YOGA TABLET 8の本体サイズは約213(幅)×144(高さ)×7.3〜20(厚さ)ミリ、重量は評価機実測値で392グラムとなる。7型クラスのベンチマーク機となるNexus 7(2013)と比べると、8型のディスプレイを採用するため幅も高さもわずかに大きく、重い。縦位置にて標準的サイズの成人男性の手で“スマートフォンのように全面を握る”のはギリギリ難しい感じだ。
とはいえ、スタンド機構の形状が持ちやすさの向上に大きく貢献している。これにより棒状のものを握る感覚で、かつ他方が軽い(重心がスタンド側にある)ので不安なく片手持ちできる。通勤時や待ち時間に立ちながら使うシーンにも、重さや持ちにくさで不満を感じることは少ないはずだ。
そして、自立させるスタンドモードは屋内/机上での使い勝手がさらによい。手ごろなサイズ感とスピーカー(Dolby Digital Plusソフトウェア搭載)が前面にあることも相まって、動画コンテンツをプライベートで楽しむシーンにバッチリで、業務中のノートPCの傍らに置いてSNSのタイムラインやニュース、Webサイトなどをながら表示しておくにもちょうどよい。スタンドのヒンジは適度に硬めの抵抗感があるので、全閉/全開ではない位置に角度を微調することも可能だ。スタンドは全開した標準時で約108度で自立するが、(当評価機は)そこから150度程度まで“途中で止めて角度を手動調整”させることができた。
単体でここまで多用途に使える本機を周りの何人かに見せると「それなら風呂では?」という声がいくつか聞かれた。願わくば防水仕様であれば……である。今後、こういった日本ならでは(かもしれない)ニーズにも応えてくれるとうれしいと思う。
YOGA TABLET 8の基本スペックは、正直あまり特筆すべき部分はないかもしれない。プロセッサは普及価格帯のAndroidタブレットで採用されるクアッドコアのMediaTek MR8125で、動作周波数は1.2GHz。グラフィックスはPowerVR SGX 544MPを採用する。メインメモリは1Gバイト、内蔵ストレージは16Gバイト。ディスプレイも昨今採用例が増えた高解像度……ではない1280×800ドット表示の8型IPS液晶ディスプレイを搭載する。今回は参考として同等クラスのサイズ感となる「Nexus 7」のスコアと比較した。
現行のAndroidタブレットとして高水準のスコアを記録するNexus 7と比べると、YOGA TABLET 8は、CPU、メモリ、3Dグラフィックスともに及ばない結果となる。ただ、タッチ/スワイプ操作の正確な追従性やレスポンス、アプリの起動、Webサイトのスクロールや拡大/縮小表示、レンダリング速度など、普段の操作で困ることはなく普通にキビキビと動作するので、高度なパフォーマンスを望む使い方でなければ心配はいらない。日本語表示もかつての低価格志向なタブレットに存在した、いわゆる“微妙に違う漢字表示”では当然なく、きちんと正確な日本語フォントがインストールされている。
バッテリーテスト(最大輝度でYouTube動画を連続再生)の結果は約9時間12分だった。Nexus 7(2013)は約7時間40分だったので、この部分はかなりアドバンテージがある。普段は輝度をもう少し落として使うだろうし(光センサーで自動調整も可能)、モード別に明るさを自動切り替え/調整する機能も備わっているので、実際の外出時ではもっと長時間使用できるだろう。また、家庭内でたまにちょっとずつ家族で共有するシーンにおいては、スリープを活用しながら1週間プラスα程度は充電なしでも大丈夫ではと思われる。
ボディの発熱は、本体右側面(グリップを左手で保持する縦位置時は下側左右)と裏面中央部(Lenovoロゴ付近)が比較的熱を持つ。室温26度の環境で裏面中央部が35.8度、右側面が33.4度、左側面は31.4度と、ほんのりあたたかくなる程度だ。
※バッテリー駆動時間テストでは、ディスプレイの輝度を100%、Wi-Fiオン、音量50%に設定し、満充電からバッテリーがなくなるまでの時間を測定
YOGA TABLET 8はディスプレイ解像度や基本仕様、搭載OSなど、2013年11月現在、Androidタブレットのベンチマーク機と位置付けられるNexus 7(2013)と比べるとやや物足りない仕様と思うかもしれない。発売時想定価格は2万7800円前後だ。
ただ、“Web+動画ながら見端末”として自宅で使うならどうだろう。そして普段の作業で使うノートPCのそばに置くとどうだろう。想像以上に「アレ、意外といいかも」ということに気が付く。PCのディスプレイに常に表示しておくには少々目障りなSNS系タイムラインや予定表、ニュースの類いを表示しておくのにちょうどよく、他人に何か説明する時はタブレットだけ持ち上げてホラと見せられる。クラウドサービスやアプリを活用し、PCで作成したデータの共有や作成(Microsoft Office互換とうたう編集対応オフィススイート「Kingsoft Office」をプリインストールする)も適当にこなせてしまう。
その本体デザインから、某トラックパッドに似ているねという声もあったようだが、これもそれをWi-Fi接続にて実現するAndroidアプリがいくつか存在するので、機能としての実現は不可能ではない。PCのそばに置いておくのでPCのワイヤレスセカンドディスプレイにしたいというのもおそらく考え付く使い方かもしれない。なお、本機はWi-Fi Miracast出力に対応しつつ、標準オプションでHDMI端子端子搭載Miracast受信アダプタ「ワイヤレスディスプレイアダプター」も用意する。これにより、HDMI入力端子を備える家庭のテレビやPCディスプレイへ大画面で表示させることも可能だ。このように“自立”するスタンドがあるだけで活用例をいろいろ思いつくのが何より好ましい部分である。
願わくば……PCとの併用スタイルが思いのほかよかったので、このボディデザインのままWindows 8.1搭載モデルも投入してもらいたいところだ。
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