大画面派待望、“15.6型ノート”の概念を変える特別モデル──「LaVie X」徹底チェック(前編)直販サイトモデルは12万円台から(2/2 ページ)

» 2012年12月30日 15時42分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]
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薄型軽量化を支えるスペシャルな技術

photo ボディはアルミニウム合金を採用する

 LaVie Xは、この極薄ボディを実現するためにさまざまな技術が投入されている。ボディ素材は、マグネシウム合金に対して曲げ強度が1.5倍あるというアルミニウム合金を全面的に採用する。特に天面部は厚さ1ミリのアルミ合金プレートとすることで外部からの圧力に対する強度を確保し、さらに液晶モジュールとの隙間を狭めることを可能にしている。

 薄型化のための工夫は内部構造にも及ぶ。部品はメイン基板の片面だけに、かつ部品自体も同性能なら高さの低いものを厳選して実装した。実際、内部を見るといっさい基板の重なりがなく、無駄なく配置されていることが分かる。CPUクーラーやmSATAモジュール、PCI Express MiniCardモジュールなどは、その部分だけメイン基板をくりぬいて装着するという徹底ぶりだ。

 また、CPUクーラーは厚さ5ミリの超薄型モジュールを採用し、左右に分けて2基搭載。CPUの熱をCPUクーラーに伝えるヒートパイプも左右で2本使用している。左右に分けることで放熱能力を分散しつつ、ヒートパイプ自体の薄型化も推進したというわけだ。なお、2つのファンを同時に使うと共振が発生するが、こちらはシステム側で制御して回転数をずらす工夫により対応している。


photophoto マザーボード上面(写真=左) マザーボード底面とバッテリー(写真=右)

 キーボードも薄型化が徹底している。LaVie Xは一般的なノートPCで採用する“完成されたキーボードモジュール”を単に組むのではなく、モジュールより剛性感確保のためのベース板を省き、剛性感は自身のボディで確保。それをボディと一体型構造とする「筐体一体型キーボード」を採用する。これにより、余計なベース板やネジ止めの必要性を排除し、キーストロークを1.2ミリ確保しつつも、大幅な薄型軽量化を可能にした。

 この一点モノ的な設計、製造手法は「LaVie Z」と同じだ。汎用部品を組み合わせて製造する一般的なPCと異なり、部品はLaVie X用に作り込むため、当然コストはかさむはず。こういった内部構造を知れば、本製品もまたLaVie X同様、スペシャルな存在であるということを改めて実感する。

パフォーマンス志向の基本スペック

 基本システムには、多くのUltrabookと同じく超低電圧版Ivy Bridge/ChiefRiverプラットフォームを採用しているが、その中でもハイパフォーマンス志向な内容となっている。

 チップセットにはIntel QS77 Express、グラフィックス機能はCPU統合のIntel HD Graphics 4000を使用する。CPUはCore i7-3517U(1.8GHz/最大3.0GHz)だ。こちらはデュアルコアで、Hyper-Threading Technologyにより4スレッドの同時実行が可能だ。動作クロックは1.8GHz、Turbo Boost 2.0により高負荷時は最大3.0GHzで動作する。TDPは17ワットだ。

photophoto CPUには超低電圧版のCore i7-3517Uを採用する。デュアルコアでHyper-Threadingに対応しており、4スレッドの同時実行が可能。定格クロックは1.9GHz、Turbo Boost 2.0により、高負荷時は最大3.0GHzで動作する
photo メモリはDDR3-1600 SDRAMを採用しており、容量は4Gバイトだ。Ultrabookとしては珍しく、デュアルチャンネルアクセスに対応しており、25.6Gバイト/秒のメモリ帯域を持つ

 メインメモリはPC3-12800 SDRAMを4Gバイト搭載している。メモリモジュールをマザーボード固定で実装するので増設をサポートしないのは大変残念だが、デュアルチャンネルアクセスによりメモリアクセスを高速化している点は良好なポイントだ(LaVie Zも4Gバイト固定だが、シングルチャンネルアクセス仕様となっている)。

 データストレージは、Serial ATA 6Gbps対応の高速SSDを採用しており、容量は約256Gバイト。評価機では、東芝製「THNSNF256GMCS」を実装していた。こちらはSerial ATA 6Gbpsに対応したmSATA SSDで、公称スペックはシーケンシャルリード524Mバイト/秒、シーケンシャルライト440Mバイト/秒とかなり高速なSSDモジュールである。

 通信機能は、2.4GHz帯/5GHz帯両対応のIEEE802.11a/b/g/n準拠無線LANと、Bluetooth v4.0を標準装備する。搭載モジュールはIntel Centrino Advanced-N6235だ。有線LANポートは搭載していない。このほか、USB 3.0×2、SDXC対応SDメモリーカードスロット、HDMI出力、ヘッドフォン/ライン出力共用端子、液晶ベゼル上部に92万画素のWebカメラを搭載する。

 OSは64ビット版Windows 8、オフィススイートはOffice Home and Business 2010をプリインストールする。なお、NECの直販サイト「NEC Direct」では、Officeなし/128GバイトSSDなどのカスタマイズメニューも用意し、12万9780円からと店頭モデルよりかなり割安な価格より購入できるようにもなっている。

 惜しいのは、メモリ容量が4Gバイト固定であること。徹底した薄型化のため、そしてUltrabookとしては標準的な容量であり、一般ユーザー層にはまったく困らない容量でもあるが、本シリーズは大画面ディスプレイを搭載している点でハイクラスなクリエイティブユースにも使え、そんなユーザーも振り向かせるであろうポテンシャルを持つ。ここまでアグレッシブに薄型化を攻めているだけに、仮に固定装着だったとしても8Gバイト以上を標準とするくらいの思い切りはほしかった。

photophotophoto デバイスマネージャ画面の一部

→(後編に続く

 後編は、ディスプレイ/キーボードの使い勝手、そして実パフォーマンスを検証する予定です。


NEC Direct(NECダイレクト)

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