」(製品パッケージとしては「i1Basic」)を使って行った。iPad miniと第4世代iPadそれぞれに、iOS端末をPCのサブディスプレイとして利用できるアプリをインストールし、i1Proで各ディスプレイを直接計測した(計測ソフトには「i1Profiler」を利用)。バックライトの明るさは、環境光に応じた自動調整機能をオフにしたうえで、手動で計測値を120〜125カンデラ/平方メートルの範囲内にそろえている。なお、参考値として初代〜第3世代までのiPadで測定した結果も並べている。

 結果は下表の通り。

i1 Proで計測したiPadの色温度/ガンマ(輝度は120〜125カンデラ/平方メートルに固定)
製品名 色温度
初代iPad 7100K
第2世代iPad 6900K
第3世代iPad 6400K
iPad mini 6834K
第4世代iPad 6761K

 色温度を見ると、今回評価した機体では、iPad miniが6834K、第4世代iPadが6761Kとなった。ちょうど、第3世代iPadと第2世代iPadの中間で、「sRGB」で定められている色温度(6500K)に近かった第3世代iPadよりもやや色温度が高く、第2世代iPadよりも低い。また、iPad miniと第4世代iPadの比較では、iPad miniのほうが色温度が高く、全面に白を表示した際の見た目の印象とも一致している。

 色温度が低いと、白色の表示が黄から赤みがかって見え、高くなるにつれて青っぽく変化する。このため、第3世代iPad(新しいiPad)が発売された当初は、従来モデルと比較して「画面が黄色く見える」といった反応が見られたが、実際はiPadの中で最も業界標準に近く、数値的には第1世代と第2世代のほうが色温度がやや高すぎた。ただし、以前の検証記事でも触れているように、日本人は色温度が高い表示を好む(青みがかった白を白と感じる)傾向にあるので、個体差の問題はあるものの、色温度が6800K前後の新しいiPad miniと第4世代iPadの表示をちょうどいいと感じる人は多いかもしれない。

 一方、ガンマカーブの補正結果を見ると、赤と緑は暗部から明部まで入力と出力がほぼ1:1で推移しているが、青はやや下方向へ補正されているのが分かる(つまり標準状態では青が強めに出る傾向にある)。もっとも、タブレット用のディスプレイとしては優秀な部類と言えるだろう。

i1Proの計測結果から抜き出したガンマカーブ。左がiPad mini、右が第4世代iPad

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